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人狼ゲーム -八つ目の大罪- 作者:寂尾蘭太
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16、安全策

セイギノミカタ「では、これより処刑を開始します!」

前島「……」

同時に椅子と円卓が回転を始めた。

そして、電気椅子の前に前島が来たところでピタリと止まる。

前島「ふん、貴様らごときが俺を殺すか……面白い」

前島は腕を組み、こっちを睨む。
桐生のように暴れたりはしなかった。
その姿勢には、生涯で築き上げたプライドのようなものが見てとれた。

少しずつ電気椅子の方へ、椅子が引き寄せられる。

山井「あ、うう」

山井がまたあれを見ないといけないのかと言わんばかりに俯く。

日菜々「……」

羽賀「……」

牧村「……」

織田「……ちっ」

九十九「……」

前島吊りを推したメンバーは皆下を見てる。
仕方ない。仕方ないんだ。
心の声がそう漏れてきそうな顔だった。

前島「おい、貴様ら!こっちを見ろ!
そして脳裏に刻め!お前らが選んだ結果だろう!
二度と忘れるな……
お前らはまた人を殺すんだ!」

織田「ちっ、やめろや……もう」

前島「特に桃山、お前だ!
お前はまた罪を重ね、それを1日も忘れることなく、人を殺した自覚を持ち、生涯苦しみ死んでいけ!
お前は紛れもない大罪人だ!」

日菜々「うう、やだやだやだやだぁ……
やめてよぉ」

泣く。そして耳を塞ぐ。
現実から逃れるように。

前島が金網の中で止まった。
同時に機械が作動する音が響いた。

多量の水が前島の頭上から降り、ずぶ濡れになる。
その衝撃で、彼のメガネが床に落ちた。

前島「ふん、俺はここまでだが、貴様らは確実に裁きを受ける。
……忘れるな」

そのメガネを外した眼光は依然鋭さを増し、そこには殺意が満ちていた。

セイギノミカタ「準備オッケー!
前島康隆、処刑執行!!」

雷鳴のような音が轟き、部屋中が眩い光に包まれる。
電気椅子は2人目を裁いた。










独白
『傲慢の大罪』



「い、痛い!
し、死ぬ!死んじゃうよお!
お願い!助けて!!」

「津島亜梨沙……どうだ理解したか?
これが、単車に轢き逃げされた老婆の最期の痛みだ。

彼女も助けてもらいたかったろうな。
恋人とのデートを優先し、走り去る貴様の背中を見て、何を思ったかわかったか?」

「……してやる」

「ん?」

「殺してやる!殺してやる!殺してやる!
体にこんな傷あったら、二度と彼氏出来ないだろうが!!
てめえ!いつか絶対ぶっ殺してやるからな!!」

「ふん……貴様に更正の余地はなさそうだ。
貴様に、いつかなんてない。
もういい、死んで償え」

「え?や、やだ!いや……ぎゃあああ!!」



俺は特別だ。

それは、幼少期にIQ180の神童だと崇められた時か。
探偵として、莫大な金を稼ぎ始めた頃か。
未成年犯罪者達を使ってゲームを始めた時か。

いつからはっきりと認識してたかは定かではないが、いつだってそれが当然だと理解していた。

そう、俺は街を歩くだけでイライラする。

すれ違う様々な通行人を全て見下している。
お前らが、猿を見る時の目に近いだろうな。

進化出来ていない下等種族。
むしろ下等種族どもを理解してやっている俺がいかに親切か、それくらいは理解しろと言いたくなる。

車椅子の中年が俺の進路に現れた。

こいつはさっき福祉事務所で、生活保護減額と聞き役員を怒鳴りつけていた男。
そいつは当然のように言う。

「すまない……」

「……何がだ?」

「あ、すまない……道を開けてくれ」

「なぜだ?」

「……なぜ?」

「お前らは、平等の生活をと謳っているくせに、なぜ相手がいつも道を開けるべき側だと決めつけているんだ?」

「はあ……」

車椅子を蹴り倒し、道の端へ寄らせてやった。

「ぐう……」

「別に平等や差別、自分に益なことだけ受け入れることが駄目なことだとは言わない。
俺がいないところで勝手にやってろ、下等種族が」

真っ直ぐ立ち去る。

平等なんてあるわけないだろ。阿呆が。
不平等こそ、平等に与えられるものだ。

間違ってる。低脳ばかりだ。

だから俺が進化させてやる。
例えそれが犯罪であろうと、俺の正義で補正していくしかないんだ。

まあ確かに俺の正義を正義と思わない奴もいるだろう。
だが、それがどうした?

正義なんて主観でしかなく、正義の反対は悪ではなく、また別の正義なんてことはわかっている。

ただ下等種族どもより、俺の方が上なことなど説明するまでもないだろう?

俺の大罪、傲慢。

セイギノミカタとやらはそう言うだろうな。
未成年犯罪者を更正していた俺のやろうとしてることと似ているが、あんな餓鬼っぽい奴と一緒にするな。

ただ今回の敗因ははっきり気付いている。

俺と奴らでは、土台が違うんだ。
議論にならなかったのは仕方ない。

そう、俺も履き違えていたところがあった。

このゲームの本質とは、
騙し合いをすることでも、ましてや正しいことを言うことでもない。

相手を説得するゲーム。

正論でさえ、強い言葉をまとえば人を傷付けるもの。
平等に1票ずつ持っている相手を、いかに納得させる意見が伝えられるか。

そこを履き違えて、全員を敵に回したことが俺の人生で唯一のミスだったと言えるだろう。



前島康隆、死亡。
2日目、昼のターンにて処刑。





2日目、昼のターン終了。

1、前島康隆………死亡、2日目処刑
2、羽賀亮也
3、牧村芽衣子
4、織田武臣
5、山井小百合
6、九十九一
7、桐生星華………死亡、1日目処刑
8、斉藤章三………死亡、1日目襲撃
9、桃山日菜々

残り6人。
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