77、成立
久しぶりの投稿です。
前回の投稿で投稿が遅れると書いてから次回投稿が書き終わる前に親族が亡くなって葬式の準備でただでさえ少ない時間が潰れて終わった後は書いたとおりもう試験で結局試験が終わるまで投稿できませんでした。
ほんとなかなかうまく進まない。
せっかく読まれ出したのに挫かれたって感じです。
会場に集められた商人達が弥叉の説明で納得した所で密談で話されなかった販売内容についてを話し出した。
商人たちの目が自分達の利益の為に一層強いものになったのを感じながら私は逆に話に興味が薄れていった。
内容と言うが何も難しい事はないだろう。
ここに集まった面子の顔ぶれを見れば一つの商品の販売方法なんてある程度は予想できる。
確かに今回のリバーシは画期的で商人にしても大半が手を結びたいと集まってきた商品ではあるが所詮一商品である。
先程言ったようにここに集まっているのはジャンルの違う者が大半。という事は階級の高い者、低い者とカテゴリー分けをして全体的に売っていくというのは目に見えておりここで言うのはその売る相手を請け負う者を確定していきその売り上げの一部をこちらが報酬としてもらう、それだけだろう。
確かに利はあるが一商品の報酬なぞタカが知れている。領主の宰相として今回弥叉の案に乗ったのは今現在進行形で行われている悪徳商人と貴族の撤去を行える事と一流商人との繋がりが作れるという所の方が強い。
つまりもうほぼ達成していると言っていい。
むしろ商品販売は少し遅らせて販売すると弥叉が言っていたのでその間に販売した商人を捕まえる網を張る方のが神経を使いそうだ。
そんな思いでいた私の耳に入ってきた弥叉の最初の言葉で私は集まった商人達から弥叉へと視線を移すことになる。
「それで販売についてですがまずこのリバーシはハシアさんに一任したいと思います」
「どういうことだ!?」
言い終わるとほぼ同時にこの中で最も感情的に動くと予想していたザックが立ち上がり机をたたいて抗議した。
しかし今回に限っては自分も事前に聞かされていた内容から外れた言葉に表に出していないか不安なほど驚愕してしまっている。
弥叉の顔は自分の位置は隣の席で斜め後ろから除くため表情が読み取れない。
弥叉が何を考えているのか分からないがいつまでもヤシャを見続けている訳にもいかず再び視線を商人達に戻したところで弥叉は「落ち着いてください」とザックを制止して座らせると懐からも一つのリバーシとは似ていなる物を取り出した。
それもまた説明を受けていない物である。
「これは?」
「それもリバーシなのか?」
商人達は弥叉が取り出したリバーシに似て非なる物に視線を向けたまま弥叉へと質問をした。
「いいえ。これは”囲碁”というリバーシよりも高度な遊び道具です」
「”いご”ですか。リバーシの駒とは違い黒一色と白一色の駒ですね。それに盤のマスも多い。・・・ルールを伺いたい」
「そのつもりです」
それから弥叉は初めてリバーシの説明を行った時同様見本を元に全員に説明を始め、自分も耳を傾けた。
ルールは簡単に言えば人取り合戦。
より多くの領域を確保して相手よりより優勢を取っていくゲーム。
リバーシより知能が必要となってくるがその思考は魔物の大量発生時効率よくエリアを殲滅する際の思考に似ている。
「この遊戯は今説明した通りリバーシとは違い万人がやれる物ではありませんが上流階級に庶民にできない遊びとしてザックさんに売り出してもらいます」
「お、俺だけか?」
「これはすぐに庶民には売るつもりがありませんので貴族を中心に商売をするザックさんが適切です。リバーシをハシアさんに一任したのも一般人に売る力があるのとそれからリリアーデさんには貴族の欲しくなりそうな加工を行ってもらいます。駒の素材や駒に彫りを入れたりといった限定品を加工して言ってザックとハシアに回して下さい」
「商品にも品質を作るのね。・・・少し時間が掛かるわよ」
「構わない。限定品は試作品の売れ筋が軌道に乗ってから行う」
弥叉の提案は売れなかった場合作り損になるがリリアーデは何も言わずに了承した。
「それでジェフ、セルフ、クアラール、シュカの店にはこれを無料提供するので店に置いて広めて下さい」
「ちょっと待ってもらいたい。確かに元々販売するスポンサーになってもらう事を言われていたが競争相手がいてはこちらの利益が少ない」
「それも考えています。ですがそれを後にさせてもらいたい。不満でしたらここで降りると言っても構いませんよ?」
「・・・・・・・」
反論したセルフだけでなく皆が息を飲む。
ここまで来て今更降りる訳ないのに促すように言ってくる弥叉の顔をここでようやく拝見できた。
口元が少しつり上がり笑みを浮かべているのにそれが自分の手のひらの上でもう逃げられなくなった得物でも見ているかのようでぞっとする感覚に襲われた。
しかしその表情は次には真面目な顔に戻る。
「それでは最後に残りの方ですが・・・」
◇ ◆ ◇
それからしばらくして会議は無事終了した。
主催者である弥叉は会議終了と同時に一番に会場を後にした事で残った私を含め全員が席の背もたれに体重を預けた。
「疲れたー!」
「何なのよ、あいつ」
声に出して自分の状態を口に出したのは二人だけだがこの場にいる大半は同感したのだろう。最もに弥叉ついて知ってそうな私に視線を集めてくるが正直こちらが聞きたい。
「ヤシャ達と知り合ったのはつい最近だ。持っている情報はお前達と変わらん」
「本人はアドリーバスの使者と言いましたがアドリーバスに属しているようではないんですよね」
「最初に付いて来てた嵌めやすそうな奴の方は属しているようだがな」
「あれで欲があったら僕らの商売乗っ取られてたかもしれませんね」
「ちょっと冗談でも笑えねえぞ」
これについても同感したのだろう。引き攣った笑いを浮かべる者が大半だ。
それで欲が無いというのは会議の終盤になり弥叉の商品情報とこちらの支援に対する上納金の話になった時、
「各自半年に一度売り上げの一割をアドリーバスに送るのと今復興中のアドリーバスに支援金。支援金については現地を見て領主と交渉してくれ。以上だ」
そう言って自分の取り分は何も言わなかったのだ。
指摘もしたが、「今は金に困っていない」の一言で終了したのである。
「俺はもっと吹っかけてくると思っていたんだがな」
「あそこまで用意周到にこちらの興味を引く案を出しておいて最後があれですもんね」
「だが敵にはしたくない相手だな」
そうして全員が頷いた。
会場にいるのは百戦錬磨の商人と国を運営する宰相なのにも拘らず自分の思い描く通りに事を進められたのだからはっきり言って負けたようなものだ。
それに忘れているだろうが今も進行形で多くの悪徳商人や三流商人は破滅へと誘われている。
そんなことを思っていると会場外から部下が入って来て貴族、商人の現在の制圧完了報告されて皆の気持ちが固まったことを確信して会場から解散をした。
次回はオガスに入ってから戦力外になっているゼルフの話を書く予定です。




