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ダイヤモンド・ダスト・トレイル「斜陽へと羽ばたく鳥」   作者: 白山 遼
✟眠れる聖剣と神秘の森ー超大陸バンギア北西部最奥部「神秘の森 カティー二ャ」ー
106/515

✟「秘密の園」1/4

The Secret Garden

次の日、ジンは再び森の中を歩いていた。


(どこだ?もう一度あの世界に!)


一日中森を歩き回る。

そして、もう一度空間の裂け目を見つけた。


「おや、君は……。」


再び神らしき老人と出会うことが出来た。


「もう一度その葡萄を下さい!」

「あぁ、構わないよ。好きなだけ取っていきなさい。」


ジンは両手いっぱいに葡萄を持った。


村に戻ると早速葡萄を一房食べる。


「皆、もう一回チャンスをくれ!」


「何だ。またお前か、しつこいぞ!」「時間がもったいねぇ。」


「これでどうだ!?」


ジンは能力を発動してみせた。

遠くにある置物を転移させ自らの手の中に持って来て見せたのだ。


「うそぉ!すごぉい!」「おい、もう一回やって見せてくれよ!」


人がわらわらと集まってきた。

ジンは大勢の称賛を浴び良い気持ちになる。


次の日、呼び出しを受け一番標高の高い山にある長老たちの集落に来るように言われた。

ジンはブドウを一房食べる。


「儂が知る限り、新しい世代でサルートが発現したのはお主で3人目じゃ。」

「後の二人は誰なのでしょうか?」

「うむ。初めの一人はマクシモヴィッチという錬金術の使い手じゃ、そしてもう一人はオクタビアといって土からゴーレムという巨大な戦士を作ることが出来る。」

「その二人に会いたいのですが。」

「どこにいるかは分からぬが、任務の時に会うことが出来るじゃろ。」


ジンの生活は豊かになった。

長老から依頼された任務をこなし、富と名声を手に入れた。

以前では決してありえなかったことだ。


最近暗殺教団という輩が森を荒らしているらしい。

マクシモヴィッチ、オクタビアとジンの3人で里の周辺の警備をしていた。


「ぐぁぁぁぁ!」

「こっちにはサルートがあるんだ。負ける訳ないだろ。」


ジンは暗殺教団の一団との戦闘を終える。


全員骸骨のようなマークを頭にペイントしている。


「一体どこからやってくるんだ?」


水をワープさせ、暗殺者の顔にかけた。


「こいつら……ダークエルフ!?」


ジンはまだ意識のある暗殺者を叩き起こした。


「おい、どういうことだ。何で……。」

「ゲホッ、分かるよ。何が……言いたいのか……。」

「ならとっとと答えろ!」

「あの楽園に……もう一度たどり着くためだ!」

「楽園?葡萄がある場所のことか?」

「その通り……だ。あの老人に魂を捧げれば再び彼の地に辿り着ける……。」

「おい!待てもっと聞かせろ!」


暗殺者は意識を失ったようで、それ以上は何も聞き出せなかった。


無力化した暗殺者たちはジンの能力で遠くの教会に送りつけることになっていた。

ジンは一瞬良くないことを思いついてしまった。


(こいつらの魂を捧げれば……)


だが、彼に残る良心がそれを許さなかった。

素直に教会まで暗殺者たちを運んだ。


だが一房、また一房と食べていき、いよいよ葡萄も残り少なくなってくるとジンは焦りを感じていた。


森を歩き続け、あの楽園を探し続ける。

だが、何日かけてもあの場所へとたどり着くことは出来なかった。


「どうしてだ!」


怒りが募る。


そして、ジンはとうとう。


捕まえた暗殺者を手にかけてしまった。


「これで良いのか?さぁ、もってけ!」


ジンの前に楽園が広がっていく。


「おぉ!これは!」


神らしき老人の姿は見えなかったが、もはやそんなことはどうでもよかった。

ジンはブドウをもぎ取り今度は鞄に詰めた。


また、これまで通りの生活が送れる。

彼はそれしか考えていなかった。

もう戻れはしないのに……。


彼はそれから躊躇なく暗殺者を殺していった。

能力を与える葡萄もいつしか食べなくて済むようになったとしても。

あの楽園に行くことが目的となっていた。


いつからか彼はハーシュ=フジャという暗殺教団のリーダーに出会い、永遠に楽園に住むために、神らしき老人(“山の老人”と呼ばれているらしいが)を完全に復活させることを協力すると誓い、暗殺教団のメンバーになっていた。



