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4話 わたくし達ずっと一緒ですわ!

テツの散歩を終え、咲希の家で一息ついた結菜。


「じゃあ、そろそろ帰るね」


結菜が玄関を出ると、猛が野球部の練習から帰ってきた。


「おっ結菜!テツの散歩、咲希と一緒に行ってくれたのか?サンキュー」


そこへ、奥から咲希が顔を出す。


「あら、今頃お帰りですの? ちょっと遅いではありませんか!」


「うっせーな。部活だよ部活。お前こそ、テツに引きずられて転ばなかったか?」


「余計なお世話ですわ! わたくしを誰だと思って……!」


いつものように火花を散らす二人。結菜はそれを見て、静かに微笑む。

(……変わらない。ずっと、こうだったよね)



中学3年生の放課後。進路希望調査票を前にして3人で進路の話をしていた。


「猛、どこの高校を考えてますの?」


「あ? 隣町の『鉄鋼てっこう男子高等学校』だよ。あそこ、スポーツ異種格闘技戦があるから面白そうじゃん!」


「……あんな野蛮な、筋肉のぶつかり合いを教育と呼ぶ学校に行きますの? 信じられませんわ!」


呆れる咲希が、隣の結菜に視線を向ける。


「結菜は? あなたのような淑女なら、きっと聖マリナ女学院あたりかしら?」


「ううん、私は鉄鋼のすぐ隣にある『恋華れんか女子高等学園』を受けるつもりだよ」


「えっ!? あそこって、確か……『恋する乙女』しか入れないという、おかしな校則がある学校ではありませんこと? 結菜、…誰かに恋をしていますの?」


「ふふ、教えないよー」


結菜の茶目っ気たっぷりの返事に、咲希は少しだけ焦りを感じた。


(二人が隣り合わせの学校に行くなら、わたくしだけ離れるわけにはいきませんわ……!)


「……恋愛のことはさっぱりわかりませんけれど。結菜が行くなら、わたくしも受けてみますわ!」



恋華女子の入学試験。筆記を突破した咲希を待っていたのは、学園長による最終面接だった。


「如月咲希さん。……単刀直入に伺います。あなたは今、どんな恋をしていますか?」


「恋愛のことは……正直、さっぱりわかりませんわ」


咲希は背筋を伸ばし、堂々と答える。


「ただ、親友がこの学校に入ると言いました。そして、幼馴染が…隣の男子校に行くと。……これからも、3人で一緒に登校したい。ただそれだけですわ!」


その瞬間、学園内のラブパワー検知器が反応した。


『――LOVE POWERを感知 ラブ・ドレスアップ(武装開放)!!――』


「なんですのこれーーーっ!?」


咲希の体を突然、ピンクのフリルがついた無骨な『拒絶する鉄仮面』が包みこむ。


学園長は眼鏡の奥の瞳を輝かせ、微笑んだ。


「ふふふ。…恋ですね。如月咲希さん、合格です」



現在に戻り。


猛が家の中へ消えた後、咲希が怒りながら結菜に同意を求める。


「猛って本当にデリカシーがないと思いませんこと、結菜!?」


「……そうだね」


結菜は笑顔で答える。


けれど、その瞳には夕闇よりも深い「陰」が差していた。

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