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19、対抗占い

羽賀「織田が人狼……」


日菜々「うん、織田さんが最後の人狼」


日菜々がもう一度はっきり告げる。


織田「……な、なんじゃと?」


織田は小さくそうとだけ言い、目を見開き黙った。

その時間、体感で5秒以上。

かなり驚き、フリーズしたように見えた。


羽賀「おい、織田。何か反論は?」


織田「……」


羽賀「おい!」


織田「……なるほどのう。そういうことやったんかい」


下を向き、一人で合点している。


牧村「えっ、てか織田さんも占い師なんでしょ?

そんなこと言われてていいの?

誰を占ったの?」


織田「……」


牧村「織田さん?」


織田「占いか……そうじゃな。

わしは、桃山を占ったわい」


羽賀「織田も対抗を占ったのか」


牧村「結果は?」


日菜々「……」


織田「ああ、桃山は人間と出た。

つまり桃山は狂人じゃな」


日菜々「……」


2人とも対抗の占い師を占ったのか。

普通、対抗占いはしない。

周りから見て、どっちが本当の占い師かわからない以上、その結果に信憑性は皆無。

そんなとこ占うくらいなら、グレーの人間を占い、少しでも情報を落とすべき。

それを2人ともしたのは意外だ。

さて、周りはこれをどう読むのか?


羽賀「日菜々ちゃん、何で織田を占ったの?」


羽賀が追求する。


日菜々「だって、人狼の前島さんは桐生さんを人狼だって嘘ついてたんだよ!

桐生さんも人狼だったなら、ゲームは終わってる筈だからね。

桐生さんが人狼だって嘘をついた理由は、占い師に出た人狼を狂人の桐生さんになすりつけるため。

なら、前島さんが庇ってるのは織田さんしかいないもん」


なるほど。筋は通る。

つまり日菜々が本物なら、

占い師、日菜々

霊能者、斉藤 or 山井

狂人、桐生

人狼、前島と織田

と見えてるわけだな。矛盾はしていない。


羽賀「そか。織田はどうして日菜々ちゃん占ったの?」


織田「……ふん、わしは桃山も前島も信用しとらんと言った筈じゃ。だから占ったまでじゃ」


逆に織田が本物なら、

占い師、織田

霊能者、前島

狂人、日菜々

人狼、桐生と???

山井は消去法で騎士になり、最後の人狼は羽賀、牧村、九十九の誰か。

こっちも矛盾していない。


牧村「なるほど、つまり日菜々ちゃんを信じるなら織田さんを処刑したら終わりか」


羽賀「織田を信じるなら、俺らグレー3人の中の誰かか……

織田!何で日菜々ちゃん占ったんだ?

日菜々ちゃんは筋が通ってると思うが、お前が本物ならグレー3人の誰かを占ったほうがよかったんじゃないのか?」


牧村「それに何で段々、口数が少なくなってるの?さっきの驚き方とか怪しいんだけど……」


織田「……」


羽賀「おい織田!何とか言えよ!」


織田「ふん、ノーコメントじゃな!

わしが、おのれらに教えれることなど何もないわい!」


羽賀「はあ?何だよそれ?」


織田「……」


織田は黙ってしまう。

これが、本物の占い師が偽物に人狼と言われた態度なのか?

もっと弁明がある筈なのでは?

何かを諦めたように見えるぞ。


牧村「ねえ、九十九さんはどう思うの?」


九十九「うう……くっ」


まだ泣いている。会話にならない。


牧村「で、何でこの人は泣いてるの?

もうわけわかんないよ!」


羽賀「牧村ちゃん!」


牧村「……はい?」


羽賀「俺は今、牧村ちゃんを一番信じてる。君だけは人狼ではないと思ってる」


牧村「ホント?やった!

じゃあ私も羽賀さんのこと信じるよ!」


羽賀「ああ、ありがとう。

でさ、ここしっかり状況確認しないか?

今日の方針が勝敗を分けると思うんだ」


牧村「う、うん。だよね。わかったよ」


羽賀「まず、日菜々ちゃん本物なら織田で終わり。ここは簡単でいい」


牧村「うんうん」


羽賀「織田が本物なら、日菜々ちゃんは狂人だから、俺、牧村ちゃん、九十九の誰か」


牧村「えっと……うん、そうだね」


羽賀「つまり日菜々ちゃんは人間確定。

まあ狂人の可能性はあるけど、人狼はないよな?本物占い師か、狂人」


牧村「だね。そして織田さんは本物占い師か、人狼ってことだね」


羽賀「そうそう。どっちが本物っぽいか考えよう」


牧村「ま、待って!初めにローラーされた桐生さんが本物の可能性は?

