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第9話 都市伝説?

そう言えば。

あの当時、昭和52年秋。


「口裂け女」流行ってたよ?


ポマード?

整形手術失敗?


今思えば、アレもすごいよね(笑)


きっと地域によって違うんだろうけど。

うちの小学校では。


「足の指6本」

「時速60キロ」

「私キレイ?→いいえ→死ねっ!」

「私キレイ?はい→これでも?(マスクを取り襲い掛かってくる)」

「私キレイ?普通→………ふん(助かる)」


でしたね(笑)


皆さんの口裂け女、どんなでしたか?



※※※※※



――都市伝説。

口裂け女もそうだけど。


父親。


それはあの昭和の時代。

『地震・雷・火事・親父』とか言うくらい、恐いものの代表格でした(笑)


引っ越し癖という悪癖。

思えば少年だった私に大きな影響を与えたことだったけど。


そんな父だけど正直嫌いではなかったよ。


思い出される光景。

まだうちの家庭が崩壊していないころ。


父親は遅い時間にウイスキーを、それは美味しそうにたしなんでいた。


父親の仕事はとある新聞の記者。

朝早く、夜の遅い仕事だった。


私が一緒に暮らしていたのは10歳までだったので。

仕事の休みが火曜日だった父親とはあまり遊んでもらった記憶がない。


だから正直、子供心に恐い印象があった。

会話をした覚えも、ほとんど私の記憶には残されていない。


でもたまに10時くらいに帰宅するようなときは、かろうじて起きていた私はちらりとお酒を飲みご機嫌な父親を見ることがあった。


当然私だって小さい頃は一応普通の感性を持っていたはずだ。

だから父親に興味はあった。


いつの日かそんな風に階段の陰から見ていた父親と目が合い、手招きされたことがあった。

びくりと肩が跳ねたことを覚えている。


まあ、ビビっていた。


「まだ寝ないのか」

「う、うん」


「…こっちに来なさい」

「…」


何故か呼ばれ父親の前に座る。

母親はお勝手でつまみなどを作っていた。


「学校慣れたか」

「う、うん」

「そうか」


確か茅ヶ崎に引っ越したばかりの頃だったと思う。

何気にちゃんと会話したのはあれが最後だった。


二言三言。

たったそれだけのコミュニケーション。


そしておもむろにウイスキーを流し込む父親。


「…うまい」

「…ゴクリ」


今思えば。

きっと父親は。

私とも会話をしたかったのだと思う。


自分の性格を振り返ればわかるが…

まあ、マジでめんどうくさい性格。


――実は…似ているんだ。


「もう遅い。早く寝なさい」

「う、うん。…おやすみなさい」


「おやすみ」



たったそれだけ。

仲の良い人には饒舌な父だったらしいが。


慣れていない息子に対してはそっけない父親だった。



※※※※※



今の私はあの時の父親の年齢を超えている。

子供心に恐さのあった父親。


まあ昭和の時代。

今とはだいぶ世の中も変わった。


しかしふと思う。


あの頃自分の中にあった『おとな像』

余りにも“乖離”が過ぎるのではないのだろうか?



当時小学生だった私が思う50代の男性。

メチャクチャ大人だった。


で。

今の自分。


恐ろしくガキのままだ。


そして何より。

父親がおいしそうにたしなんでいたウイスキーを含むアルコール類。


私はいまだに美味しいと感じたことがない。


人生?

経験?


何もかもが足りない私。

良い悪いはともかく。


私はいつまでも、“あの頃の父親”にはなれないのだろう。


ああ。

思い描く格好良い大人。


まるでそれこそが“都市伝説”のようだね(笑)


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