第六十四話
これで小物雑貨の処分先を二件確保できます。
実は小物雑貨の扱いに困っていたのです。
シェーナ街には小物雑貨の専門店は一軒しかありません。
母さまも僕も、多くの市民も利用している
『野生のバニーガール』です。
品数が豊富で、安心価格も評判です。
だからこそ卸売り出来なかったのです。
おそらくシェーナの冒険者が持ち帰る
「小物雑貨の古代の逸品(良品)」の数はある程度把握しているはずです。
僕が多くの小物雑貨を卸売りしたら、間違いなくその出どころを疑われます。
それとバニーちゃんは「鑑定」スキルを持っていると思います。
値付けが完璧です。
あわせて「直感」スキルもです。
バニーちゃんとの初対面の時に、僕の心と身体が恐れ慄いたのは間違いでは無かったのです。
僕は「よしっ」と一声出します。
今日の方針決定です。
とりあえず小物雑貨の【古代の逸品】はマジックバッグに入れてモンタルチーノに持っていきます。
良品も不良品素材もです。
そうと決まれば、じゃんじゃん入れていきます。
二階の棚に置いてある分も入れていきます。
最後にカウンター下の木箱です。
中々、片付かなかった逸品素材が鑑定室から消えます。
僕の気分もお店もスッキリです。
空になった木箱の底がキラリと輝きます。
「なんだろう」
空の木箱を覗き込みます。
底の隅っこに針金のような細長い金属があります。
虹色に見える三センチ程の金属を手に取ります。
「こんなのあったかなぁ」
首を傾げながら鑑定します。
鑑定結果
【【祝福の縫針】】
不良品(折れ)
付与 0 (0/5%)
系統者の手にあれば稀に奇跡を現す。
鑑定結果が異質です。
まず「名称」がありません。
いきなり【銘】が出てきます。
価値もわかりません。
【【幸運の筆記用具 共鳴】】の鑑定表示に少し似てます。
鑑定ランク3で得た「説明」も違和感を感じます。
「系統者の」
は血統や資格を持つ者でしょうか
「手にあれば」
とは所有や使用でしょう
「稀に」
は5%の確率で
「奇跡を現す」
は(効果を)付与する?
まるで【古代の逸品】を生み出すアイテムみたいな説明です。
そんな物がどうして・・・
最近、買取りしたのは『やばいモグラ』さんか『中年の闇』さんです。
いずれも深層に潜る実力者パーティーです。
買取りした素材の中に紛れていたのかもしれません。
慎重にいきます。
スキル経験値を確認してからリペアしてみます。
鑑定R3 (147/300)
リペアR5 (5413/8000)
「『修復』」
手から優しく淡い光が溢れます。
【祝福の縫針】が光に包まれ、その姿を取り戻します。
六センチ程の長さの縫針です。
糸を通す穴も復元してます。
薄っすら虹色に発光しています。
鑑定してみます。
鑑定結果
【【祝福の縫針】】
良品
付与 5%
系統者の手にあれば稀に奇跡を現す。
鑑定R3 (148/300)
リペアR-MAX
虹色の発光が収まります。
ユニークスキル「リペア」のスキルランクがMAXになってます。
おそらくリペア経験値は+5000です。
勘ですが消費魔力は最低の1になったはずです。
さらに効果がアップしている気がします。
検証は後回しにします。
【祝福の縫針】は後で母さまとジーヤに相談するしかありません。
ハンカチを取り出して真ん中辺りに針を通します。
針を包み込むかたちで慎重にハンカチを畳みます。
どこにしまうか悩みます。
幸運コレクションを入れている
【山葡萄の編み袋】幸運+1にします。
一度、中身を全部出します。
【マホガニーの筆記箱】の中には
【青鷲の羽根ペン】
【永遠イカの墨壺】
が入ってます。
この三つだけで「共鳴」効果により幸運+9のセットとなります。
【銀細工の宝石箱】の中には
【黄金蝶の髪飾り】
【ラピスラズリの袖留め】
【新雪の指輪】
【黄金の耳飾り】
【翡翠の勾玉】
【大桜貝のカメオ】
が入っています。
この七つで幸運+7です。
だんだん顔がにやけてきます。
まだお客さんは来ないので大丈夫です。
一般品の木箱に
【オーク古木の靴べら】
【粉雪の短剣】
を入れています。
この二つで幸運+2です。
もう一つの一般品の木箱に
【銀鼠のスプーン】
【銀鼠のフォーク】
を入れています。
この二つで幸運+4です。
この二つは「共鳴」しています。
まだ見ぬ【銀鼠】シリーズがあることは間違いないと思ってます。
今後が楽しみなセットです。
ここにハンカチで包んだ【【祝福の縫針】】をそっと入れます。
幸運+1の【山葡萄の編み袋】に戻していきます。
さらにお気に入りのカエルリュック【軽蛙の背負い袋】重量-50%に【山葡萄の編み袋】を入れます。
幸運+1【昔蜻蛉の虫眼鏡】は僕の革エプロンのポケットに入っています。
幸運アイテムもどんどん増えていて、僕のにっこりが止まりません。
カランカラン♪
お店の扉が開きます。
お客さんです。




