緊急ログアウト
Looted Honesty Goes Away... by Souji Yamato
運命の日‥‥聖女セシルは、儀式の怪しさに気付きます。
「儀式では、外套だけで、下着を付けず、靴も履くなって‥‥
どう考えても、ひん剥かれて、丸裸にされるかも?」
セシルが、そう呟いたとき‥‥視界が、純白のキラメキに包まれました。
いきなり、世界が、ホワイトアウトします。
このとき、女神レイナは、記憶を取り戻しました。自分が、聖女セシルのプレイヤーであるという記憶です。
レイナは、美しき神城の寝室にいました。ここから、世界『マトリール』へと、ログイン(フルダイブ)していたのです。
しばらくすると、美しき寝室に、土木ドリルをモチーフにした『執事アンドロイド』が訪れました。執事アンドロイドが、レイナに話し掛けます。
「レイナさま、処女神なんだから、もっと乙女としての振る舞いを!
寝ぐせ‥‥付いてるぜよ」
「構わないわよ、ドリルワン!
寝ぐせなんか‥‥」
そう言いつつも、レイナは、自分の髪を、何度も、手で撫でています。
ともあれ、女神レイナは、しばらく、NPC化した『聖女セシル』の様子を、観察することにしました。
しばらくして‥‥現在、レイナは、神座の間にいます。ですが、可哀そうなぐらい項垂れて、落ち込んでいます。
侍女ジェットツー(航空エンジンがモチーフの女性型アンドロイド)が、執事ドリルワンに言います。
「NPCセシルが犯されるところを、恋人カインに目撃されたからどす」
「日頃の大雑把さが、招いた結果ぜよ」
「もう、セシルは、自分のキャラクターとして、使いたくないのに‥‥アカウント制約で、セシルの人生が終わらないと、新キャラクターが創れない」
涙ぐみながら、レイナが、そう嘆きました。
しかし、こればかりは、世界の運営上のルールなので、仕方ありません。
女神レイナは、真剣に、悩んでいます。
そこで、ドリルワンが、レイナに提案します。
「こうなったら、キャラクター削除ぜよ」
「削除は、申請してから、36年が経過しないと、成立しない‥‥」
「そいつは、難儀な仕様ぜよ」
「そうなのよ」
「それでも、削除しかないぜよ」
「駄目‥‥たとえ偶然の出会いでも、カインは、運命の相手なんだからね。
36年後は、カインが54才に‥‥」
「だったら、勇者を任命して、聖女セシルを滅殺させるぜよ?」
「そっか‥‥じゃあ、カインを勇者にする!」
「他の野郎にした方が、都合が良いはずぜよ」
「他の男性を、守護するなんて、本当に嫌だからね!」
「じゃあ、女勇者にしろぜよ?」
「それだと、カインが、絶対、女性勇者を口説いちゃう!」
「カインを、信用しろぜよ?」
「ローザとの件があるから無理!」
なにやら、レイナは、露骨に怒り始めました。
無論、その様子に、ドリルワンもジェットツーも、あきれ果てています。
こうして、女神レイナは、勇者カインの天の声(守護神)となったのです。
Looted Honesty Goes Away... by Souji Yamato




