❂「Walking on thin ice」7/12
「そうか……ともかく、これで次のステージに進めるな。」
アイスマンはゆっくりと頷いた。その言葉には安堵と、新たな挑戦への期待が混ざっている。誰もが息を整えながら、バギーのエンジン音を頼りに砂漠の道を再び走り出す準備をしていた。
§
ブロロロロ!!!!
彼らのさらに後方から、一台のバギーが猛スピードで追いかけていた。砂煙を蹴散らしながら疾走する姿は、闇夜に走る獣のように凶暴味を帯びている。近づく音とともに、犯罪者を嗅ぎ取るように低いうなり声が響いた。
「罪人の匂いが濃いな。」
アグスティン=ロペラの声が運転席から発せられる。強く握りしめたハンドルから伝わる緊張の振動は、この一戦で彼の心に火を点けた復讐心を物語っていた。
(待ってろよ。前は邪魔が入ったが……今度こそ、貴様を牢にぶち込んでやる。)
アグスティンの瞳は暗い憤怒に包まれた。そのまなざしは冷たい氷のように澄んでおり、決して揺らぐことはない。牙を剥くかのごとく歯を食いしばり、バギーのアクセルを一段と踏み込んだ。
§
シャリシャリ。
移り変わる季節のように景色が変化し、エドゥたちは白い砂漠の広がる第3ステージへと進んでいった。足元で砕ける細かな氷粒と白砂が混じり合い、まるで雪原を歩くような足触りを伴って足を運ぶ。
「バギーは良かった。風も心地よかったし。」
エドゥが笑みを浮かべ、凍てついた空気を大きく吸い込む。その吐息は白く染まり、視界の端で淡い蒸気を立ち上らせた。
「あぁ……今は寒いな。」
カリムは肩をすくめながら呟く。肌が凍りつくような冷気が頬を打ち、呼吸を深くすると胸元に冷たい針が刺さるようだった。
エドゥとカリムの背後では、ナディアが身体を小さく震わせている。彼女は厚手のローブを身にまとっているものの、始終ふるえが止まらない。白の地平線に溶け込むように広がる砂と氷のモザイクが、目に映るすべてを凍らせるかのように、静寂の中で吐息を凍らせていた。
ザァァァァァ――乾いた風が喉をかすめ、細かい白砂が舞い上がる。
視界はたちまち霞み、遠くの地形はまるで幽霊のように歪んで見える。
ザッザッ……足元で砂が微かに軋み、エドゥは砂塵の向こうを探るように周囲を見渡した。
「はぐれるとまずい、カリム、ナディア、こっちに来るんだ!」
声は砂の壁に阻まれ、うまく遠くへ届いてくれない。呼びかけるたびに喉がざらつき、咳き込むほどの砂粒が口元に入り込む。だが、返答は一向に返ってこない。
――とき、既に遅し。目を凝らしても、はるか彼方に踏みしめたはずの仲間の影は見当たらなかった。砂嵐の渦に巻き込まれ、互いの姿が大きく歪んで消えていく。
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