プロローグ 3
「異世界?ははっ、俺は獣耳の女の子を見るまでは異世界なんてものを認めないぞ」
「……」
紫苑は無言で扉を開けて向かいの部屋にいった。なにやら話し声が聞こえてくる。そしてすぐあとにまた戻ってきて
「これが現実だ」
そして誰かを部屋に招き入れた
「あのー…獣人でこの家のメイドをつとめさせていただいておりますメロと申します」
もじもじとした女の子が挨拶をした。そして俺はその子を見て固まってしまった。なぜならその子はメイド服にまごうこと無き獣耳に動く尻尾の生えた少女だったからだ
「………」
ガンっ、ガンっ、ガンっ
俺は夢を見てるのかと思いソファーのふちに頭をうちつけまくった
「ど、どうされましたか!?」
「いえ、大丈夫です」
俺は出血した額のまま精一杯のスマイルで笑いかけた
どうやら本当に異世界にきてしまったようだ
「おお、目が覚められましたか」
初老のおっさんが扉から現れた。見た目は俺たちと同じだからここの異世界には人族もいるようだ
「…あの、誰ですか?」
「この人は俺たちをハウンドドックから救ってくれた自警団を雇ってるこの町の領主様だよ」
あの狂犬ハウンドドックなんて名前だったんだ…
「はい私領主をつとめておりますフリックと申します。ショウさんの話はこちらのシオンさんから聞いております。どうぞゆっくりしていってください」
「ありがとうございます」
紫苑のやつ一体どんだけ行動力があるんだよ。さっきからメロさんと親しげに話やがって、俺も気絶しなければ…
「お二方は日本という国から来たとおっしゃいましたね」
「そうです」
紫苑が答える
「いろいろ調べてみたのですが、近年日本という国から来たという人が各地で見つかっているそうなんです」
「えっ、俺ら以外にもいるんですか?」
「そのようです…そしてその日本人というのはみんな何かしらの特殊なスキルを持っていたりと特別な力を持っているようなんです」
キタキタキタキター!異世界と言ったらチート持ちだよな!!
「スキルとは?」
普段はリア充な紫苑は異世界の常識というものがわかっていないらしい
「ステータスバーというものに……見せますね」
そういってフリックは右手を宙でスライドさせる。するとそこに光が浮かび上がった
職業 領主 性別 男
レベル 4
筋力 12
耐久力 28
体力 11
敏捷 10
知力 34
「これはステータスでして個々で違います。レベルは日々命のやり取りをしている人ほど上昇し、私のような者は日々の積み重ねで上がります。まあ普通の人は大概レベル5くらいで生涯を終えます」
「なるほど、じゃあさっきの自警団の方々はレベルが高いんですね?」
「そういうことです。では次に能力値についてです。能力値は種族ごとに傾向が違います。人族は基本知力が高い傾向にあり筋力が低めです。逆に彼女のような獣族は筋力が高く知力が低めです」
「なんでフリックさんは耐久力が高いんですか?」
俺は素朴な疑問をぶつけてみた
「ふふっ…それはですね、毎日毎日王政からは貢物は?徴収は?とかなにやら言われ続けても我慢してきた精神的なものからですね」
どうやら負のスイッチを押してしまったようだ。権力者って大変なんだな
「次にスキルについてです」
そういうとステータスバーをしたにスクロールした
スキル
カリスマ B+
精神異常耐性 A
「カリスマは上にたつ者ほど高い傾向ですね。精神異常は……聞かないでください」
俺と紫苑は目を合わせようとしなかった。メイドさんですら口笛を吹いて外を眺めている
「スキルは冒険者や自警団になるとスキルポイントというものが手に入るようになって、新たに覚えることもできますし、勝手に手に入ってたりするものです。ではおふたりもステータスバーを出してください」
紫苑は言われた通りにステータスバーをだす
俺はゲームやアニメでさんざん見てきた異世界の常識にならってあとにだすことに
職業 勇者 性別 男
レベル 1
筋力 18 (+200)
耐久力 15 (+200)
体力 20 (+200)
俊敏 19 (+200)
知力 20 (+200)
スキル
世界を託されし者 EX
「………」
なんだこのチートにチートを重ねたようなステータスは、普通職業って最初は空欄だよね?なに勇者って?ほわっつ?まずスキル名おかしくね?世界を託されし者 EX?イミワカンナイ
「えっ?これってすごいの?」
「こ、これは…メロ!!早く王国に連絡を!!」
慌ただしく部屋を飛び出すメイドさん。領主のテンションもすごいことに
「勇者様!これよりうちのものに最高品質の武器防具を取り揃えされますので…すぐに旅の用意を!!」
「ちょっ、待ってください!!一回落ち着いてショウのステータスを見ましょう」
領主が止まる。そして完全に蚊帳の外だった俺に目がいく
こいつは善意で言っているのだろう。しかし俺は知っている。このあとに起きる悲劇を
「そうですね…彼は勇者様の親友でしたね。どれほど素晴らしいものをお持ちなのでしょう」
やめてくれっ!これ以上ハードルを上げないでくれ。これはお約束の展開フラグというやつにしかならないじゃないか!!
俺は奇跡を信じてスクロールバーをだす
職業 性別 男
レベル 1
筋力 11
耐久力 10
体力 8
敏捷 13
知力 15
スキル
鍛冶師の心得 EX
「………」
このあとのことはダイジェスト的に言おう
次の日、紫苑は王都へ旅立った
そして俺は領主に鍛冶職人として雇われたがこの特殊スキルにより喧嘩を勃発、解雇された
そして半年の月日がたった…現在にいたる
「ちっくしょぉぉぉぉぉ!!」




