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人狼ゲーム -八つ目の大罪- 作者:寂尾蘭太
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19/33

18、ベグ

独白
『怠惰の大罪』



例えば、それは……
学校の宿題だったり
部屋の掃除だったり
友達との約束だったり

やらなきゃいけないこと。
それをやる意欲が湧かない。

ギリギリまでやらない。
とは、また違う。

私の場合、本当に何もやらない。
ただ通過するだけ。

私の大罪、怠惰。
それは自他共に認める甘えの極み。

どうしてこんなに何をする意欲もわかないのか。理由は薄々知っていた。



私は父、母、姉、私の4人家族。

そう、私には姉がいた。

3つ歳上の姉、小夜子は私なんかと違い優秀で、県内でトップクラスの名門女子校の卒業生。

昔から何でも上手にこなす姉。

私はそんな姉と比べられた。
徹底的に。

そんな中、自分が不良品だと把握するのは容易かった。

やってもどうせ、お姉ちゃんと比べられるし、勝てないもん。

これが怠惰の源泉だったのかもしれない。



そんな私の家が火事になったのは、結構最近のこと。

火がついたのが深夜と言うこともあり、家族は皆一酸化炭素中毒で死んだ。

私?
私は生きてるよ。

誰よりも早く火の手から逃げたから。

何で逃げれたのかって?

それは私がひきこもりで、昼夜逆転生活だったことはあまり関係ないんだけど、まあそこは置いておいて。

逃げる前に家族を起こすべきだという意見はわかるけど、私はそれをしなかった。

なぜかって?
そんなことする意欲が湧かなかったから。

別に家族が嫌いだったとかはない。
むしろひきこもりになった私に家族は寛大で甘かった。
ただ意欲がなかった。本当にそれだけ。

親戚にはひどく責められた。

でもそんなことより、決定的に悪いことがあるんだよね。



それは、私が家に火をつけた本人だと言うこと。



なぜかって?
それは、ひきこもってる内に生きる意欲がないと思ったから。

でもそれは間違い。

自殺を決めて、火の手が広がる部屋の隅で私ははっきり思ったの。

死にたくない!って。

そして私は立ち上がり、走って逃げた。

私の大罪は、生きてる自分を守るために生まれたものだったみたい。
だから火がトラウマになり、ライターの火にさえ恐怖を感じるようにもなった。

怠惰がなぜ大罪なのか、わかる?

それは、自分の役割を放棄しているところ。

私は何もしない。
だから、私に何もしないで。

自衛から来ているものだったと、今は深く自覚しているよ。
反省もしてる。だからこのゲームの最後で少し発言してみたの。

何で私が人狼に殺されたのかって?

そんなの考えられないよ。
だって意欲が湧かないから。



山井小百合、死亡。
2日目、夜のターンにて人狼から襲撃。



2日目終了。
ゲームは、3日目へ。











狼の牙が口を開き、獲物を吐き出した。

山井小百合の死体。
愛用していたパーカーはズタズタに引き裂かれ、悲鳴を上げたままの顔が真っ赤に染まり、彼女は絶命していた。

羽賀「うわ……」

織田「むごいのう」

牧村「ああ……ひどい」

日菜々「……もう、やだよ」

鶏の声が部屋中に鳴る。
3日目の朝が来た。

セイギノミカタ「朝になりました。山井小百合さんが無残な姿で発見されました。
人狼の襲撃を受けたと言うことは、山井さんは人狼ではなかったということです」

山井を襲撃したのか。
なぜそんな怪しかったとこを噛んだんだ?
占い師の織田が白って言ったからか?
いや役職だと言ったからか?
さすがに今日は占い師が襲われると思っていた。

しかも山井は人狼経験のない初心者だ。
そういえば、斉藤もそうだった。
初心者から殺してるのか……?
人狼の、余裕を象徴しているようだった。

セイギノミカタ「人狼はまだ生き残り、村人の中に紛れています。
よってゲームは続きます。
そして昨晩、最も人狼だと怪しまれていた人物は、織田武臣さんです」

織田「……ちっ」

まあ織田か。
昨日ずっと黙っていたからな。

セイギノミカタ「それでは、3日目の村民会議を開き、多数決で人狼だと思う人を1人処刑して下さい。
生存者は現在、羽賀、牧村、織田、九十九、桃山の5人
村民会議の時間は30分。
それでは議論スタート!」

ゴーンゴーンと鐘の音が部屋中に轟いた。

3日目の会議が始まった。
既に死者は4名、残り5人か。少なくなってきたな。

しかし、どうして山井なんだ?
人狼は残り1人説が濃厚で、今日占い師に占われてたらまずいはずだ。

なぜ、日菜々も織田も残したんだ?

最悪、ベグでもいいから占い師は噛み殺すべきだったのではないだろうか?

ベグとは、例えば織田と日菜々の内訳が本物と狂人の場合。
人狼側からしてもどっちが本物かわからない。しかし適当に片方を殺してみれば、残ったもう片方は偽物っぽくなり、結果どっちが本物かわからないまま占い師を機能停止させられる戦法だ。

これが起こってもいい残り人数だし、ましてや日菜々は前島に黒出ししてるし、さすがに判別はついてるはずだ。

ただ2人の内のどちらかが人狼なら、噛まれなかったのは説明がつく。

基本的に噛まれた占い師は本物。
残された方は人狼に恐れられてない偽物となる。
結果、人狼側なので吊られてしまう。

日菜々か織田のどっちかが人狼なら、相手を噛むと自分が吊られるので、噛めなかったという道理になる。
これが正解か?

九十九「くそぉ!!」

思考を遮るように、九十九が急に叫んだ。
全員の視線が九十九に集まる。

そして全員驚愕する。

九十九は、歯を食いしばり泣いていたのだ。

九十九「うう、私は……私は……」

殺人犯の涙。僕も驚いた。

羽賀「な、なんだ!どうしたんだよ?」

九十九「すまない……山井くん」

牧村「えっ何謝ってるの?」

日菜々「ふふ、あははあは」

今度は日菜々が急に笑い始める。
その顔は、困ったような、悲しんでるような、喜んでいるような、形容しがたい表情で泣いていた。

羽賀「日菜々ちゃんまで、どうしたんだよ?」

牧村「えっえっ何なの?どうなってんの?」

織田「……」

日菜々「生きてた……よかった……」

牧村「え?」

日菜々「ごめんなさい。斉藤さん、山井さん……」

羽賀「どうしたんだよ、日菜々ちゃん?」

日菜々「でも……勝ったよ。何とか。
羽賀さん、牧村さん、九十九さん、あなた達は私が守れたのかな?」

織田「……」

羽賀「だから、どういうことだって!」

羽賀が理解出来ず苛立っているのがわかる。

日菜々「最後の……人狼を見つけました……」

ゆっくり、言い放った。

羽賀「まじか!」

牧村「占い結果ってことだよね?誰誰?」

織田「……」

ほう、最後の人狼を見つけたのか。
誰を占ったと言うんだ?

日菜々「ふう……」

落ち着くよう息を吐く。
そして、そいつに指をさした。

日菜々「織田さん……織田さんがもう1人の人狼でした!」





3日目、昼のターン。

1、前島康隆………死亡、2日目処刑
2、羽賀亮也
3、牧村芽衣子
4、織田武臣
5、山井小百合……死亡、2日目襲撃
6、九十九一
7、桐生星華………死亡、1日目処刑
8、斉藤章三………死亡、1日目襲撃
9、桃山日菜々

残り5人。
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