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S4、入学式

 ついにこの日が来ました。入学式です。

 こちらの世界では体育館のような場所ではなくグランドで行れるのが習慣だそうで開始から入学生は立ちっぱなしになっている。

 住まいは学生寮になり当然のようだが制服を着ている。

 男性はブレザーにスラックス、女性はブレザーにスカートと見た目は向こうの制服と大差ない。

 しかし制服には種類がある。

 学年によってネクタイの色の違い。

 一年は赤、二年は青、三年は緑となっているがそれではない。

 真希の制服には肩に星のようなデザインの紋章が、隆の制服にはこの部分が盾のデザインの紋章が付けられている。そして自分の制服にはそのどちらも無かった。


「あの本当によろしかったのですか?ユウヤ様なら今からでもどちらにでも入れますが」

「僕はここでいいよ。それよりウィア達を付き合わせちゃって悪かったね。僕がここにするって言わなかったら実力的に普通にどちらかに入れたのに」

「いえ、それも含めて付いてきましたから。ユウヤ様がそれで良いのであればこちらからは何も言いません」


 僕のサポートとして付いてもらっているウィアの制服にも紋章は入っていない。

 それが申し訳ないと思って謝るとウィアもその後ろに控えているもう二人の生徒も気にしていないと主張する。

 この二人は宴でサポートしてもらうために選んだ人達である。

 男性は僕より背の高くスッと伸びた姿勢と鋭い目つきで見た目から騎士ではなく軍の兵士を連想させるような青年。

 手前の女性の方は俺より背は低いがウィアや他の女性から見ると高く勝気そうな雰囲気があり、運動系に見えるが親は国の財政を任されている伯爵家のご令嬢で魔法を得意としている。ちなみにこちらはウィアの知人で友人だったらしい。


「私達の事よりこれからのユウヤの立ち位置のが私は心配だな」

「マリ、ユウヤ様に溜め口は」

「ユウヤからそれでいいって言われたのよ」


 ウィアの注意を言い切る前に返事を返され言い淀む。


「某も気軽に呼んでいいと言われました」


 それでも言おうとしてがそれも止められてしまい口を閉ざして俯いてしまう。


「ウィア」

「・・・はい」


 後ろを向き俯く頭に手を乗せ撫でながら声をかける。


「僕はウィアにも様付け無しで呼んでもらいたいんだけど駄目かい?」

「でも勇者様にそんな」

「勇者の前に大切な友人だ」

「ユウヤ様・・・・まさか、そんな私を大切だと思ってたんですね・・・」


 上げた顔が少し赤いのが気になるが、機嫌が戻っているのに指摘するのもあれだし気にせずに返事をした。


「ウィアにはこの世界に来てから頼りになりっぱなしだからな。これ以上敬いながら話されるのは違うと思っていたんだ。だから真希と同じように軽口で話してくれると嬉しい」

「分かりました。私の方も勇者だからと硬く話し過ぎていたと思います。注意して頂きありがとうございます。ユウヤさん」

「うん、それでいいよ」


 そんなやり取りを入学早々している中、式は上級生のデモンストレーションが始まっていた。




 ◇ ◆ ◇




 騎士魔法学園、通称カザカミ学園

 総勢1800人が通っている他国からの在籍希望者がいる人族領でも指折りの実績を持つ学園である。

 本棟、実技棟、演習場、親元を離れた生徒のための学生寮

 他にもいくつかの施設があり、その全ての広さは在籍している生徒数の多さを差し引いてもかなりの広さを誇っている。

 その代わり資金援助している国からは才能ある人員と新たな技術の提供を求められる。

 成績下位の者は留年や退学になり逆に成績上位者は国のトップからのスカウトが行われている。生徒の中には学園の上位成績者になり、高い評価を得て、国の最高機関への就職を狙う者もいる。

 そんな実力主義のような学園の生徒達は自分達の常識破りな行動をとった一人の生徒の話題で持ちきりであった。


『勇者がフィーリスに入ったってマジ?』

『どうもホントらしいよ』

『補欠集団の部門に入るって何考えてるのかしら』


 カザカミ学園には三つの部門がある。

 国の兵士、騎士になる人材を育成する戦闘部門。腕に自信がある生徒が集まり騎士、特に王直属の近衛兵を目指す者なら必ず入りたいと思う部門で男性に人気である。

 魔力向上や魔法具の開発に力を入れた授業を中心に行う魔法部門。こちらは幼い時から魔法の教育を受けている貴族が多く、男女比は半々ぐらいだ。

 この二つは入学の際試験が行われる実技で一定量の実力を示さなければ入ることが出来ない。

 それは戦闘部門では戦闘で魔法部門は開発中に不慮の事故で再起不能や死亡する例が少なからずあるからだ。未熟な者を入れて死亡リスクを上げないために学園側が取っている処置であるが、この試験に受かれず入学する者も少なくない。

 そういった生徒が集まる場が総合部門

 戦闘の授業も魔法の授業もあり広い分野を学ぶための部門だ。

 その説明だけなら二つよりいい部門ではないかと思うがその実態は二つの部門に入れなかった補欠の集まりと言われ蔑まれている。

 この学園に入学する生徒の殆どが魔法使い又は騎士として高く評価され高い地位を欲して入学してくる。

 しかし総合部門は両方の授業があると同時に特化したものが無く、さらに2年への進級で行われる部門入れ替えで合格を図ろうとする者にはもう片方も授業を受けなければならないのはデメリットにしかならない。

 両方の授業を受けながらレベルの高い授業を受けている相手と同じ部門に入るのは絶望的であった。

 その為、総合部門は『フィーリス』

 昔、魔族との戦闘で人族側にも魔族側にも属さず結果両族から攻撃に合い破滅した魔女の名前で呼ばれるようになった。


 そんな部門に自ら入ろうなどと思うような生徒は今までいなかった。

 それをこの学園の創設者と同じ勇者の称号を持つ少年が皆の説明、説得を受けてなお総合部門への所属を求めてきた。

 何を考えているのか理解できないため生徒達からはいろいろな憶測が飛び回っている。

 このことを当の本人は気づいているのかは定かではない。









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