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2話 あなたの本気の恋はどれでして?

いつもの3人での登校。

猛の「じゃあな、授業中寝るなよ!」という無愛想な挨拶に、咲希が「余計なお世話ですわ!授業中寝てるのはあなたでしょ!」と返す日常。

校門で別れる際、結菜は猛の背中を見つめ続けていた。


昼休みの学食。

テラス席では、2年生のギャル、ミカが取り巻きに囲まれ、華やかに笑っている。

「マジウケるんだけど! 前の彼は束縛激しくてムリだったけど、今の彼はいい感じー。っていうか、恋って楽しんでナンボでしょ?」


その声を背に、咲希と結菜がサラダを突つく。

「……恋愛バトルなんて大仰なものがありますけれど、わたくしは恋心を持ったことがありませんから。あのように次々と恋心を持てるのは、少し羨ましいですわ…。」

「そうなの?咲希は恋してると思うけど…。」

二人の他愛のない会話に、地獄耳のミカが反応する。

「あんた、さっきから何盗み聞きしてんの? 私の恋愛をディスってるわけ!?」


『――LOVE BATTLE 確認。闘技場フィールドを展開します――』


学食が瞬時に、雲海の上を浮遊する空中庭園へと変貌する。


「ラブ・ドレスアップ(武装開放)!!」


ミカの武装:『浮気なバタフライ・ウィング(ライト・ハート)』

背中に極彩色の羽が生え、重力を無視して上空へ。


咲希の武装:『拒絶する鉄仮面』


「また恋愛バトルですの?!」

ミカは大空に、咲希は地上にどっしりと鎮座(固定)していた。


実況(ミミ子)「始まりました! 『数こそ正義』のミカさん vs 『鉄仮面』咲希さん! 恋愛経験の差がそのまま高度の差となって現れています!」

解説(花園)「嗚呼……。ミカさんの軽い羽が、多くの男性たちからの熱風で高度を上げていますわ。対する咲希さんは重すぎるほどに不動。これは……空爆の予感ですわね」


「あんたみたいな地味女に教えてあげる…。 くらいな!恋のカタログ・爆撃カタログ・ボム!!」

ミカが上空から、過去の男たちとの「思い出」を大量投下した。

「今の彼は記念日にバッグくれた! その前は車出してくれた! その前は……!」

ドン!ドン!ドン!と鉄仮面に降り注ぐ、ミカの恋愛エピソードの数々。


実況「出たーっ! 『恋のカタログ・爆撃』! 質より量! 1ヶ月単位で使い捨てられる男たちの怨念……もとい、思い出が鉄仮面を襲うーっ!」

解説「嗚呼……。一つ一つの爆発力は小さい。しかし、この『多くの男性とのメモリー』という煙が、リングを覆い尽くしていく……! 咲希さん、窒息してしまいそうですわ!」


ミカはラブパワーを込めた一撃を放つ。

「1年続いた誠!毎日モーニングコールして、テスト前はファミレスで一緒に勉強して、あいつが部活で負けた時は一緒に泣いて……。でも私から別れたんだからー!!」

ドカーン!!

これまでにない重い衝撃が鉄仮面を揺らす。


鉄仮面の中で咲希は静かにミカの爆撃を受けて(聞いて)いた。

「色んな方とのお話を聞きましたが…。あなたは、どなたが一番好きでしたの?」

「っ……!? ど、どなたって……そんなの、みんなそれぞれ良いところが……」

ミカの羽が、急激に色褪せ、高度が落ち始める。

「…1年続いた誠さんですの?」

「えっ?!」

図星を突かれた瞬間、ミカの「軽い羽」は重りへと変わっていく。

「……それは……結局あいつに『重い』って言われて……。でも私が先に振ったんだから…!…あれ?!高度が 落ちていく?!キャー!!」

ヒューー……ドーン!

重りとなった羽がミカを地面へと落下させた。


実況「決着ーー!! 100の男性との思い出より、誠の思い出! 咲希さんの放った『真実の聖裁ジャッジメント・アンサー』が、ギャルのプライドを真っ逆さまに叩き落としました!」

解説「……切ない。実に切ないですわ。ミカさんは、新しい恋を重ねることで、たった一つの『本物』を忘れようとしていた……。しかし、咲希さんの曇りなき瞳(鉄仮面の隙間)は、見逃さなかった。これぞ、恋愛のリアリズムですわね……(ハンカチを噛む)」


『――WINNER:如月 咲希――』


バトルが終わり、

「……あいつのことなんて本気じゃなかった…。今も彼氏いるし…。」

とミカは膝を抱えてもじもじしている。


「やはりわたくし、恋をしたことがないから羨ましいですわ。あんなに色んな方との思い出を情熱的に語れるなんて…。」

結菜が咲希を見つめながら、揺らぎのある笑顔で答える。

「……咲希も、いつか一番好きな相手をちゃんと言えればいいね。……私もだけど」


その様子を、食堂の隅でタブレットを操作する少女が見つめていた。

「如月咲希。……分析完了。彼女の『恋愛感情』は、現在測定不能の領域で圧縮されています。……次回のアップデートで、削除してあげましょう。ねぇ、アダム?」

画面の中でアダムが、静かに頷く。

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