76、商談
随分と遅くなりました。
オガスを本拠地として活動している商会の内の大商店の代表方に、元々アドリーバスを拠点にしていたが騒動後こちらに移動していた店長、本拠地は別だが他の領地にまで支店があるほどの魔族領上位の商店の支店長といった商売人からしたらとんでもない人物の集まりが現在、ここオガスの城の内部にある宰相閣下が用意したVIPルームにて秘密裏に開かれていた。
会場は宰相が権限を持つ中で今回集まった人数十二名に付き添いを入れても余裕のある部屋で中央の円板型の長机に代表は着席し、付き添い以下は壁の側で待機している状態だ。
既に会場に入ってから30分、全員が集まって10分が経過しているので最初に来た商人は少々苛立ちが出てきた頃、ようやく主催者が会場入りしてきた。
「ようこそ皆様お集まり頂きありがとう御座います」
「挨拶はそれだけでいいだろう?こっちは時間が惜しいんだ無駄は省いて欲しいぜ」
「おい、ザック。言葉遣いを改めろ」
軽い口調なのは商人出身で一代で成り上がった父親の二世の息子で若い女性客向けの商品を主としている店を中心に受け継いでいて、それを窘めたのがその兄にあたるコトス。こちらは貴族を中心に商売をしており礼法を叩き込まれているのでとても座り方が綺麗で品がある。
挨拶を妨害したのは本来なら頂けないがそれを注意して進行を遅らせる気もないし長々と挨拶をしないといけなかったのを省略できるチャンスを逃すわけがない。
「確かにこちらも来るまでに時間をかけて皆様を待たせましたからさっさと始めたいと思う方は他にもいるでしょう。すぐに話に入りましょうか」
反対する声は上がることはなかったので皆賛成したと受け取る。
「それでは今回集まってくれたのは他でもない。こちらの作品の流通についてです」
そう言って取り出したのは店舗内で見せた物と同じリバーシの簡易な見本だ。
既に集まった各代表達全員がこれを目にしていてこちらの協力をすると手を取った者達だ。今更驚いたりする者はいないので皆の反応は薄い、と思ったが、
「すみません」
ここでまた言葉を遮られた。
手を挙げて遮ってきたのは飲食店のオーナーでこの街だけで4店舗、外の街にも進出している。
「私も含め制作段階では関係ない商人の姿もあるが今回の参加資格の基準はどのように決めたのか伺いたい」
オーナーの名は確かにジェフだったの言葉に何人かもこちらに質問の答えを聞きたいと思っているのが伺えた。
俺は目元を一瞬手で覆った後質問の答えを話し出した。
「皆さんを決めた理由は簡単に言えば条件に適した人達であると認められたと思ってもらえればいいでしょうか」
「その条件を聞きたいと言っているのだが」
「そうですね。まず最初の基準は販売した場合の知名度の高い事。これに該当するのは商品開発でノコグラ、ナノット、リリアーデの持つ三社を次に商品の輸送販売を出来るだけの支店を持つコトス、ザック、ハシヤ、クグルギ、そしてバラルス。最後に販売目的ではなく街の外に広めるのに適している事でジェフ、セルフ、クアラール、シュカの全十二名がこちらに招待しました」
一度話を区切る。
彼らが聞きたいのはこんな事ではないという事は分かっているがこのまま反応を待つ。
それに再度ジェフが声を上げた。
「私達が商品の広告役になれというのは分かった。だがそれではまだ説明が不十分だ。該当する商人は他にもいる。それを吐けと言っているんだ」
話に間が空かなかった事に笑みを浮かべながら続きを話し始めた。
「皆さんの内何人かには話しましたが現在いるのは僕らの協力に賛同している人で協力を取り付けようとしたのは数十件単位で行ってました」
「それで承諾したのがウチらだけって訳やないやろ」
「いいえ。ここにいる人達だけです」
「それはないだろう。俺の馴染みが働く店も賛同したと聞いたぞ」
声を上げるのは話していない人達だけだ。
「それはその店が善良な商人のする店ではなかったという事です。今回の面談でこちらは商品の紹介だけを皆さんにしました。ここで賛同して来ているのはザックの店だけです」
この言葉に一番驚いたのはザック本人だろう。
来られたのは兄のコトスが参加資格を持った事が大きい。
他は目先の利益だけで賛同した二流と判断して切り捨てた。
だがこれで一々話を遮らずに続ける。
「後の皆さんは商品の販売を奪う事を考えた末に賛同した者です」
「あぁ、それで俺はあんたらにそれだけの力があるのか試した」
「私も」
「自分のとこはそれを宣伝して商品を出すまで行き付けられるのかですね」
先ほどとは逆にこちらまで至った者は大半が賛同を断っている。
理由は言われるまでこちらはアイデアはあるが実行する力がないので協力を煽ったというスタイルを貫いた。・・・途中副隊長が分かりやすく顔に出して退場になったが概ね成功していたと思う。
因みにその時の相手がジェフである。
それでもまだここにいる数より多かった。
言う気はないが次の条件は鑑定で問題が見られない事だ。
側近に殺人鬼や盗賊を連れたり、トップがそもそも悪党だったり、過労な労働を職員にしているのが少なからず見つかり今、対処できるのから清掃が行われているはずだ。
というか悪徳業を支援している貴族を炙り出せる上にこれから付き合っていくのに有用な所も分かり資金面でも利益があるからこそ宰相閣下は主人不在なのに対しここまで協力してくれているのである。
「そして最後に俺がむしろ試している側であるとわかって更に次についてを探ってきた者」
ノコグラ、リリアーデ、シュカの3人は既にアドリーバスの状態は耳に届いていて俺がアドリーバスとの今後の付き合う商人の選別を行っているのを見抜き、商品が売れた後、領土の復興し、産業に訪れる商人が増える見込みのあるとアドリーバスに支店を開店させる事まで視野に入れてもう動き始めている。
「つまり貴方の言葉から利だけを見て安易に承諾せず相手を見た上で正当な判断ができた者がここにいるという事ですか」
「私は後ろ盾があるだろうなと思って賛同したけどそこで判断間違えたら宰相相手に喧嘩売る事になったんだよね?・・・ちょっとヤシャさんのが悪人でしょ」
「商人なんてそんなもんでしょ。皆さんは今の判断ができなかった人に仕事を任せたいと思いますか?それを怠ったと甘んじて受けてもらわなくては」
俺は笑みを浮かべて平然とそう言い切ると納得いったのか質問の声は上がらなかった。
「では商品の売る流れに対するこちらの案の説明に移りましょうか」
只今帰省中の為書く時間が割けず、またこれから前回休んでいた時の試験の結果が芳しくなかった所為で再試験が3月初めにまた行われるのでそのための準備もしなければならずペースが遅くなると思います。
なかなか話も進まないのに申し訳ありません。