つまり今生きてるどっちも偽物で、狂人と人狼って言うのは?」


羽賀「そか。その可能性があったか……」


そう、まだその可能性があるんだ。

初日に殺した桐生が本物なら、

占い師、桐生

霊能者、斉藤 or 山井

狂人、日菜々 or 織田

人狼、前島と日菜々 or 織田

桐生を人狼と言った前島が、逆に人狼となるのが、ポイントだな。


牧村「この可能性なら、日菜々ちゃんも織田さんも人狼側。狂人と人狼となるね」


羽賀「この場合怖いぞ。俺らグレーを吊ったら、明日パワープレイが来る」


牧村「パワープレイ?」


羽賀「残り3人。村人、狂人、人狼が残った場合。

人間2、人狼1でゲームは続く。

しかし実質、村人チーム1、人狼チーム2なんで人狼チームの方が多い。そして人狼が狂人に人狼だとカミングアウトをして、残った村人を吊ってしまうパターンだよ」


牧村「え?つまり?」


羽賀「ま、とにかく残り3人で狂人が残ってたら村人チームは負けるってことな!」


牧村「?……う、うん」


まれに見るパターン、パワープレイがあるのか。

なら、今日は狂人濃厚の日菜々を吊るしかないな。


牧村「よくわかんないけど、桐生さんが本物占い師なら、前島さんが人狼だよね?

なら、日菜々ちゃんが人狼はないんじゃないの?

人狼が人狼に黒出ししてるってことになるよ」


あ、そうか。なるほど。

鋭いな牧村。


羽賀「……確かにな。その場合、日菜々ちゃんが狂人。んで狂人の日菜々ちゃんは人狼が誰かわからないから、人狼の前島に誤爆してしまったってことか。


これまでの情報から、桐生が本物の占い師なら、織田人狼が濃厚か。

つまりどの視点でも日菜々ちゃんが人狼はなさそうだな。

ただ狂人の可能性は五分五分だ」


日菜々「なら今日は私吊りでもいいよ……」


羽賀「……」


日菜々「狂人の桐生さんと、人狼の1人の前島さんがもういない以上、明日パワープレイの心配はしなくて大丈夫だよ。

それでも心配なら、今日は私を殺しさえすれば明日パワープレイは絶対にない。


もう1日よく考えてもらってもいいかも。

羽賀さん、牧村さん、九十九さん、明日この中から1人噛まれたとしても、織田さんを吊ってくれれば、残った2人は助かるもんね」


羽賀「え?それだと日菜々ちゃんが死んじゃうけどいいの?」


牧村「そうだよ!何言ってんの!」


日菜々「……それでいいかも。

どれだけ言っても、私が本物の占い師だって確定してもらえないんだから。

人を殺して、生きてるの辛いし……」


前島に言われたことが効いているな。


日菜々「灰ちゃんも……私のせいで……」


左を見て、涙を落とす日菜々。


織田「……」


羽賀「日菜々ちゃん……」


牧村「ねえ」


羽賀「ん?」


牧村「占い師3人の内訳が、本物、人狼、人狼のパターンってあるかな?」


織田「……」


ほう、そのパターンも追うか。


羽賀「それは俺も一度考えた。

だけどないでいいと思う」


牧村「なんで?」


羽賀「まず、3人は桐生→織田→日菜々ちゃんと順番にカミングアウトした。

先に出た人狼。後に出た人狼がいるなら、後に出た人狼の行動は不可解。

先に出た人狼に嘘の占いを任せればいいだろ?3人も出たら、ローラーされるのはわかってるし。

それに桐生と織田は信用の落とし合いをしてた。

日菜々ちゃんは桐生を占い師だと言う前から疑い続けてたし、織田も黒出しした。

占い師3人の対立具合から、人狼2人はありえない。


それに最初の投票を思い出せ。

桐生→織田

織田→日菜々ちゃん

日菜々ちゃん→桐生

三者三様に入れている。

人狼同士は、2人で本物の占い師に票を固める筈だろ?」


牧村「なるほど。そか、把握だよ」


羽賀もやるな。こいつも色々メモしてたし、色んな可能性を考えられている。


個人的には、日菜々を狂人としてパワープレイ防止に吊るのがいいと思う。

日菜々が本物の占い師でも、今日殺しておけば、明日は確実に狂人なしで迎えれる。

織田は明日吊っても遅くはない。


九十九「そんな議論はもうしなくていい」


九十九が急に遮った。

目に涙はもうない。


羽賀「……は?」


牧村「九十九さん……今度は何なの?」


九十九「ついに思いついたのさ。全員が助かる方法をな」


ほう。ここで何を言い出すかと思ったら。


羽賀「お前まだそんなこと言ってんのかよ!」


牧村「どうするのよ?そんな方法ないでしょ!」


九十九「覚悟するよ。これは私の人生で残された最大で最後のチャンスなのだから!」


九十九が静かに息を吸い、言う。


九十九「私が……」


日菜々「……」


九十九「騎士だ」






3日目、昼のターン。

挿絵(By みてみん)

1、前島康隆………死亡、2日目処刑

2、羽賀亮也

3、牧村芽衣子

4、織田武臣

5、山井小百合……死亡、2日目襲撃

6、九十九一

7、桐生星華………死亡、1日目処刑

8、斉藤章三………死亡、1日目襲撃

9、桃山日菜々


残り5人。

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