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第15話 デザール村の問題

「さっきから村の様子を見てるのだけど......どの畑も全然農作物が出来てないし、村の人達は活気なく元気がない。なんでなの?」


カエデさんはそう言う。


確かに周りを良く見てみれば、カエデさんの言った通り、畑は枯れ果て、村人は生気無く座っている。


だからさっきからキョロキョロしてたのか。


「はい、実は今は農作物の大不作が続いていて......原因はあっちに見えますデザール山」


リコちゃんが指差した先には悠然と聳え立つ山があった。


「あのデザール山はずっと穏やかな山だったのですが、最近噴火が続いていて......そのせいで農作物が育たずデザール村は主な収入源を失われています」


「帝国からの支援は?」


リコちゃんの話に間髪入れずに言うカエデさん。


「いいえ、デザール村は小さな田舎の村です。そんな村に一々帝国は支援してくれないですよ」


「そんな......そうなの?」


「よくあることよ。私もデザール村程ではないけど田舎の村の出だからわかるけど」


帝国領の村や街は帝国に税金を納めている。その代わりに帝国からの支援や施しが受けられるようになっている。


しかし、カエデさんの話ではやはり税金を多く納めている大都市への支援は充実しているものの、あまり納められていない小さな田舎の村への支援は滞っているという。


仕方ないと言えば仕方がない話だが......


「見えましたよ。あれが集会所です」


リコちゃんは歩きながら指を差す。


その先には木造の大きな建物が聳え立っていた。


俺達は歩き、集会所の扉の前まで来た。


「今は誰もいないと思うのですけど......」


リコちゃんは集会所の扉のドアノブに手をかけた。


しかし、リコちゃんはピタリと動きを止めて動かなくなった。


「どうしたのリコちゃん?早く中に......」


「すいません!!」


ガタッ!!


その瞬間、リコちゃんは振り返り、素早く俺の体にロープを括り付ける。


「え?え?リコちゃん!?」


急な出来事に反応できずにいる俺。


「皆さん!今です!!」


リコちゃんが合図を出すと、数人の村人が茂みや木の陰から姿を現した。


「「うおおお!!」」


その村人達はカエデさんを捕まえようとする。


「やっぱりそういうことなのね!!」


バシッ!!


カエデさんは素早く地面を蹴り跳んで後退し、村人達から距離を取った。


そして刀に手を伸ばし引き抜き、構える。


「な、な、何が起きてんの!?」


俺はリコちゃんにロープで縛られて動けない。


「何かさっきから話が上手すぎると思ってたのよ!!目的は何!?」


刀を構えながら言うカエデさん。


「それは捕まってもらってから説明します!武器を捨てて大人しく捕まらないとロイさんの命はありませんよ!!」


そう言うとリコちゃんは隠し持っていたナイフを取り出し、俺の首元に当てる。


誰がどう見ても人質になっている俺。


「カ、カエデさん!!俺に構わず逃げてくれー!!」


「カエデさん!大人しく捕まってください!!」


首元にナイフを突きつけられながら言う俺と、突きつけながら言うリコちゃん。


「そういうことね......ハア......」


そう言うとカエデさんは刀を地面に投げて、両手を挙げた。













それから、俺達はロープで縛られ集会所に入れられた。


集会所には20人ほどの村人と恐らく村長と思われる年配の男が座っている。


「すまん旅の者よ、手荒い真似をした」


その村人達は村長を含め深く頭を下げる。


背後ではリコちゃんも頭を下げていた。


うーん、どうやら悪さをしようと俺達を捕らえた訳ではなさそうだ。


「村長さん!こんなことする訳を教えてくれよ!」


「ああ、すまぬ。実はな、結論から言うとアナタ達にモンスター退治をお願いしたいのじゃ」


「モンスター退治?」


俺は首を傾げながら聞く。


その間、カエデさんはずっとソッポを向き不機嫌そうだ。


「ああ、アナタ達も村の惨状は見ているだろう?」


「ああ、でもそれとモンスター退治なんの関係があんだよ」


「実はな、最近起こっているデザール山の噴火はマグマグマというモンスターの仕業でな。どうかそのモンスターを退治してほしいのじゃ」


なるほど、そういうことか。


聞くと、村にはお金がなくハンターを雇えないという。かといって今の村人は高齢化が進みデザール山を登ってモンスター退治など出来る者がいない。


なので手荒な真似をして旅人に頼むしかなかったという。


「すまぬ、アナタ達を巻き込んでしまって......」


「何言ってんだよ!こんな手荒な真似しなくても俺達がどうにかしてやるよ!なっ!カエデさん!」


そうだ!カエデさんは勇者の子孫、関係ない村とは言え、困っている人がいれば助けるに違いない。


「嫌よ」


「ええーーーー!!」


カエデさんがそう即答したのに対して驚く俺。


「ど、どうして!困ってるんだから助けてやろうぜ!」


「嫌よ!なんでこんな村のために私が危険を犯さないといけないのよ」


そうフンッ!と興味無さそうに言うカエデさん。


こんな村のためって......


「お前!見損なったぞ!仮にも勇者の子孫だろ!」


「見損なって結構よ!大体今の集会所に集まってる20人ほど、この全員でモンスター退治にいけばいいじゃない!」


カエデさんは村人達を睨みながら言う。


「だからみんな高齢者だから無理なんだって!」


「なんで無理なのよ?高齢者だからってこんな20人も集まっておいて何もせずに見ず知らずの旅人に頼むなんて虫が良すぎるのよ」


「だからそれが危険だから俺達に頼んでんだろ!お金もないからこうやって強行手段に出るしかなかったんだって!」


俺はカエデさんの方を見ながら言う。


しかし、カエデさんはソッポを向いたまま不機嫌そうにしている。


「お金がないからってこんなことが許されるならなんだって許されるわよ」


「ま、まあそうだけどよ!今回は助けてやろうぜ!なっ?」


俺は困っている人がいるなら助けてあげたい。

この村人達の行動も十分に理解出来る。悪い人達ではない。


カエデさんはそれを聞くと、しばらくの間口を閉ざす。


そして、はあ......と溜め息を付くと、村長さんの方を向いた。


「わかったわよ。今回だけだからね」


そのカエデさんの言葉を聞いて安堵する俺。


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