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「セーラー服と雪女と大予言」(セーラー服と雪女 第30巻 第一部完結編)  作者: サナダムシオ


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4/15

④ 最初の異変

 翌月の3月15日月曜日。時刻は午前9時頃。

 昨日のホワイトデーの余韻もまだ残る、熱々の二人は、光学迷彩をONにした、グリーンのワーゲンビートルで、太平洋側の海岸線の上空を巡視していた。無論、その二人とは、杉浦鷹志と由理子夫妻である。


 と言うのも、つい先日、或るダイバーが、海中でエビやカニの集団に襲われるという事件が、起こったからである。だから異変を見つけたら、すぐにクルマごと、海に飛び込む準備をした上で、現場付近にやって来たのだ。


 伯爵と鷹志によって、今日まで地道に改良を続けて来たので、今やシルバー、グリーン、レッド、イエロー、ブラックの5台のビートルは、どれも海中での活動能力を始めとする、全て同等の装備を持つに至ったのである。



(ただし相変わらず、並行宇宙に行く機能だけは、伯爵専用機の黒いビートルに限られてはいるが……。)


 さて、二人の乗った緑のビートルが、ちょうど愛知県は渥美半島の先辺り、伊良湖岬の灯台前に差し掛かった時である。眼下の海岸に、慌てふためいて海から上がってくるダイバーが二人、そして、浅瀬に座礁したようなトレジャーボートが一艘、目に飛び込んで来たのだ。鷹志は岩陰にビートルを着陸させると、ダイバーたちに近づいて行って、声を掛けた。

「どうかされましたか?」


「カニだよ。いや、エビもか。海の中で急にカラダ中にまとわりついて来たんだ。それで、気がついたら、ボンベのホースを切られてしまった。」

 二人のダイバーの顔には、恐怖の色が浮かんでいた。よく見ると、ウエットスーツにも、たくさんの穴が開いている。


 ボートの船体も、FRP製のはずだが、随分傷めつけられていた。余程の大群に襲われたのだろうか?それだけでなく、スクリューの部分には、たくさんのエビやカニが挟まって死んでいる。自分の命を顧みない、捨て身の攻撃だ。


「……ただ、変なんだ。」ダイバーの話は続く。

「あとから大量のイカやタコがやって来て、エビやカニを攻撃……つまり食べ始めたんだよ。その隙に、僕らは命からがら逃げて来たんだ。」

「……あの子たち、約束を守ったんだわ。」由理子がポツリと呟いた。


「約束って?」尋ねる鷹志。

「前にちょっと……ね。ねえ、鷹志。今から伯爵に連絡を取って、日本中……いえ、世界中で、同じ事が起きて無いか確認してもらえるかしら?」

「お安い御用だよ、ユリちゃん。」


 鷹志はすぐに、亜空間レストランで待つ伯爵に、連絡を取った。

 伯爵はウアジェト女王に連絡を取り、彼女は12基の静止衛星を操って、ミューオン放射線や赤外線で、世界中の海の様子を調べたのだった。


挿絵(By みてみん)

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