第14話 デザール村到着
「おー!見えてきた!!」
カエデさんとの旅の途中である俺。
あのカツラとかいう元忍者のジジイと戦ってから3日が過ぎ、俺達は次に目指していた村、デザール村に到着した。
「アンタなんか最近元気ね」
俺の様子を見ながら言うカエデさん。
「そ、そうか?普通普通!」
当然、俺の寝不足はまだ続いている訳だが、サイさんから貰った活力剤が効果覿面で寝不足による疲労など吹き飛んでしまっている。
サイさんと魔王様に感謝だぜ!
「それならいいけど......」
カエデさんはそう言うとデザール村の方を見る。
デザール村へは後100mぐらいの距離にあった。
「情報によるとデザール村はかなり小さな村ね、もしかしたら宿屋がない可能性もあるわ」
「え?じゃあどうやって寝泊まりすんの?」
「ま、運良くお金払えば泊まらせてくれる民家があればいいんだけど、なければまた野宿ね」
そう馴れたように話すカエデさん。
こういう小さな村では宿屋がないことが多いらしい。その代わりに民家や店屋に頼んで、お金を払ったり、手伝いをしたりで泊まらせてもらうのが主流らしい。
「まあもし野宿になっても村の中ならモンスターに襲われることもないし安心よ」
そう付け加えた。
確かにそうだが、やっぱりたまには布団で眠りたいな。
「ま、まあ......もしかしたら宿屋あるかも知れないし、とりあえず早く向かおうぜ」
「そうね、こんなとこで話しててもラチが......」
そう言いかけたカエデさんはピタリと動きを止める。
そして、視線を右に動かした。
「え?どうしたの?」
キョトンとした表情でカエデさんを見る俺。
「殺気を感じるわ!伏せなさい!!」
そう俺に叫ぶカエデさん。
「え、え、ええ!?」
それに驚いたが、咄嗟ににしゃがみ込む俺。
なんだなんだ!!敵襲か!?モンスターか!?
カエデさんは感覚を研ぎ澄ますように目を瞑った。
「そこ!!」
そして、勢いよく目を開き、持っていた鉄の針を右に向けた視線の先に投げ付けた。
その針は物凄いスピードで飛び、カエデさんの10mほど先の地面に刺さる。
それと同時に......
「きゃいん!!」
と言う動物の悲鳴のような鳴き声が聞こえた。
な、なんだ?
俺は起き上がり、そっちを見た。
そこには針が近くに飛んできたことに驚いて倒れる犬がいた。
い、犬......
「お、おい!ただの犬っころじゃねーか!」
「お、おかしいわね......」
その犬を見て、珍しく失敗したという顔をするカエデさん。
カエデさんでもこんなドジなことすることもあるんだな。
「しかしなんだこの犬?野良か?」
俺は倒れる犬に近付き、しゃがんで犬を見た。
あれ?首輪してるな。
「すいませーん!」
「ん?」
その声は少し離れた場所から聞こえてきた。
俺とカエデさんはその声の方を見ると、そこには若い女の子、どうやらこっちに向かって走ってきているらしい。
そして、俺達の前まで来ると口を開いた。
「すいません、この子は私の飼い犬で」
「なんだ、危うく串刺しにされるところだったよ」
「串刺し?」
不思議そうな表情をする女の子と背後で赤面するカエデさん。
「それよりもしかして旅の方ですか?」
女の子は俺達の剣や服装を見ながら言う。
「そうだよ!やっぱわかっちゃう?」
なんだか勇者みたいでちょっと嬉しい。
「そうですよね、ここデザール村はサンベルスに向かう旅の方がたまに経由していきますから!」
女の子は犬を抱き上げながら言った。
「サンベルス?」
俺は聞きなれない言葉に?を浮かべる。
「あ、あなたサンベルスを知らないの?」
それを見て、少し顔を引きずらせながら言うカエデさん。
え、なにそれ?
「サンベルスはここから西に進んだ先にある大国です。帝国の第1位の国ニューペルシアルに次ぐ第2位の国と言われています」
「あーなるほど、国の名前なのか」
「サンベルスを知らないなんて相当よ......」
「う、うるせーな!外国になんか興味なかったんだよ」
実際俺は他の街に行ったことがほとんどない。この旅で行く街はほとんど初めて行く街である。
小さい頃たまに家族で旅行に行ったぐらいだな。
兎に角、実はカエデさんも大都会サンベルスに向かっていて、その経由地としてこのデザール村に来たみたいだ。
「良く冒険者が来るのに宿屋がないなんて、冒険者達はいつもどうしてるの?」
「はい、実は村の集会所を集会がないときは開放しているのです。だいたい旅の方はそこで寝泊まりしてますね」
「マジで!いいじゃん野宿よりかは」
「そうね......」
なんだかカエデさんはさっきから浮かない顔をしている。女の子の犬を串刺しにしそうになったことをまだ気にしているのだろうか?
「よろしければ村の集会所まで案内しますよ?」
女の子は笑顔で言った。
「おー!じゃあお言葉に甘えて案内してもらおうぜカエデさん」
「うん」
カエデさんはずっと浮かない顔をしているし、返事も生返事だ。
「それでは案内します!ついてきてください」
俺達は女の子に連れられ、デザール村に入った。
デザール村は畑や農園がたくさんあり、建造物も全て木で出来ており、見るからに田舎という村だ。
「そういえば」
俺達の少し前を犬を抱えながら歩く女の子が振り向き話しかけてきた。
女の子は栗色の髪をポニーテールにしてそれを三つ編みにしている。身長はカエデさんより少し低いぐらいか。
胸は明らかにカエデさんより大きい、サイさんと比べれば全然だが、平均よりかはかなり大きい。
「自己紹介がまだでしたよね?私はデザール村のリコ・モイネモという者です。それとこっちが飼い犬のベス」
女の子改めリコちゃんは犬改めベスを撫でながら言った。
「俺はロイ・レンズ!こっちが......」
俺は後ろのカエデさんを見るが、キョロキョロと周りを見渡していて、全く話を聞いていない様子だ。
「カエデさん」
「ん?え?何?」
カエデさんはやはり話を聞いていなかったのか、俺が話しかけると少し戸惑った様子である。
「カエデさん、リコちゃんが自己紹介してくれたよ」
「あ......うん、ごめん。私は」
「カエデさんですね!よろしくお願いします」
「あ、ああ......うん、そういえばリコ......だっけ?」
「はい?」
カエデさんは何かを疑問に思っているらしく、リコちゃんに不思議そうに聞いた。




