↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放勇者とコップ一杯の水 -神様はアホなのか?-  作者: ねこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/80

63話:新たな情報

「あら、サトウさん。お帰りなさい。少しの間、狩りに出かけていたんですって? 成果はどうでした?」


 ガストン商会の中に入ると、ちょうど書類を抱えたマリーダさんと出くわした。彼女は俺が背負っているずっしりとした荷物に興味を引かれたようで、いたずらっぽく微笑みながら話しかけてくる。


「マリーダさん、お久しぶりです。成果はこんな感じですね。さっそく買取をお願いしてもいいですか?」


「もちろんですわ。サトウさんが持ってきてくださるものはいつも貴重なものばかりですし、何より状態が素晴らしいと職人方からも聞いております。本当に、以前私がお渡ししたお礼が、今となっては無意味なものになってしまいそうですわね……」


 そう言ってマリーダさんはクスクスと笑いながら、奥にいる鑑定人のアルバートさんを呼びに立ち上がった。

 待っている間、俺はそれとなく商会の中を見渡してみたが、本来ここにいるはずの目的の人物の姿が見当たらない。


「ところで、ガストンさんはどちらに?」


 戻ってきたマリーダさんに尋ねてみる。


「主人は今、冒険者ギルドの方から急に呼び出されてしまいまして。申し訳ありません、今は不在なんですの」


「そうでしたか……」


「何かお急ぎのご用でも?」


「そうですね――実は王国のことで、少し耳に入れておきたい情報がありまして」


 俺がそう切り出したその時、背後の入り口の扉が勢いよく開き、聞き慣れたガストンさんの声が響いた。


「いやあ、まいったまいった。まさかこのタイミングで……。――おや、サトウ殿! 狩りから戻られましたか!」


 額に浮かんだ汗をハンカチで拭いながら、ガストンさんは俺の姿に気が付くと、大股でこちらへ近づいてきた。


「ガストンさん、お帰りなさい。ちょうどいいところに。……ギルドから呼び出されていたとか?」


「ええ、天人から新しい情報がギルドに届きましてね。大軍とともに『四代目の勇者』たちが前線から南下を始めているのは確実のようだ、と。計算では、もうそろそろ王国に戻っている頃合いだという話だったのですが……」


「やっぱりそうでしたか。実は俺、狩りをしている途中で、まさにその勇者らしき黒髪の四人組が大量の兵を連れて王国の城壁内へ入っていくのを直に確認したんです」


 ガストンさんの話を聞いたことで、あの時遠眼鏡越しに見た黒髪の男女が、間違いなく四代目の勇者たちだったのだと確信が持てた。


「なんと! サトウ殿、ご自身の目で直に確認されましたか!」


「ええ。とはいえ、彼らが中に入った次の日も確認しましたが、特に軍がこちらへ向けて出撃するような様子はなく、城内は静かなものでした」


「なるほど、なるほど……! 貴重な現場の情報ですな。これは今すぐにでも、もう一度ギルドへ引き返してスウェイン殿たちと情報を共有しなくてはなりません!」


「なんだか、タイミングが悪かったですかね……。せっかく戻ってこられたのに、俺の情報のせいでまたすぐお仕事に行かせることになってしまって」


 疲れた様子で戻ってきたガストンさんを、すぐにまた追い出す形になってしまったことに少し罪悪感を覚えてしまう。しかし、ガストンさんはむしろ非常に明るい顔で、俺のその考えを豪快に訂正してくれた。


「いえいえ、とんでもない! 商人にとっても防衛局にとっても、情報は命です! 確度の高い最新情報ほどありがたいものはありませんよ。それでは、行ってまいります!」


 そう言うと、ガストンさんは中に入ってきたそのままの身なりで、再び活気あふれるアイゼンの街へと大急ぎで出かけていった。そのタフさには本当に頭が下がる。


「ふふ、主人は本当に仕事人間ですから。サトウさんも長旅と監視でお疲れでしょう? 今日はここでゆっくりしていってくださいな。久しぶりにサトウさんが帰ってきたのですから、きっとリナも喜びますわ」


「そうですね、お言葉に甘えてそうさせてもらいます」


 マリーダさんの優しい言葉に従い、俺は荷物を下ろして商会で一息つくことにした。


 その後は、戻ってきたリナも交えて、久しぶりに帰ったアジトが雑草で大変なことになっていた話や、リナをいつか招待するためにせっせと石の階段を整備したことなどを面白おかしく話して聞かせた。リナは「私のために階段を?」と、とても嬉しそうに耳を傾けてくれた。

 また、俺が留守にしていた最近のアイゼンの様子や、リナが商会で任されている新しい仕事の内容、そしてハジメがミラやルルたちに懐かれながら無抵抗でこなしたというギルドの依頼結果などの噂話に触れながら、その日は久しぶりに穏やかでゆったりとした時間を過ごしたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。