② 目的の変化
「最初はソレが目的でタイムトラベルを繰り返していたんですけど、途中から少々変節しましてね……まあ、色々あって今に至る訳なんですよ。」と伯爵。
「でも、アラハバキに出会った事が、調査の趣旨が変わる、一番大きなきっかけだったかな。」
京子がつけ加える。
「……ああ、あのトカゲみたいな人たちですね?」
貞子が思い出して言う。
「うん、貴女が出会ったのよりも、もっと好戦的で悪質な連中よ。それに彼等の言い分を信じるなら、下僕にするために、猿を改造してハダカ猿族……つまり私たちの先祖を創り出したのは、彼等らしいのよ。」
「それって……私たちにとって、神様みたいな存在って事になるんですか?」
「認めたくないけど、そういう事になるわね。でもほら、日本では、この世のどんなモノにも神が宿る"八百万の神"って言う考え方が有るじゃな?だから、無理にアイツらを信仰する必要も無いわよね?」
「ええ、まあ……そうですね。」
貞子は複雑な思いを抱いた。
「因みに貴女も私も、"雪女"という突然変異の末裔だから、その要素は薄まっているはずよ?」
「ああ……成る程。」
貞子は少しだけ、安心したようだった。
「更につけ加えるなら……。」伯爵が説明を続ける。
「我々のメンバーの多くは、カラダの中に、かつて古代エジプトの神々だった者たちが宿っているのですよ。どうやらソレも、五次元の世界の住人が由来らしいんですけどね?」
「へええ。」
詳しく説明される程、色々な属性が混在して、貞子にはもう、理解不能だった。
「そう言えば、伯爵……。」
ふと京子が、思い出したように言った。
「何ですか?京子さん。」
伯爵がジェントルな感じで答えた。
「その古代エジプトの有名な神々の中で、一柱だけ、私たちの前に現れていないモノが、居るんだけど……気づいてる?」
「ソレは復活と再生の神、スカラベの事ですね?」
「そうよ。やっぱり貴方にも、分かっていたのね?」
「私は、然るべき時が来たら、ソレが我々の前に現れると考えて居ますよ。」
「……今はまだ、その時では無いと?」
「そうですね……そう思います。」
「やっぱりそういう事よね?」京子は納得したようだった。
「ああ、そうそう、忘れるところだったわ……。」
彼女は思い出したようにそう言って、カウンターの下から、何やら可愛らしいリボンの付いたパッケージを出した。




