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ダイヤモンド・ダスト・トレイル「斜陽へと羽ばたく鳥」   作者: 白山 遼
✟眠れる聖剣と神秘の森ー超大陸バンギア北西部最奥部「神秘の森 カティー二ャ」ー
105/515

✟「今にも零れ落ちそうな雨雲の下で……」4/4

エドゥ達はダークエルフ達の里へと戻ってきていた。


「相棒。ナタリーの嬢ちゃん達に連絡しておこうぜ!」

「あぁ。バタバタしてて全然話してなかったからな。」


ピーピー


ナタリーが作った携帯電話を使った。


「あー。あー。もしもし聞こえる?」


電話の向こうからは聞き覚えの無い声が聞こえてきた。


「誰だ?」

「分からない?妹がお世話になってるわね。」

「お前は、双子の。何故ナタリーの電話に出ている!」

「そんなの簡単でしょ。2人は今私が捕まえているからよ。」

「命は奪っていないんだな。ということは交渉か?」

「えぇ、そうよ。私の妹シーラを返しなさい。」

「そうすれば素直に2人とも返すのか?」

「えぇ、約束は守るわ。だから妹を必ず連れてきなさい。」

「場所は小屋で良いんだな。」

「えぇ、早くしてね。私短気だから、遅いと二人死んじゃうかもしれないから。」

「……分かった。」


プチッと通話を切る。


エドゥは直ぐに2人に会話の内容を伝えた。


「引き渡すにしろ、しないにしろ出来るだけ早く行った方が良い。」

「そうだな。人質は俺っちが連れていくぜ!」

「分かった。とりあえず向かおう。」


「おい、嬢ちゃん。一緒に来るんだ。」

「……お姉ぇちゃんが助けに来てくれたんだ!」

「妙な動きすんなよ。」

「……分かってるからその汗くさい体で近づかないで!」

「!?ってめぇ!言っちゃならんことを!」


そしてエドゥ一行は小屋の前に辿り着いた。


「……カーラ姉ぇ!」

「シーラ!」


「さぁ、連れてきたぞ。2人を渡してもらおうか。」

「いいだろう。でも先に妹を返してもらう。」

「分かった。さぁ、前に行って。」


シーラが前に歩いていった。


「よし、約束通り人質を解放してあげる。」


ナタリーとオクタビアも前に歩いてきた。


シーラはカーラの元へ、ナタリーとオクタビアはエドゥ達の元へと戻っていった。


「二人とも大丈夫か?」


ニョキニョキ


次の瞬間ナタリーとオクタビアの喉から釘が飛びだした。


「約束は守ったわ。さぁ、行きましょう。」

「……ありがとうカーラ姉ぇ!」


二人の脈が弱くなっていた。

エドゥは聖剣を抜き、二人を刺した。


「ゲホッ、ゲホッ」

「あれ、あたい一体?」


二人が元気を取り戻す。


「待てよ。」


エドゥは去ろうとしていた双子を呼び止めた。


「……カーラ姉ぇ!あいつら傷がない!」

「嘘、あれは聖剣?」


双子はその輝く刀剣を睨む。


「……それがあると私たちの夢が叶えられない!」


「お前たちの夢?永遠の命とかいうやつか、大勢の命を犠牲にして?」

「それがなに?」

「本当に醜いな。これ以上好き勝手はさせない。ここで倒す。」

「面白いわ。やってみてよ。」


カーラがエドゥに向かってきた。


ー天衣無縫 風烈ー


エドゥは風の鎧を纏う。


更に右手を鳳凰の手に変える。


「灼来鳳凰掌!!」


巨大な炎の塊がカーラを襲った!


