奴隷の少女
んぐっぬ!?
体内に何かを流し込まれる感覚がする。しかもすごく不味い何かだ
俺はその感覚で目が覚めた
気がつけば俺はベットに寝かされていた
「げほっ、げほっ、ごはっ!!」
体内に入った何かを吹き出しむせかえる
「患者の目が覚めました!!」
「よし、ポーション8本目を飲ませるぞ」
「ちょっ、待って……」
俺の抵抗もむなしく俺の体内に既に7本分入っている液体を再び投入された
ポーション。RPG等でお馴染みの回復アイテム。病気などは治せないが傷は完璧に治す万能アイテム
この世界では病院がない代わりに僧侶などの回復呪文の使えるものが町に常にいたりする。しかしこの町には冒険者がおらず怪我するものなどほとんどいない。そのため治療にはポーションが用いられる
そしてこの町のポーションは駆け出しの冒険者用のポーション(小)なのだ
よって…
「患者の傷口がまだ完全にはふさがっていません!」
「よし、ならばもう一本…」
「せめてもう少し休ませてぇぇぇぇぇ!!」
俺の悲痛の叫びがこだました
そう、この町で大怪我をした者はポーションに殺されかけるのだった…
「ぐふっ…危うく死ぬところだっぜた」
しかし元の世界では三ヶ月は病院通いの怪我も異世界では一瞬で傷口が治るからすごい
完治した俺はあのポーション地獄から解放され考える
「『飛翔』……」
俺は自分の愛刀の名を呟く。奪われたことはかなりショックだ。しかし今はそれよりも最悪の事態を考えながら歩く
「おーい」
もしも俺の考えている最悪の事態が起きてしまっていたら一刻も早く行動をしなければ取り返しのつかないことに
「ねぇー無視?」
だが武器を取られたしがない鍛冶屋の俺に一体何ができるんだ?
「無視すんなぁぁぁぁぁ!!」
「ぐはっ!」
尻に強烈な蹴りが突然とんできた
「だ、誰じゃい!病み上がりの体に蹴りを入れるド阿呆は!?」
「ふんっ。散々呼んでんのに気づかないあんたが悪いんでしょ」
その声の主の方へと振り返る。そこに立っていたのは見覚えのあるシルエットだった
「君は…奴隷商に売られていた」
煌めくような炎髪灼眼…
「その節は…私なんかのために本当にありがとう…でもその表現のしかたはアウト」
燃えるような真っ赤な髪に宝石のような赤い目…あの時の少女だった
「それで俺になんか用?」
「身勝手なお願いなんだけど…私はこれからあの奴隷商たちを叩き潰しに行く。だから…私はあなたの奴隷をやることはできない」
「……」
この子はそんなことをいうためだけに俺が起きるのを待っていたのか?そんなこと黙っていればいいのに…律儀というかなんというか
「じゃあそういうことで…救ってもらったのに何も出来なくてごめんね。それじゃあ」
そういって一人で去ろうとする少女。何も持たず、衣服もまともに変えていないそんな状態で…去り際に一粒の雫を落として
「ちょっと待ってくれ」
俺は夢中で少女の背中を追う。そして乱暴に腕をつかんだ
「えっ、なに!まさかここで私を犯して身体に消えない傷を負わせて強引に引き止めようとしているの!?」
「ちっ、ちがうから!!そんなこと微塵も思ってないから!!いやでも半分は正解なのか」
「まさか犯したあとはそのまま棄てようとしているの!?なんて外道に捕まってしまったの…」
「誤解だよ!ただ奴隷商のところへ行くなら俺も一緒に行かせてくれって言いたいだけだよ!」
「なんだ最初からそう言ってよ」
「くっ、なぜだろう。さっきまでのシリアス感が微塵もなくなったぞ……それと君のその格好もどうにかしないとな」
「わかった、それから私の名前はアイセアよ。よろしくね」
そういってアイセアは手を差し出す
「ショウだ。よろしく」
俺は手をとる。それと同時に
ギュルルルル
「……」
「あっ、できればご飯も恵んでくれない?」
こうして俺はアイセアと出会ったのだった




