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「セーラー服と雪女と大予言」(セーラー服と雪女 第30巻 第一部完結編)  作者: サナダムシオ


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⑦  テレビ塔襲撃

 それは4月20日の火曜日。時刻は午前9時頃の事である。

 その日は春らしい、穏やかな気候の、よく晴れた日だった。

 突然、名護屋テレビ塔の亜空間レストランの窓が、全て真っ暗になったのだ。


 よく見ると、窓の外の黒い影が蠢いている。

 ソレは、スズメバチの大集団だった。

 しかし、そもそもココは亜空間なのである。

 一体、どこからやって来たのだろうか?


 ちょうどその様子を見ていた杉浦鷹志が、訝しく思っていると、次の瞬間、エレベーターのドアが開いて、そのスズメバチの群衆が、レストランの中に飛び込んできたのだ!


 しかし彼らの襲撃は、瞬時に失敗が確定した。と言うのも、エレベーターの両側に、狛犬のごとく控えていたスフィンクスと鵺の二頭が、まるでバキュウムカー(昭和世代にしか分からない?)のように、全てのスズメバチを、どんどん吸い込んでしまったのだ。そして、窓に張り付いていた蜂たちも、やがて全て消えてしまった。


「ねえ、大丈夫なの?」隣で見ていた由理子が、思わず二頭に尋ねる。

「何て言ってる?」鷹志も心配して訊いてくる。


「『ちょっとチクチクするけど、味は悪く無かった』だって。」

「ええっ!?」

「まったく、幻獣、神獣には敵わないわねえ。」


「いやあ、驚きましたねえ。」

 言葉とは裏腹に、少しも動揺の色が見て取れないサン・ジェルマン伯爵が、奥のカウンターから言った。


「だから、いつも言ってるでしょう。ここのセキュリティーは、ガバガバだって。」

 その隣に居た、村田京子が言った。


「ちゃんとウチの二頭のセキュリティ装置が、イイ働きをしてくれたじゃないですか。」

「……まあ、そうだけどね。」


「前回は甲殻類たちでしたが、敵は今回、昆虫をコントロールしたようですねえ。」

「伯爵、やつらはどうして、亜空間に入り込めたのでしょう?」


「多分、昆虫を操っている本人に、そのチカラが有るってことでしょうね。」

「下僕を送り込んで、様子見って事ですか?」

「そうかも知れませんねえ。」


 しかし、本当に気にするべき大事件は、遠く離れたアメリカで起こっていた。

 昆虫によるレストラン襲撃は、実は目くらましに過ぎなかったのである。

 その事件とは、コロラド州のコロンバイン高校で起きた、同校の生徒2名による、銃の乱射である。


 それは、生徒12名と教師1名が死亡、その他20名以上が負傷した大惨事だった。

 そして最終的には、犯人の二人は自殺したのである。

 その二人の最後の言葉は、「指令は無事、遂行完了した。」だったとか。


 何と敵は、少人数の人間の意識なら、自分のコントロール下に置く事を、可能にしてしまったのだ。

 その事をまだ、サン・ジェルマンの仲間たちは、知らなかったのである。


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