⑮ 懐かしい円盤
ソレを見たとたん、カグヤの目に涙が溢れ出た。
そして彼女は「ああ、お父様……。」と呟いた。
「それは一体どういう……?」
思わず隣の席から尋ねる、パートナーの成雪。
「アレは私の父の船です。父とその部下たちは、母星から出張して来た月面の基地で、私がこちらに来てからずっと……つまり私が"輝夜姫"と呼ばれていた頃から、この地球の環境変化や、人類の振る舞いを観測していたのです。いえ、むしろ、監視、という言い方をした方が正しいのかもしれません。」
彼女は成雪だけではなく、皆に向かって説明した。
「ソレは……初耳ですよね?」と杉浦鷹志。
「ごめんなさい。父から堅く口止めされていたので……。」謝るカグヤ。
「まあ、敵対行為ではありませんし、良かれと思っての行いかと……イイのではありませんか?」伯爵が皆に向かって取りなすように言う。
「でも正直に言うと、父の思いも、先程のベルゼブブと、大差無いのかもしれません。ニンゲンたちの、惑星ガイアに対する振る舞いが、目に余ると判断したあかつきには、武力介入してでも、止めに入る覚悟だったと、聞いていますから……。」
重ねてカグヤはそう言った。
「ソレに関しては、返す言葉も無いわね。」
そう呟いたのは村田京子だった。
「このまま世界中で、核兵器の開発が加速して行けば……どうなる事になるか、分かり切っているものね?」
真田香子も同意した。
「私たちも、そんなバカな事をしている、ニンゲンたちの一員だから、貴女のお父様を非難する資格は無いわ。」
そう言ったのは、雪村のパートナーの弓子だった。
「当面父たちは、ベルゼブブの宇宙船の排除のために、動くはずです。でも、もしも、それ以外の活動に移行する場合は、地上に居る私に、連絡が来る手筈になっています。その時には必ず、皆さんにお知らせしますから、ご安心下さい。」
最後にカグヤはそう言って、話を締めくくった。