「きゃああああ!」


能力を発動する間もなくカーラは全身やけどをする。


エドゥは動けなくなったカーラを聖剣で刺した。


「かろうじて生きられるようにはした。教会に行って自首してくれ。」

「……そんなカーラ姉ぇが!!」


シーラは膝を付けた。


ガタガタガタ


地面が激しく揺れる。


「今度は何だ?」

「相棒!小屋が動いてるぜ!」


エドゥは小屋の方へと目を向ける。


ピザファットの言う通り確かに小屋がひとりでに動き出していたのだった。

小屋はそのままカーラとシーラをその中に入れていった。


「待て!逃げる気か!」

「……違う!これは僕たちの意志じゃない!」


ガチャリ


小屋に鍵がかかった。

そのまま小屋がどこかへと歩き出す。


「あれは!あたいを連れてったのと同じ奴よ!」

「あぁ、パンドラボックスとか言ってたやつか!」

「追うぞ!」


ガチャガチャガチャ


後ろから何かが近づいてくる音が聞こえてくる。


「うそーん、このタイミングで復活!?」


山事吹き飛ばし動けなくしたジンが後ろから追いかけてきていた。


「相棒!どうする?どっちを相手すりゃ良い?」


「二手に分かれよう。ピザファット、ナタリー、オクタビアの3人であの小屋を追ってくれ!マクシモヴィッチ、一緒に戦ってくれるか?」

「あぁ!」


3人が小屋を追っていくのを見送ると、エドゥとマクシモヴィッチはジンの前に立った。


ー天衣無縫 風烈、迅雷ー


エドゥとマクシモヴィッチは力を解放する。


「何回か戦ったんだ、連携すればすぐに勝てる。」

「とどめはエドゥだ。どこから来るか指示を出してくれ!」


ジンが6つの鎌をそれぞれの手に掴む。


「後ろから来る!左に避けろ!」

「次は右に避けろ!」


ブンブンと鎌は空を切る。


「待った!飛ばされる。今は待機だ。」


エドゥは次々とジンの動きを予想し、マクシモヴィッチに伝えていく。


「今だ!能力の連続使用で疲弊している。」

「分かった!」


マクシモヴィッチは疾風迅雷の勢いでジンに体当たりをする。


「ゴォオオオオ」


ジンは地に背をつけた。


「今だ!とどめを!」

「あぁ!」


エドゥは上昇気流に乗り空を飛んだ。

そのまま聖剣を引き抜く。


「これで終わりだ!」


グサッ


「ゴォォォオォォ……」


不死の生物に命が流れてくる。

ジンは元の身体を取り戻していった。


「……あらら、負けちまったか。」

「言え。どうして裏切った。」

「……分からねぇだろ。あの楽園は一度入ったら二度と出たくなくなるんだ…」

「楽園?」


サーッ


ジンの体が砂のように崩れていく。


「ジン……お前に何が……」


マクシモヴィッチは砂に手を当てた。


エドゥは左手で砂に触れた。


過去の記憶が流れ込んでくる。


森の中でジンはキノコを採集していた。

その途中、空間に切れ目があるのを発見する。

興味本位で中に入ると、その中は御伽噺のような理想的な世界が広がっていた。


「おやおや、ここに客人が来るとは珍しい。」

「あっ、いやすいません。」

「いやぁ、全然かまわんよ。」


ジンの目の前に神御衣かんみそを着ている優しそうな老人が立っていた。


(ひょっとすると、これが神様とかいう奴なのか?)


「ここに来れるということは君は選ばれた者に違いない。」

「選ばれた者?」


神様らしき老人は河の近くにある葡萄をもぎ、ジンに手渡した。


「さぁ、この果実を食べると良い。君は世界の頂点に立つにふさわしい。」

「世界の……頂点?」

「そうだ、この実を食べ強力な力を手に入れるのだ。」


ジンは手渡された果実を食らう。


果実を食べ終わるとジンは不思議と力が溢れてくる間隔を覚えた。


「さぁ、力を発動してごらん。」

「そんなこといきなり言われても……。」

「もう自分の能力を理解してるはずだ。思った通りにやればいい。」


ジンは手を前にだした。

自分の目の前の空間が歪みだす。


そこに手を入れると、自分の手が遠くに現れたのが見えた。


「素晴らしい、君の能力はワープ能力だ。さぁ、もう元の世界に帰りなさい。その力で頂点にたつと良い。」

「はい!」


ジンはウキウキで里へと戻っていった。


「おう、ジン。何かいいことでもあったか?」

「まぁね。俺にもサルートが宿ったっていうか。」

「本当か?見せてくれ!」

「あぁ、いいぜ!いっそ皆集めてお披露目しようか!」


ジンはかなり調子にのっていた。


ザワザワと皆が見守る中ジンはさっきと同じように手を伸ばした。


(あれ?)


空間が歪まない。


「どうした!はやく見せてくれ!」


(落ち着け、もう一度やればきっと!)


えい、えいっと何度もやったが能力が発揮できなかった。


「何だよ。嘘かよ。」「ありえねぇ。」「ふざけんな!」


周りの声がやたらとはっきりと聞こえていた。

ジンはただ下を向くだけしかできず、周りはがっかりして帰っていった。

脳内設定㉘

ダークエルフの長老

サルート名「Future eyes」

「未来の出来事を見ることが出来る。」


脳内設定㉙

教会の男

祝福名「Dr. Dolittle」

「あらゆる生物の声が聞こえる。」


脳内設定㉚

サンシャシャ【山の守り神】

能力名「arbor vitae」

「生命を与える能力」

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