第33話 女心がわからない
あれからしばらく歩き、森に入った俺達。
カエデは馴れた様子で突き進んでいく。
「ハアハア......銀髪さんスゴいですのね」
コアネールさんは汗を流しながら言う。
「あー、コアネールさんは普通の女子なんだな」
「え?な、なんですか?」
「いや、なんでもないよ」
カエデと言いリコちゃんと言い、タフな女の子ばかり見てきたから普通の女子っぽいコアネールさんが物珍しかった。
「カエデー、コアネールさんがしんどそうだからもうちょっとゆっくり進んであげて」
「いいの?そんなにモタモタしてて」
カエデは冷たく言う。
「いやモタモタしてるつもりはないけど、カエデのスピードは女の子にはキツいスピードなんだよ」
そう言うとカエデはムッとした表情を見せた。
「悪かったわね私は女の子じゃなくて!」
「はあ?そんなこと誰も言ってないだろ」
「私だって急ごうとして急いでる訳じゃないのよ。コアネールが早く終わらせて帰らないと騒ぎになるから急いでるのよ」
「それはわかってるけどコアネールさんの体力も考えてやれよ。カエデは鍛えてるからこんな森平気かも知れないけどコアネールさんは王女様なんだから」
それを聞いてまたムッとするカエデ。
何をそんなに怒ってるんだ?
「神経図太い女で悪かったわね!私だって図太くなりたくて図太くなってる訳じゃないわよ!」
「だから!なんでそんな悪いように考えるんだよ!別に俺はお前のこと悪いようには言ってないだろ!」
「聞き手がそう聞こえるのよ!後お前って言うの止めなさいよ!」
「ちょっとちょっと!!止めてください!」
俺とカエデが向き合って喧嘩をしていると、コアネールさんが間に入って止めた。
「喧嘩は止めるですの!!私は大丈夫ですから、先に進みましょう」
コアネールさんは俺とカエデを交互に見ながら言った。
「ふんっ!わかってるわよ。早く先に進むわよ」
そう言って俺から顔を背けると、また歩き出すカエデ。
その様子を見て、コアネールさんはため息を付きながら言った。
「はあ......年下の私に気を使わせないでくださる?」
「ご、ごめん......でもカエデがあまりにも冷たいからさ」
「軟弱さんも!銀髪さんは女の子なんだから気を使ってあげて下さい!鍛えてるから平気だろとか言ったらダメですの!」
コアネールさんは俺に指を突き付けながら言った。
「そ、そうなの?俺は言われたら嬉しいけど......」
「殿方と女の子では違うですの!軟弱さんも銀髪さんが好きならもうちょっと優しくしてあげないとダメですわ」
「えっ!?」
それを聞いて赤面する俺。
俺がカエデを好きだって?
「ないないない!こんなに仲悪いし!」
「そうですか?私はてっきりお互い恥ずかしがって」
「何やってるのよ、早く行くわよ」
コアネールさんの言葉を遮るように言ったカエデ。
その声にはっ!っと後ろを振り向き、カエデを見るコアネールさん。
「すいません、今行きます」
そう言ってカエデの方に走っていったコアネールさん。
そうか、リコちゃんにも同じこと言われたし、端から見ればそう見えるのかな。
けど俺とカエデは喧嘩ばっかりだし、仲が良いとは思えない。
ザッ!!
そう考えていると、カエデが歩みを止めた。
「どうしたんですの?銀髪さん」
「本当に......貴方達といるとろくなことがないわね」
そう周りを見渡しながら言うカエデ。
なんだ?
俺もキョロキョロと周りを見渡した。
すると、俺達の周りに何人かの人影が茂みの中で隠れているのが見えた。
「うわっ!!人!?」
「包囲されているわ。ざっと見て20人以上にね」
そう言いながら刀を握るカエデ。
20人だと!!
俺も2本の剣を握り、両手で引き抜く。
「待て!!動くな!!」
その叫び声と同時にガサガサという音と共に一斉に茂みから人が飛び出してきた。
その人達は全員長い槍を持ち、民俗衣装を着ている。
「あ、貴方達はカフコ族!」
そう言うコアネールさん。
どうやらこの人達がカフコ族らしい。
「待っていましたコアネール様」
そう言うカフコ族の男。
「わ、私を待っていた?」
「少しお話があります。大人しく捕まって下さい」
槍を向けながら言うカフコ族の男。
「私もお話がありますの!!」
「いいから大人しく捕まって下さい。それから話は聞きます」
そう言って聞かないカフコ族の男。
「どうするのコアネール?」
見かねて聞くカエデ。
カエデの表情はこんなときでも冷静だった。
「......ここは大人しく捕まりましょう。それでお話が出来るなら」
そう言って両手を上げるコアネールさん。
「......わかったわ」
カエデも刀から手を離し、両手を上げた。
それを見て俺も剣を鞘に戻し、両手を上げた。
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