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鍛冶屋舐めるなよ!

かっこいいこと言ったものの…果たして俺とアイセアでこの絶望的状況から脱出できるのだろうか?


「血ヲ…血ヲモット……ヨコセエエエエ!」


奴隷商のリーダーは『飛翔』を出鱈目にふりかまいたちの斬撃を当たりに振った

山々に生える木々が次々となぎ倒されていく


「うおうっ!!あいつ完全に取り憑かれてやがるな!!」


俺は目の前の大木に隠れる形となる。そして迂闊に動けずにいる


「ショウ!!あんたのずる賢い頭で何かこの状況を打破する方法はないの?」


近くの木を同じようにして隠れているアイセアが尋ねてくる


「ずる賢い言うな!頭がまわると言え!!…一つだけあいつの持ってる刀『飛翔』と話をする時間が欲しい」


「ショウ、あんたもしかして………この状況で頭が逝っちゃったの?」


「違うわっ!まあとにかく俺のスキルを用いればもしかしたら上手くいくかも知れないんだ。だからこんなことを頼むのは人としてクズだってのはわかってる。けど…」


「はいはい、わかったわよ。取り敢えず私があいつの注意を引き付けてショウが刀を取り上げればいいんでしょ。簡単でいいじゃん」


「いやそれじゃあアイセアが怪我をするかもしれないじゃないか」


「ふふっ、盗賊を舐めないで欲しいわね。相手の注意を引き付けていい感じに躱すことなんて朝飯前よ」


そういって駆けてしまった


「ああっくそ!女の子が覚悟決めてるのに男が覚悟決めねえなんてのは格好がつかねえ!行くぞ」


俺は奴隷商の背後の死角へと移動する。今の状態で飛び出しても、相手は元自警団の高レベルの冒険者職だ。すぐにバレてきりつけられるだろう


「ゲイルブロウ!!」


アイセアが刀を振り回す奴隷商の隙をみて魔法を唱えた。ゲイルブロウは風の塊を相手にぶつける初級魔法の一つだ

魔法がとんでくるとは思ってもいなかったのか奴隷商にクリーンヒットする。これで奴隷商の注意が完全にアイセアへと向いた


「ぐおぁぁぁぁぁ」


猪突猛進の如き速度で奴隷商が刀を構えてアイセアへと突っ込む。しかし、アイセアはまるでステップを踏むかのような動きで躱す。


一撃、一撃、アイセアは確実に、そして最小の動きで躱す。俺はその様子にしばし見入ってしまった

すると一向に飛び出してこない俺にアイセアが


(はやくしろ!!)


器用なことに口パクで言ってきた。それで俺は少し焦ってしまったのだ。タイミングなんてお構い無しに突っ込んでしまった


「うおぉぉぉぉぉぉ!!」


「ばっ…ばかっ!!」


アイセアの焦りの声がやけにゆっくりと聞こえてきた。それでも奴隷商の刀は未だアイセアへと向いている。大丈夫。何も心配は…

すると突然左から影がせまってきていた


頭部に衝撃が走り、身体が少し仰け反った。俺に気を取られてしまっていたのかアイセアも同じように飛ばされていた。そして奴隷商の紅く狂った目はこちらを向いていて


「血肉ヲ……燃やせ」


「逃げて…ショウ!」


伸ばされた左手から魔力で生成された火球が見えた。誤算だったことにこいつは魔法も使えたらしい。そして俺は灼熱に包まれた…


「なんてな!!鍛冶屋を舐めるなよ!」


燃え盛る炎の中で俺は怯むことなく拳にありったけの力を込めて奴隷商を殴った


「がっ…!」


奴隷商は飛翔を思わず放し、仰向けに倒れた


「炎系の魔法を使ったお前のミスだな!鍛冶屋は火を扱う仕事なんでな、火耐性スキルを持ってるんだよ!」


「髪の毛すごいことになってるよ」


「なぬっ!?」


俺は急いでボサボサになった髪の毛をセットした


「おほんっ…とりあえず飛翔は返してもらうぞ」



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