「そうか……そんなことが。」


エドゥはマクシモヴィッチに今見たことを話した。


風が吹き、砂になったジンを吹き飛ばす。


それがエドゥの周りを飛んでいた。


「思い出した。俺がどうして、こんなになっちまったのかを……。」


ジンの魂がエドゥに語りかける。


「俺の能力を使ってくれ。俺たちが目指していたのは楽園なんかじゃない。あいつらを止めないと……。」

「分かった……。力を貸してくれ!」


ジンの魂がエドゥの中へと入っていった。


「今のは?」

「ジンの魂が協力してくれたんだ。一緒に暗殺教団の企みを止めようって。」

「今長老がどうしてこだわったのか、理由が分かった気がするよ。」


「急ごう!」

「あぁ!」


エドゥ達はピザファット達のところへと向かった。


その頃ピザファット達は小屋を追いかけていた。


「止まって!」

「止まれーーー!」


ピザファットの鎧とオクタビアのゴーレムの力で小屋を引っ張る。

しかし、小屋が進む勢いは衰えることがなかった。


パンドラボックスは目的を持ってある場所へと向かっているようだった。


「くそっ!どこまで行く気だ?」

「多分、祭壇がある場所ね。」

「祭壇?そんなところで何するの?」

「あれだろ?山のじじぃの復活とかいう奴だろ?」

「まさか、もう復活するの?」


「皆、遅くなった!」

「待たせた。」


エドゥ達が合流する。


「ジンくんはどうなったの?」

「残念だが……」

「そう……よね。」


「相棒!随分早かったな!」

「あぁ、ジンから能力を預かったんだ。だから、すぐに合流することが出来た。」

「そっか。俺っちずっと思ってたんだけどよぉ、それが相棒の能力なのかもな。」

「かもしれないな。」


「皆、止まって!」


ナタリーが大声で叫んだ。


小屋が動きを止めていたのだ。


「祭壇へようこそ。」


ハーシュがその姿を表に出した。


ガチャリ


鍵が開き、小屋からカーラを担ぐシーラが現れた。


「……ここは?」


「非常に残念で仕方ないが、能力者の魂があと二つほど必要だ。」

「……まさか!?僕たちを……!?」

「そのつもりだったが、思わぬ来訪者が来た。奴らのうち二人殺せばその必要もなくなる。」

「……必ず殺って見せる。だから僕たちの命だけは……!」


シーラがカーラを地面に置き、エドゥ達の前に来た。



ハーシュ=フジャ、シーラ、パンドラボックスが襲い掛かってくる。


「ゴーレムちゃんお願い!」


オクタビアが小屋を攻撃してパンドラボックスを大きく後退させた。


「ピザファット、あの子の相手を頼む。絶対殺すなよ。」

「任せろ!」

「あたいも協力するわ。」


「マクシモヴィッチ!一緒にハーシュと戦おう!」

「分かった!」


それぞれが戦いを始めた。


ゴーレムは木で出来た小屋に次々と攻撃をしていた。


「今まで倒れてたんだもの。せめて一回くらいは役に立たないとね。」


オクタビアはゴーレムを操る。


小屋はゴーレムに体当たりをして反撃してきた。


「まだまだこれから!」


ゴーレムが小屋を叩き続ける。


(どうして、壊れないの?もっと強い力がいる?)


オクタビアは外に向かって走っていった。

パンドラボックスはそれを追いかける。


(今の大きさのゴーレムちゃんじゃ、傷一つ付けられないわ。だからもっと大きなゴーレムちゃんが必要ね。)


オクタビアは山を必死に登っていく。


ドンドンドン


小屋が迫ってくるのが音で分かった。


「このままじゃ、追い付かれちゃう。」


オクタビアは小さなゴーレムを作り、上から落とした。


ゴン


小屋にゴーレムが衝突する。

小屋はゴロゴロと転がっていった。


「これで少しは時間稼ぎになるわね。」


オクタビアは更に上へ上へと登っていった。


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