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第19話 デザール山の戦い 2

いてて......


俺は肘のスリ剥き傷を見る。


幸い剣で受けたため軽症だが、まともに当たれば一溜まりもねーな。


しかしこの剣......


『その剣はどっちかって言うと守りに優れている剣でね。大砲の球を防いでも折れないぐらい丈夫らしいわ』


カエデの言う通り今の攻撃を防ぎきるなんて、スゴい防御力だな。


って!そんなことより!


俺は右手を地面に付き、立ち上がる。


クマはリコちゃんの方を向き、今にも襲いかかりそうである。


クソ!させてたまるか!!


俺はクマに向かって走り出した。


「グルルッッッ!!」


牙を剥き出しにして、今にも噛みつきそうなクマ。


まずい!!間に合うか!


俺は咄嗟に持っている剣をクマに向かって投げ付ける。


剣はクマの肩に刺さった。


「グオゥッッ!!」


クマは少し怯み、リコちゃんに噛みつくのを止めた。


ギリギリ間に合った......


「グルォ!!」


しかし、クマは怒った様子で俺を見た。

そして、肩に刺さった剣を引き抜き遠くへ投げ捨てる。


カランッ!!


と言う音と共に、剣はクマを挟んで反対方向に落ちた。


や、やべーかも知んねー。


「グロォ!!」


クマはスゴい勢いで俺に向かって走ってきた。


剣を失って抵抗する術がない。どうすればいい!


仕方ねぇ、兎に角避けるしかねぇ!


俺はクマの動きをじっと見る。


とてつもなく素早いが、モーションが大振りだ。避けられない動きではない。


クマは大きく右腕を上げて、俺を引っ掻こうとした。


右から来る。ここはバックステップで右斜め後ろに避ければ避けられる。


俺は咄嗟に考え付いた動きをする。


ブンッ!!


しかし、俺は避けきれず、クマの爪は俺の右肩にかすった。


「いって!!」


「ロイさん!!」


そう言うリコちゃんの叫びと同時に地面に倒れる俺。


俺の右肩からは少し血が流れていた。


なんとか致命傷は避けたが、これでは今までの動きは出来ない。


それに攻撃を外したクマがもう一度攻撃しようとこちらに向かって腕を振り上げている。


万事休すか......


「グオゥ!!」


しかし、クマは動きを止めて怯んだ。


よく見ると、クマの背中に矢が刺さっている。


「クマさん!こっちです!」


弓矢を構えたリコちゃんがそう叫んだ。


どうやらリコちゃんが弓矢でクマに攻撃したらしい。


「何やってんだリコちゃん!早く逃げて!」


「いえ!私の村のためにロイさんだけを犠牲にするわけにはいけません!」


リコちゃんは背中に背負っている矢を掴み、弓を構える。


クマはリコちゃんの方に視線を向け、苛立っている様子である。


まずい、このままじゃリコちゃんが......


俺は立ち上がろうとした。


「うくっ!!」


しかし、右肩の痛みで上手く立ち上がれない。


そうやっている間にクマはリコちゃん目掛けて走り出した。


「リコちゃん!」


「はっ!!」


その瞬間、リコちゃんは弓矢を放った。


しかし、リコちゃんの矢はクマの顔の少し右を通過した。


そして、クマは腕を振り上げる。


ダメだ......あれは避けきれない。


「リコちゃん!!」


「あ......」


リコちゃんは咄嗟に避けようとするも、間に合わない。



バンッ!!


クマの腕が振り下ろされ、鈍い音がした。


リコちゃんの姿はクマに隠れて見えないが、避けきれてはいないだろう。


「リ、リコちゃん!!」


「はい、そこまでよ」


「へ?」


俺はよく目を凝らして見る。


そこにはリコちゃんとクマの間に入り、クマに腕を掴むカエデがいた。


「カ、カエデ!」


「大丈夫?リコ」


クマの腕を掴みながらリコちゃんの方を向くカエデ。


「は、はい!」


「そう、間に合って良かった」


そう言って微笑むカエデ。

あのパワーのクマの一撃を素手で防ぐなんて......


「グロォ!!」


クマはもう片方の腕でカエデを殴ろうとした。


「落ち着きなさい!」


そう叫ぶと、カエデはクマの腕を両手で掴み、背負投げをした。


「ガッ!!」


クマは少し吹っ飛び、倒れた。

しかし、すぐに起き上がる。


す、すげー......


「待ちなさいって、あなたが怒ってるのはあれのせいでしょ?」


カエデは右を指差す。

俺もリコちゃんも、そしてクマも視線をその指先へ向けた。


「ミー!ミー!」


その視線の先にはさっきの洞穴から顔を出す小さな子グマが3頭いた。


子グマ?


「ガウガッ!!」


それを見ると、クマは一目散にそちらへ走っていった。


へ?どういうこと?


「カ、カエデ、これはどういう......」


俺は右肩を押さえながら言う。


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