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「セーラー服と雪女と大予言」(セーラー服と雪女 第30巻 第一部完結編)  作者: サナダムシオ


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㉙ 伯爵の種明かし

「キミはその後すぐにヒトの姿に戻ったものの、気を失ってしまった。それで私は仕方なく、キミを自分のラボに連れて帰る事にしました。」

「……おかげで助かりました。」


「ただその前に、やるべき大仕事が有りました。キミの変身を目撃した全ての者たちの、記憶の消去です。」

「……ああ、確かにソレは不味いですね。」


「どうやってソレを実行したのかは、ここでは詳らかにはしません。今後のセキュリティの問題が発生するので……まあ、優秀な頭脳の持ち主であるキミなら、いずれ分かることですがね?」

「……そうですか。ソレは仕方が無いですよね。」


「その後、ラボにキミを連れ帰った私は、キミが気を失っている間に、キミのカラダや脳など、色々と調べさせてもらいました。その結果、キミの精神が、二つに分離しかけている事を発見したのです。」

「そう……なんですね?」


「ソレは、とても危険な状態に思えました。そこで私は、その対策を講じる事にしました。キミの中に有った二つの魂を、別々の器に入れる手立てを考えたのです。」


「中々エグイ発想の、マッドサイエンティストよねえ?」

 そこで雪子がツッコミを入れた。

「アンタが言うの、それを?」

 京子がそのツッコミに、再度ツッコミを入れた。

 ソレはスルーして、伯爵が話を続ける。


「具体的には、ニンゲンの魂はニンゲンの身体の中にそのまま安定させ、そしてもう一つの魂……つまり"スカラベ"のソレは、私なりに分析しデータ化した後、緑色のフォルクスワーゲンビートルの、記憶メモリーの中に入れました。何故ならソレは甲虫のイメージで、親和性が有ると考えたからです。」

 伯爵は、とんでもない事を涼しい顔で言った。


「その頃の私は、まだ自分の周りに、どんどん内なる古代エジプトの神々が、来るべき危機に備えて集まって来るなどとは、想像すらしていませんでした。無論、そのスカラベが、最初の五次元世界からの使者である事も、気づいていません……いや、むしろ、ソレこそがスカラベ自身の思惑だったのかもしれないと、今では思っています。」


「結果的にスカラベの存在を、僕自身を含めたみんなに対して、秘密にする事になった件が……ですね?」

「そうです。そしてそれは切り札となり、先日の我々の勝利に結びつきました。」


「驚いたよ。私ですら分からなかったからな。本当に上手く隠しおおせて来たものだよ。」

 同じテーブルに居たウアジェト女王がそう言った。


「その通りです。"特に貴女に対しては"、打ち明ける訳には行かなかった……実を言うと、最初に雪村君にだけは、ネタバレをしたんですよ。すると彼から、そうしろとアドバイスを頂いたのでね。今回の作戦も彼が考えて、過去の下賀茂神社経由で、藤原貞子さんに伝えられたモノなのですから、彼は今回の勝利の、陰の功労者なのですよ。」

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