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第16話 村娘リコ

それからロープをほどいてもらい、村の外へ出てデザール山へ向かうこととなった。

今は平原を歩いている。


目的はデザール山上部に巣食ってるであろうマグマグマの退治である。


デザール山は少しの間この平原を進み、登山する。そこまで険しい山ではなく、1日で下山出来るらしい。


やっと人助けが出来る。勇者の旅っぽくなってきた!


と、テンションが上がってる俺に対してテンション駄々下がりのカエデさん。


さっきの態度といい、俺の街で女の子を助けたカエデさんとはかけ離れた態度だった。天使とか言ってたのに。


「なあ、カエデさん」


「何よ?」


「さっきはなんで渋ったんだ?カエデさんの性格なら率先して助けてあげると思ったけど」


「うん......」


カエデさんは少し目線を下に下げて、嘆息する。


「私はボランティアじゃないわ。長く旅をしてきてこんなことは何度かあった。けどこういう問題に首を突っ込むのは好きじゃないの」


「なんで?」


「思うところは色々あるわ。さっきも言ったけど自分達で解決しようとしていないし」


「けどそれは村人達が危ないからじゃないの?」


「そうだけど自分達の村のことよ?それに畑も不作だったら不作だったでそのまま、ネットをかけたり囲いを作ったりしてる痕跡もなかった。出来ることをしていないのに他人に助けてもらうなんて、私は虫が良すぎると思うわ」


確かにカエデさんの言ってることは正しい。


それに俺は自分の力では何も出来ないのに、結局カエデさんの力がないと解決出来ない問題なのに偉そうにしちまったな。


「カエデさん、俺は」


「まあ......」


カエデさんは俺の言葉を遮り、少し恥ずかしそうに呟く。


「ロイくんのそういう正義感が強いとこ良いところだと思ってるし、私の力で助けられるなら助けてあげたい気持ちもあるし......」


顔を赤くしながら言うカエデさん。


ああ、やっぱりこの人天使だわ。


「えーやっぱり?カエデさん、俺に惚れちゃったとか?」


「いや全く」


「ですよねー」


さらっとカエデさんが言ったのに対して言う俺。


やっぱりカエデさんはちょっとキツいところあるけど、優しい女の子だ。


「さっ!早いとこ退治して終わらしちゃいま......」


そう言いながら振り向いたカエデさんは急に口を閉ざした。


「ん?どうした?」


俺はカエデさんの視線の先に目を向けると、そこには人が立っているのが見えた。


「あ、あの......」


そこ立っていたのは俺達を騙して捕獲したリコちゃんだった。


リコちゃんは下を向きながら俺達に話しかけてきている。


「あ、あの......私」


「退治はちゃんとするわ。だから文句ないでしょ」


カエデさんがリコちゃんの言葉を遮るように言って、リコちゃんの横を通りすぎる。


明らかにリコちゃんを無視して行こうという態度だ。


「カ、カエデさん!話ぐらい聞いてやってもいいんじゃないのか」


「いいんです、ロイさん」


リコちゃんを無視するカエデさんを呼び止めた俺をまた呼び止めるリコちゃん。


「私のしたことを考えるとカエデさんの態度は仕方ないことだと思います」


「で、でもリコちゃんは村のために仕方なくやったんでしょ?」


「それはそうですけど......さっきのカエデさんの言っていることは正論でしたし、申し訳ないことをしてしまったと思ってます。ごめんなさい」


そう言うと、リコちゃんは深々と頭を下げた。


「そ、そんな!リコちゃんは悪くないって!」


「だいたいアナタが謝って済む問題でもないしね」


そのリコちゃんに対して冷たく言い払うカエデさん。


「カエデさん!もうちょっと優しく......」


「いいんです!確かに私が謝って済む問題ではありません!だから......」


リコちゃんは背中に背負った弓矢を俺達に見せた。


「私も退治にお供させて下さい!」


そう言うとリコちゃんはまた頭を下げた。


リコちゃんなりに落とし前を付けるつもりなんだろう。


「ダメよ。アナタがいても何の役にも立たないもの」


また不機嫌そうに言い放つカエデさん。


「カエデさん、少しはリコちゃんの気持ちも......」


「カエデさん!お願いします!」


リコちゃんはもっと深く頭を下げながら言う。


「カエデさんの言うように私達村人は甘えてたと思ってます!だから私は村人の代表としてお役に立ちたいんです!」


「......」


そう必死に言うリコちゃんの言葉を黙って聞くカエデさん。


「囮にでも使ってもらって構いません!出来ることをしたいんです!」


「まあ......」


カエデさんは振り返り、リコちゃんを見る。


「リコならどこかのバカよりかは役に立つだろうし、仕方ないわね」


カエデさんは少し微笑みながら言う。


どうやら折れて、リコちゃんを連れていく気になったようだ。


「あ、ありがとうございます!」


その言葉を聞き、パーッと笑顔になるリコちゃん。


良かったね、リコちゃん。


って、どこかのバカって誰のことだよ!

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