第21話 デザール村の真相 2
なるほど......っていうかことはマグマグマはデザール山噴火の原因ではないか。
じゃあなんでデザール山は突然噴火したんだ?自然現象なのか?
『あ、でも噴火に関わってる種類のモンスターは実在するよ』
「え、そうなんですか?」
『ホットドッグっていう犬型のモンスターなんだけど、山の近くに住んで近くの山に影響を与える特別な魔力を持っているんだ』
ホットドッグ?犬型のモンスター?
『それで近くの村を飢饉に追い込んで滅ぼすっていう習性のモンスターなんだ。個数がかなり少ないモンスターだから事例は少ないけどね』
ちょっと待て、それって今回の事例と似てないか?
もしかして......
「魔王様!!助かりました!ありがとうございます!」
『えっ!?何が?』
そう言うと俺は紙コップを懐に戻した。
この魔力電話は一度きりだからもう使えないな。
それより急がないと!!
俺は岩をいくつか飛び越えて、カエデ達の元へ戻った。
「あ、ロイ、遅かったわね」
カエデは待ちくたびれたように言う。
「カエデ!リコちゃん!今すぐ山を下りるよ!」
俺は走って下山道へ向かう。
「ちょ、ちょっとロイ!何なのよ!!」
「ど、どうしたんですかロイさん!」
それを見てカエデとリコちゃんもついてくる。
ザッザと火山灰を踏み締めて進んでいく。
「ちょ、ちょっとどうしたのよ!?」
走りながら俺に追いつき、聞いてくるカエデ。
「このデザール山噴火の原因がわかった!マグマグマが原因じゃなかったんだ」
「え!?どういうことよ!?」
「マグマグマは噴火を起こすようなモンスターじゃない!原因は他のモンスターだった」
俺達は下山道を進みながら話す。
「他のモンスターですか?」
「ああ!火山を噴火させるモンスターにホットドッグってモンスターがいる!そいつが原因なんだ」
「ホットドッグ!?まさか......」
カエデは思い出すように言った。
「リコちゃん!リコちゃんが飼っていた犬、あの犬っていつから飼ってたの?」
「へ?ベスですか?ベスならちょうど1年前から村の外に倒れていたのを拾って飼ってますが」
1年前、ちょうど噴火が始まり出した時期だ。
そうだ、カエデが初めから警戒していたリコちゃんの飼い犬、あの犬がホットドッグだ。
「あの犬は確かに初めて見たときから、ただならない殺気を感じたわ」
カエデはリコちゃんの方を見た。
「リコ、あの犬に何か怪しいところはなかった?」
「あ、怪しいところですか......」
リコちゃんは指を自分の額に当てながら、少し考え込んだ。
「特にはなかったと思います」
「そう......」
「ただ夜に一人で外に出てブツブツ何か呟いていたり、2足歩行で歩いていたり、急に大きくなったり戻ったりしてましたが」
「ゼッッッッタイ怪しいじゃない!!本当に天然ねアナタは!!」
「え?私天然じゃ」
「もういいわよ!それより急ぎましょう!!」
カエデは速度を上げて走り出した。
速すぎてついていけねーぞ!
デザール村、リコの家
「ヘッヘッヘ、この村ももう少しで滅ぼすことが出来るワン」
犬のベスが2足歩行で立ち、笑みを浮かべながら窓の外を見ていた。
「しかしこの村の人間はバカばかりだワン、誰も俺の存在に気がつかないなんて」
バタンッ!!
その瞬間、リコの家の扉が勢い良く開いた。
「な、なんだ!?」
「そこまでよ!!」
すると、家の外から刀を握ったカエデが勢い良くリコの家に入ってきた。
「なっ!!」
ザシュッ!!
そしてそのままベスの顔の横に刀を突き刺した。
「ワ、ワンッ!」
「今更知らばくれても遅いのよホットドッグ!」
カエデは驚いて棒立ちになっているベスの腹を蹴った。
「イタッ!!」
「こんな喋る犬がいるか!」
「チッ!感の鋭い奴が来やがったかワン」
すると、ベスはみるみる巨大化し、2mほどの大きさになった。
そして目は鋭く、顔は赤くなる。
「もう少しで俺の計画が完了するところだったのに、小娘が!」
そう呟きながらホットドッグはカエデに噛みつこうとした。
ドシュッ!!
しかし、カエデはホットドッグの顎を蹴り上げた。
「グベラッ!!」
「ハッ!!」
そして、そのままホットドッグの腹に肘打ちを当てる。
「ガハッ!!」
ガコンッ!!という音と共に壁へ激突するホットドッグ。
壁に激突し、ずり落ちた瞬間に凄まじいスピードで倒れたホットドッグの胸の辺りを踏みつけたカエデ。
そして、刀を首の辺りに当て付けるカエデ。
「さあ、観念なさい」
「ま、待ってくれワン!」
「アンタの目的は何?何で村を滅ぼそうとした」
カチャッ!ともっと刀を首に押し付けるカエデ。
「ち、違う誤解だワン!」
「誤解?」
「俺は村を滅ぼそうとなんかしてないワン、あれを見てくれ!」
ホットドッグはカエデの背後を指差した。
カエデはそっちを見る。
「今だ!」
その隙にホットドッグはカエデを蹴り、カエデを遠ざけた。
「いたっ!」
カエデは少しふらつき、ホットドッグから離れる。
「残念だったな美人のお姉さん!」
そう言うとホットドッグはリコの家の窓を突き破り、外へ出た。
外へ出るとホットドッグは素早い動きで村の出口へと向かう。
「し、しまった!私としたことが油断した!」
ホットドッグは4足歩行でどんどん進み、村の出口に近付く。
「一旦村から出て仕切り直しだぜ」
「そうはさせるかよ!」
その瞬間、村の出口から俺が飛び出した。
「テ、テメーは!?」
「オラッ!!」
俺はホットドッグの顔を蹴った。
「ガハッ!!」
ホットドッグは吹っ飛び、四つん這いに倒れる。
「ク、クソ......」
「ベス......」
その倒れたホットドッグの前にリコちゃんが歩いてきた。
リコちゃんは悲しい目でホットドッグを見た。
「リ、リコ......」
「ベス、どうしてこんなことするの?」
リコちゃんはホットドッグに質問した。
「ヘッヘ、俺の目的は村を滅ぼすことだワン」
「どうして?」
「ヘッヘ」
ホットドッグは不敵な笑みを浮かべる。
俺とカエデもリコちゃんの横に並んでホットドッグを見る。
もうホットドッグは逃げられない状況だ。
「この村を滅ぼして俺の巣にするんだ!俺は王でお前を妃にしてやるワン」
「へ?」
「俺はお前を気に入っているワン!俺が村を滅ぼして王になったとき俺の妻としていい身分を与えてやると言ってるワン!」
「はあ」
そのときのリコちゃんの目を俺は忘れない。
あの温厚で大人しいリコちゃんが凍りつくような冷たい目をしていた。
「御断りします」
「ギャアアアアアアア!!!」




