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第12話 勇者VS忍者 2

「フッ!予想通りね」


ビシシッ!!


カエデは背中から雷撃を放った。


「なっ!ぐのおおお!!」


その雷撃はジジイに直撃し、ジジイは黒焦げになった。


ボンッ!!


が、これも分身で煙となっって消える。


その煙が消えると同時に、カエデさんと残り二人のジジイは地面に着地した。


「フッ!」


ビュンッ!


着地と同時にカエデさんは鉄製の針のような物をジジイに向かって投げ付けた。


「おおっ!」


しかし、それをジジイはしゃがんで避ける。


「ほっほ、甘いな」


「まだまだ!」


カエデは右手に電流を流す。


しかし、それは攻撃に使用する意図は見えず、ただ流しているだけである。


「何をしておる?」


「くらえ!!」


ザシュッ!!


「ぬわっ!!」


その瞬間、ジジイの背中にさっきの鉄製の針が刺さった。


ボンッ!!


針が刺さったジジイは煙となって消えた。


残りは一人のみ。


「ほほう、雷の魔法で磁場を作り出したのか。雷魔法使いでも選りすぐりの使い手でないと出来ない芸当じゃな」


「フッ、伊達に勇者やってるんじゃないのよ」


カエデさんは剣を片手で持つ。


「ほほう、勇者とな。エーユエジル家の娘か」


ジジイはカエデの顔をジーッと見ながら言う。


確かカエデの家は勇者の家系だが、世間では忘れられているとさっき言ってた。


それを知っているということはやはり帝国の関係者であることは間違いない。


「流石は元忍者部隊、私の家のことも知っているのね」


「そりゃ、当たり前じゃろ」


そう言いながらジジイはまた分身の術の構えを取る。


ヤバい!また分身する気だぞ!


「忍法・分身の......」


「させないわよ!!」


その瞬間、またカエデが鉄製の針を投げ付ける。


針はジジイに向かって飛んだが、ジジイは咄嗟に分身の術の構えを止めて、針を避けた。


だけどあの針は......


「ハアッ!!」


またしてもカエデさんは雷魔法を流した。


そうすると、避けた針がまた戻ってジジイの背中に向かう。


これで勝負ありか!?


「甘い!!」


キンッ!!


しかし、ジジイは戻ってきた針を持っていたクナイで弾き飛ばす。


針はクルクルと回りながら地面へと落ちた。


「ほっほ!惜しかったの」


「おりゃあああ!!」


しかし、針を弾いたジジイの背後には剣を振りかぶるカエデさんがいた。


「な......」


ジジイが針を弾いている一瞬の隙に背後に回り込んだのである。


「ぬ、ぬお!!」


ジジイは必死に避けようとするが間に合わない。


「終わりよ!!」


ザシュッ!!


カエデさんはジジイを剣で斬った。


ジジイは斬られて、その身体は力無く地面に仰向けに倒れる。


「ス、スゲー......カエデさん強すぎかよ」


俺はただただ二人の戦いを見ていることしか出来なかった。まだ俺とはレベルが違う世界の戦いだ。


特にカエデさんの速さは凄まじいものであった。


敵の間合いを取る速さ、抜刀速度、全てに置いて今までに見たことがないぐらいの速さだった。


ジジイも凄かった。

今回の勝負で何度カエデさんの攻撃を避けたか......


シュウゥゥ......


カエデさんに斬られて倒れたジジイからは煙が出ていた。


「け、煙!?」


ポンッ!!


俺がビックリしていると、突然倒れたジジイが弾けて消えた。


「な、なんだ!消えたぞ!」


俺が慌てていると、カエデさんも目を見開いていた。


「ま、まさか......」


ドバァ!!


その瞬間、カエデさんのすぐ前の地面から何かが飛び出してきた。


そう、ジジイだ。


あの斬られたジジイも実は分身だったのか!!それで本物は土の中......


ジジイは飛び出しながら、カエデさんに土をかける。


「くっ!!」


土が目にかかったカエデさんは怯む。


それと同時にジジイは印を結んでいた。


「ほっほ!火遁・火龍崩拳!!」


そう呟くと同時にジジイの手はまるで燃やした新聞紙のように燃え盛り、炎に包まれる。


あれで殴られたらまずい!!


「カエデさん!避けろ!」


「くっ!」


俺は叫んだが、カエデさんは目を擦って動かない。さっきの土で目が開けられないのだろう。


まずい!本当にやられる!!


その瞬間、ジジイは思い切り拳を振り下ろした。


ドゴンッ!!!

その鈍い音と共に砂埃が舞う。



俺は思わず目を背けてしまったが、視線をカエデさんの方に戻した。


砂埃の奥には2つの人影が見える。


どうやらカエデさんは無事なようだ。


「カ、カエデさん!!」


俺は心配して声を上げる。


あの威力のパンチをくらって絶えられる訳がないと思った。


しかし、砂埃が上がると見えたのは立ち尽くすカエデさんと地面を殴り大きな穴を空けているジジイだった。


「な、なんで外したの!?」


カエデさんは悔しさを噛み殺すような表情で言う。

どうやらジジイはわざとカエデさんにパンチを当てなかったようだ。


「ホッホ、ワシは出る杭は打たん主義でな」


ジジイはそう言いながら、地面に埋まった手を引き抜く。


そして、ブンブンと振って土を落とすと、背伸びをした。


「はーあ、良い運動になったわい!ではワシは行くとしよう。なかなか筋が良かったぞカエデちゃん」


そう言うと背伸びを止めて、スタスタと歩き出したジジイ。



カエデさんを倒すなんて......なんてじいさんだ。



そう思っていると、カエデさんが口を開ける。



「あ、あなたは本当に犯罪を犯した人なの!?」


そうジジイの背中に向かって叫ぶカエデさん。



すると、ジジイは立ち止まり、背中を向けたままこう呟いた。


「そうじゃ、欲に目が眩み人道を忘れてしまった人間、それがワシじゃ」



そう言うと、ジジイは一瞬にして姿を消した。



それを見ながら立ち尽くすカエデさんと俺。



「あのジジイは一体......」


そう呟く俺。


「はあ......」


すると、カエデさんが大きくため息をついた。

そして、地べたに座り込んだ。


「よくわかんないけど、まあ私達が修行不足ってことはよくわかったわ」


そう言うと、また大きなため息をついたカエデさん。


その表情はジジイに負けた悔しさと釈然としない気持ちが入り交じったような表情だ。


「そうだな......」


俺も地べたに座り込む。


一体あのジジイは何だったのか。

カエデさんですら勝てない強敵、いや敵なのかもわからん。


わからないことだらけの出来事だったが、一つわかったことがある。


カエデさんのお尻はまるで美しい湖に畔で囀る小鳥のようなお尻である。


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