78、ゼルフの日常
ゼルフ、それが現在の俺に与えられた名前だ。
好きな物は肉、嫌い(苦手)な物は母を殺した人間と前の街のギルドの人達
母の最期に弥叉について行けと言われて故郷を離れてから前の街で弥叉の従魔となっている。
弥叉は俺より弱いので従魔という言葉に不満はあるが命を助けられた恩もあるので大目に見ている。
それに弥叉はマリアの兄弟子でもあるので実力は俺のが上だけど格付けは弥叉のが上になっている。なので弥叉の指示にもしっかり聞く。
だがマリアの命令は弥叉より重い。
逆らったらどうなるか分かったものではない。
最初にあってからだいぶ実力が上がったのに未だに対峙すると毛が逆立ってくるのだ。むしろ実力をつけた分、圧倒的な実力を感じて逆らえる気が無くなってくる。
なので格付けを表にすると、
マリア>弥叉>俺>シャルルやグラム>・・・・越えられない壁・・・・>副隊長やその他
になっている。
今、弥叉はギルドで試験を受けるにあたって別行動を取るように言われたので近くにいない。
実力を見てもらいに行くみたいだが弥叉の実力なら問題ないだろう。
弥叉のいない日になって今は一人(匹)で街をぶらぶらとしている。
初めはマリアに付き添いオーガの訓練を見学していた。
しかし二日目には逃げ出した。
あの馬鹿どもよりにもよって師匠に喧嘩を仕掛けて師匠の無双を見せつけられて恐怖でオチオチ眠ってもいられず更に最悪な事に二日目からは師匠が新人の訓練を見てくれなんて頼むもんだからあのまま師匠についていたら訓練に付き合わされていた事だろう。
弥叉がいないので修行が休みになっているのに訓練に付き合うなんて考えられない。
師匠が駄目となると知り合いも少ないので次は前の街から付いて来ている”ふくたいちょう”という名前の人にくっついたのだが二日で飽きた。
何も起きないし見ていてつまらないのだ。
ついて行く意味がない。
最後に残ったグラムには部屋に入って早々追い出された。
部屋を出される時「お前が入っていい場所じゃない」と、真剣な顔で言われてしまったので素直に出て行った。
そんな訳で誰にもつかずに一人(匹)で行動することにしたのだ。
目指す場所は絶好の昼寝ポイントの確保。
日が当たらず身体を広げられるだけのスペースがある所。
「そこだ!」
「押さえつけろ!」
そういった場所は意外にありそうでしっくりくる所がない。
「「ぐぇ」」
故郷では寝る場所には困らなかったんだけどな・・・。
「ここらじゃ見られない珍しい魔物だ。捕まえれば貴族に高く売れる。死ぬ気で捕まえろ!」
「「「おう」」」
それにここよりは確実に静かだった。
今日になって街を歩いていたらいつの間にか集まって来ていた連中だ。
さっきから攻撃とも思えないような攻撃で襲ってくる。
格下ばかりで相手にするのも面倒なので相手にしなかったが正直鬱陶しく感じてきた。
「そんなチビの魔物にいつまで時間かかっていやがるんだ!」
・・・・・・・イラッ。
まだ何を言っているのかは少しの片言ぐらいしか分からないが今こいつらがバカにしたのは分かった。
弥叉からは魔物以外無断で殺すの禁止を言い渡されてはいるが殺さないギリギリで対処できればいいという事だ。
「おっ!動きを止めた!かこm・・・・ぎゃーーー!!」
「ぐぇーーー」
「血がー!血が―!」
脆い。反撃も来なかった。
そこいらの魔物でも少しは反撃してくるのにこいつらはそれ以下だ。
後ろにいた奴らは反撃してきたが前に戦ったハクの足元にも及ばない実力だった。
もう戦う意味がない。
あいつらが消えてから周りが静かになった。
街を歩くスピードも上がって多くの場所を見る事ができてベストポジションが見つかった。
気持ちがいい。
今日もいい一日になりそうだ。
◇ ◆ ◇
それから二日後。
宰相の部屋に前日に捉えた貴族がギルドで行方不明になっていた従魔を飼っていたのが見つかり取り調べた結果上がってきた組織の制圧の結果を部下が報告をしていた。
「それで魔物ハンターの組織が他人の従魔まで狙っていた証拠が掴めたのか?」
「はい。現在彼らに支援していた貴族を洗い出している所です」
今回の組織の規模は中規模で人員は百人未満。
実力も中規模なので飛び抜けて強い者はいない。魔物を捕獲するには実力が足りないと思っていたにも拘らず最近景気がいいという事で前々から疑ってはいたが従魔を狙っていたとは思いもしなかったそれを聞いて合点もいった。
だがこんな大それたことを中規模の組織が簡単に行えるわけがない。確実に裏で支援、又は証拠の隠蔽を行っている者がいる事だろう。
「そうか。それにしても被害も少ないしもっ時間が掛かると思ったがな。相手はそんなに弱かったのか?」
「それが組織の戦闘員のうち半数はすでにけがを負っていて残った人員ではこちらの数に対処できなかったようです」
「?・・・魔物の捕獲に失敗した直後だったのかもな。運が良かったと思っておくか」
「そうですね。それで浮上している貴族ですが・・・」
ただ昼寝場所を探していたゼルフの犯行だと気づく事は無いようである。
マリアと弥叉より活躍はしないけど飼い主には似ているで即席で作りました。
目的はゼルフがマリアと弥叉をどのポジションで接しているのかというのを明らかにするためです。
もう少し上手い話が浮かべばとも思いますが・・・




