12話 実況VS解説!カオスバトルですわ!
新聞部部長・ミミ子と、文学部部長・花園優子。長年、実況席でマイクを握り合ってきた二人が、ついにステージ上で激突する。
キキ「実況席の二人が戦いに出ちゃったので、今回の進行は新聞部副部長の私、キキと」
電脳 幸「一年、電脳 幸。解説ではなく、すべての事象を論理的に解析します」
ミミ子「ここが百年目よ、優子! 今日こそどちらが『恋の伝道師』にふさわしいか白黒つけるわよ!」
花園「ふふふ、望むところですわ。ロマンなき事実に、物語の美しさを教えて差し上げます」
「ラブ・ドレスアップ(武装開放)!!」
ミミ子 武装:『恋愛パパラッチ(スキャンダル・アイ)』
巨大なカメラ型バズーカ。フラッシュと共に隠された真実(恥ずかしい過去)を暴く。
花園 優子:『恋愛収集家』
周囲を浮遊する無数の恋愛小説。ページをめくるたびに物語のヒーローが具現化する。
ミミ子「くらえ優子! あなたの昨夜の遍歴(読んでいた本の内容)を全校生徒に公開よ!」
カメラから暴露ビームが放たれ、会場のモニターに『悶絶!騎士様と秘密の温室』の表紙がデカデカと映し出される!
花園「ふふ、私はすべてのラブロマンスを愛していますから、そんなことでは動じませんわ。今読んでいるのは……第12章、騎士が愛を誓うシーンです!」
本から銀光りする騎士の幻影が現れ、大剣でミミ子を強襲する!
ミミ子「作り物の話に興味なし! これならどう?! 会場の観客たちの秘密をランダムに暴露よ!」
ビームが観客席に飛び次々と秘密が暴露される。
「A組の〇〇さんは駅前のカフェの店員に恋してる」「B組の〇〇さんは昨日男子高に侵入してプロテインを隠れて飲んだ!」
観客「なんで知ってるの!? やめてーーーっ!」
キキ「あちゃー、飛び火しまくりなのですー。カオスなのですー」
会場がカオスに染まる中、花園は語り続ける。
「以前読んだ小説のヒーローは、年上クール眼鏡男子…。放課後の教室でヒロインの唇を無理矢理奪っていましたわ…。」
ヒーローの幻影がミミ子にキスしようとするが、ビームにより霧散。
幸「解析の結果……お互いの話を1ミリも聞いていませんね。対話拒否。バトルの効率が著しく低下しています…。」
1時間後――。
闘技場は、ミミ子に秘密を暴露されてうずくまる女子、花園の長すぎる朗読に耐えきれず寝落ちした女子で溢れかえっていた。
キキは飽きてスマホをいじり、幸はタブレットでAIアダムとチャットしている。
ミミ子「……はぁ、はぁ……もう、喉が……ガラガラよ……」
花園「……流石に、読み疲れましたわ……。声が出ません……」
二人は同時に力尽き、ステージに倒れ込んだ。
キキ「あっ、終わったみたいなのですー。お疲れ様なのですー」
幸「両者沈黙。エネルギー切れ。判定は引き分けですね」
花園「ふふふ……また、決着がつきませんでしたわね……」
ミミ子「これからも……よろしくね……。我が、宿命のライバル……」
倒れたまま、震える手で二人は固い握手を交わした。
その頃、隣の鉄鋼男子高等学校。
こちらでも「スポーツ異種格闘技トーナメント」の熱戦が続いていた。
水泳部との1回戦。猛は得意の剛速球を放つが、水泳部の「バタフライ旋風」に苦戦し、辛くも勝利を収めていた。
控え室。
「猛、大丈夫か? お前、恋華女子から戻ってからずっと調子悪そうだぞ」
野球部のチームメイトが心配そうに声をかける。
「大丈夫……なんでもねえよ」
普段なら、何も考えずにど真ん中に投げ込んでいれば勝てていた。だが、今日は指先が狂う。
(……咲希の試合を見てから、なんだか胸がざわつくんだ。あいつ、あんなに必死になって……俺とのことを……)
猛はベンチに座り、自分の右手をじっと見つめる。
(どうしたんだ……俺。……なんだよ、このモヤモヤは……)
「……。」
野球部キャプテンは、そんな猛の「らしくない」沈黙を、黙って見つめていた。




