⑧ 人間のコントロール
伯爵たちがその事件を知ったのは、テレビで夜のニュースを見た時だった。
翌日の夜8時頃、急遽サロンの全てのメンバーが集められ、情報共有が成された。
(この頃はまだ、ネット環境が、今ほど整っていなかったのである。)
「コレは多分、敵がニンゲンを操る事を、試し始めたんだと思われます。ただウチのメンバーには、ほとんど体内に、五次元の住人である、古代エジプトの神々が宿ってますから、敵からの精神汚染の影響は、受けないハズです。」と伯爵。
「でも、僕とか、弓子さんとか。ジャンヌ・ダルクさんとか、そうじゃない人も、まあまあ居ますよ。」と鷹志。「ねえ伯爵、もし僕が、敵にコントロールされて暴れ出したら、ひと思いに息の根を止めて下さいね?」そして思いつめたように、そんな物騒な事まで言い出すのだった。
「鷹志!そんな事、私が許すはず無いでしょ?」
隣から由理子が怒った。
「大丈夫。キミ一人を行動不能にするのは、実に簡単な事ですから、わざわざ息の根を止める必要も有りませんよ。」
伯爵も笑顔でそんな事を言う。
「はあ。まあ、そうですよね。」
鷹志は、何だか急に恥ずかしくなった。
「私はアヌンナキだから……多分、大丈夫よね?」
カグヤ・イシュタルも少しだけ不安気だ。
「DNAが我々と根本的に違うので、多分、モンダイ無いかと……。」
伯爵が彼女を安心させようと、そう言った。
「良かったあ。」
彼女のパートナーの成雪が、そう言って胸を撫で下ろした。
「そう言う成雪君も、中身はセト神だし、カグヤさんに合わせてDNAを調整して有りますからね。安心して下さい。」
伯爵が優しい口調で、情報をつけ加えた。
「……やっぱりミトコンドリアが受信装置の働きをしているのでしょうか?」
鷹志が伯爵に確認する。
「その線が濃厚かと思われますね。実は香子さんが、植物に働きかける場面をテストケースにして、随分前から、検討及び分析済みなんですよ。」
「えっ?」
真田香子は驚いた。
「だってほら、由理子さんが動物を操るのは、テレパシーでお願いしているとしても……やっぱり植物にテレパシーが通じるかどうかは、大きな疑問ですからね。」と伯爵。
「疑問を絶対に放っておかないのが、伯爵ですからね。いつもながら、流石です。」と鷹志。
「毎度毎度、研究には、鷹志君が付き合ってくれてますからね。お陰様で解明までの道則は、随分はかどりましたよ。本当にどうもありがとう。」と最後に伯爵が、感謝の意を述べたのだった。




