第17話 リコの夢
それからしばらく歩き、俺達3人はデザール山の麓まで辿り着いた。
そして、小一時間ほど登山し、山の中腹辺りまで登った。
「ハア......そこそこ登ったな」
「ここはだいたい3分の1ぐらい登った位置ですね」
「じゃあ残り2時間ぐらいで登り切れるわね」
息切れしている俺に対して涼しい顔をしている女性陣二人。
カエデさんはともかくなんでリコちゃんもこんなに体力あんの!?
「リ、リコちゃんって普段何してる人なの?」
「私ですか?私は一応画家を目指してて、村の近くだけですが山や森などの景色の良い場所の絵を描いてます」
「え!!画家さんなの!?絵は売れてるの?」
「いいえ全くです......生計は母の残してくれた畑で立ててますね。なんで画家と言うよりかは農家です」
農家をやってるのか......それで体力あるのかな?
「だから旅をしてるカエデさん、ロイさんはスゴいなーって!私もいつか絵を描く旅をしたいのですけど、勇気が出なくて」
旅をする勇気か......俺も数日前までずっとプーロの街に引き籠ってたからな。
俺もただカエデさんについていってるだけだから、勇気も何もなかったが......
「そうなの?リコなら根性ありそうだし全然出来ると思うけど」
そう言うカエデさん。
なんだかんだリコちゃんを認めているようだ。
「いえ......私は人と話すのも得意ではありませんし......」
そう言うと少し俯くリコちゃん。
あんまり自分に自信がない娘なのかな......
「そんなことないと思うわよ。リコと話しても嫌な感じはしないし。むしろ話しやすいタイプだと思うわ」
カエデさんがそう言う。
それを聞いて俺もうんうんと頷いた。
「そんなことは......私は田舎者ですし」
やはり自信が無さそうに言うリコちゃん。
それを見かね、カエデさんがまた口を開く。
「まあリコは若いんだし、もうちょっと成長してからでもいいんじゃないかしら。私達と同じ17歳になってからでも悪くないと思うわ」
「えっ!?」
そう言うカエデさんに対して驚いた表情のリコちゃん。
何をそんなに驚くことがあるのだろうか?
「どうしたのリコちゃん?」
「あ、あの......私18歳です」
リコちゃんは何だか申し訳なさそうに言った。
え?18歳?
「えー!!じゃあ俺達より年上だったの!?」
「は、はい!よく幼く見えるって言われますけど......」
確かに18歳には見えんな......14歳ぐらいに見える。
身長も150cmあるかないかだし。
あ、でも胸のサイズは結構......
「でも私もカエデさんは大人っぽいから年上かと思ってました」
まじまじとカエデさんを見ながら言うリコちゃん。
確かにカエデさんは大人っぽい。
スラッとした長い脚に、160cm後半はありそうな長身、キリッとした鋭い目、とても17歳には見えない。
「確かに俺もカエデさんを初めて見たとき年上かと思ったよ」
「何よ二人して、私が老けて見えるわけ?」
「いやいや、そんなことないよ」
「そんなこと言ったらロイくんだって、初めて会ったときはしっかりした人なのかなーって思ってたけど」
「なんだよ今はしっかりしてないとでも言うのか?」
「どうかしらねー」
俺とカエデさんが言い合いをしていると、その様子を不思議そうに見つめているリコちゃん。
リコちゃんは「うーん?」と首を傾げると、口を開いた。
「お二人はそんなに仲良しなのに、なんでくん呼びさん呼びなのですか?」
「「仲良くない!!」」
思いっきりハモる俺達。
そしてお互い顔を見合わせて、赤くなった。
それを見て、笑うリコちゃん。
「フフフ、やっぱり仲良しですね。やっぱりおかしいです。1回呼び捨てで呼んで見ましょう」
「「えっ!!」」
またしても同じようなリアクションを取る俺達。
そういえば1度呼び捨てで呼ぼうとしたけどお互い恥ずかしがってオジャンになったんだっけ?
た、確かにリコちゃんはちゃん付けなのにカエデさんはさん付けっておかしいか。
「わ、わかった!俺は呼び捨てで呼ぶぞ!」
「え......アンタマジなの?」
「ほら!ロイさんはやる気ですよ!カエデさんも!」
リコちゃんがカエデさんの背中を押す。
「わ、わかったわよ......」
カエデさんも渋々了承した。
「はい!それじゃあお互いのこと呼んで上げてください!」
リコちゃんはニコニコしながら言う。
いいな!言わせる側は楽しいだけで!
まあいいや!この際だから覚悟を決めるぞ!
「カ、カエデ......」
「ロ、ロイ......」
俺達は真っ赤になった。
「はい!よく言えました!やっぱり仲良しです」
リコちゃんは俺とカエデの手を握った。
「アナタ......なんだか天然ね」
「私がですか?私天然じゃないですよ?人間です」
「あー、私リコって賢い人なのかと思ってたけど結構抜けてる人なのね」
「そんなことないですよ、リコは利口です」
「あーもういいわ。さっ!先を急ぎましょう!」
そう言ってカエデは再び山道を進み出した。
それに続いて俺とリコちゃんも登っていく。
「リコちゃん」
「はい?」
俺が後ろからリコちゃんを呼ぶ。
「リコちゃんはなんで画家を目指してるの?」
カエデにもリコちゃんにも夢がある。カエデの魔王様を倒すって夢の理由は教えてくれなかったが、リコちゃんの夢の理由を知りたい。
だから聞いてみた。
「理由......ですか」
うーん?と少し考え込むリコちゃん。
「実は母が昔画家だったみたいなんですよ。私が生まれて引退したみたいですが」
そう山道を進みながら言うリコちゃん。
「それでリコちゃんも画家に?」
「まあそうですね。初めは母の真似をしてですが、絵を描くのは好きですし......」
またうーん?と少し考えるリコちゃん。
それを俺は真剣に聞いていた。
「まあ、好きですけど上手くはないのでもう少し練習しないといけませんけどね。ハハハ」
そう言いながら照れ隠しに笑うリコちゃん。
「そっか、笑うことなんてないよ。素敵な夢だね」
「え......」
俺はそう真剣な表情で呟いた。
それを聞いてリコちゃんは笑うのを止め、少し赤くなった。
母親の影響であれ好きなことがあって夢にしているって、素直にスゴいことだと思った。




