第六十五話
カランカラン♪
お店の扉が開きます。
お客さんです。
「よう、トキン。今日も来たぜ」
「今日は普通すぎて泣ける」
「マジ普通に拾って来たぜ」
「トキン、俺、腹減った」
Eランクの『たぬきの皮』さんです。
良品の剣などの他に、頼んである不良品の素材も並びます。
気になる一点を鑑定します。
鑑定結果
「銅の短剣」
良品
【赤銅の短剣】
力+10
200,000ゴルド
「ふむぅ〜ん、観えました。この銅の短剣は銘を【赤銅の短剣】効果は力+10の逸品です。価値は20万ゴルドになります。他は良品と回収素材で纏めて10万ゴルドになります」
「おう、短剣以外は買取りで頼むぜ」
「俺達も少しずつ【古代の逸品】を持ち帰るようになったな。泣ける」
「マジ成長してるっしょ」
「成長期、腹減る」
僕はにっこりで10万ゴルド(金貨一枚)を手渡します。
四人が賑やかにお店を後にします。
カラン、カラン♪
美人な二人が入って来ます。
以前、一度だけ鑑定したことがあります。
にっこりで声をかけます。
「こんにちは」
「こんにちは、以前は名乗りもしないでごめんなさいね。私はアイよ」
「私はコイよ。二人でBランクパーティー『愛に恋』を組んでるわ」
「アイさんとコイさんですね。僕はトキンです。よろしくお願いします」
僕はにっこりでぺこりします。
疑問を一つぶつけます。
「喫茶店の『愛に恋』と同じパーティー名なんですね」
「えっ、お店知ってるの」
「ふふ、私達の実家なの」
「そうでしたか、マロンケーキがとっても美味しくて、僕も母さまもファンなんです」
「本当に?きっと父も母も喜ぶわ」
「看板にヴェネート公爵家御用達って入れていいかしら?」
「はい、そのくらいなら大丈夫だと思います」
思わず会話が弾みます。
こういう時間も楽しみの一つです。
アイさんとコイさんがニコニコしながらカウンターにアイテムを二つ並べます。
鑑定結果
「糸杉材の彫刻箱」
不良品(割れ)
【若糸杉の癒し箱】
疲労回復+0 (0/20%)
振動耐性+0 (0/20%)
20,000ゴルド
馬車移動に最適。
半径15メドル。
鑑定結果
「ダイヤモンドのヘアピン」
良品
【青金剛石の髪留め】
素早さ+15
器用さ+15
1,200,000ゴルド
ブルーダイヤモンドの逸品。
「ふむぅ〜ん、観えました。この糸杉の木箱は銘を【若糸杉の癒し箱】効果は本来なら疲労回復と振動耐性+20%の逸品です。残念ながら割れて効果は失われています。買取りなら2万ゴルドになります」
「綺麗な彫刻だから持ち帰って見たけど残念ね」
「割れてるから仕方ないわね。トキン君、買取りでお願い」
「はい、わかりました。もう一つのダイヤモンドのヘアピンですが銘を【青金剛石の髪留め】効果は器用さと素早さ+15。ブルーダイヤモンドの逸品です。価値は120万ゴルド。買取りなら30万ゴルドになります」
「良い効果ね。見た目も綺麗だわ」
「ブルーダイヤモンドね。それは私達で使うわ」
カランカラン♪
扉が開きます。
「やあ、こんにちは。おっと先客だね。タイミングが悪くて申し訳ない。待たせて貰うよ。タハハ」
「待ちもまた定め」
「こんにちは、タナーカさん、ブラックさん」
「『中年の闇』のお二人ね」
「街の英雄さんね」
『愛に恋』の二人も『中年の闇』の二人を知っているようです。
僕は2万ゴルド(銀貨二枚)を手渡しながら聞いてみます。
「持ち帰るアイテムの品質を見れば、『愛に恋』さんも『中年の闇』さんも同じ深層に潜ってますよね?」
「そうね。ブラックさんはソロで潜ってるのを何度か見かけた事はあるわ」
「深層からは実力プラス人数も必要なのよね。ねえ、アイ。これも何かの縁だと思うの」
「そうね、コイ。私もそう思うわ」
アイさんとコイさんが『中年の闇』のお二人に向き直ります。
「ブラックさん、タナーカさん。もし良ければ私達『愛に恋』と臨時パーティーを組みませんか」
「喫茶店『愛に恋』をご存知かしら。良ければそこでお茶しながらお話しませんか。気が向いたら会いに来て」
カランカラン♪
「トキン君、またね」と『愛に恋』のお二人が店を出ます。
「若い子にお誘い頂けるとは参ったね。しかも美人、タハハ」
「臨時パーティーも定め、なのか?」
『中年の闇』のお二人は少し戸惑っているようです。
好奇心半分で背中を押してみます。
「ブラックさん、タナーカさん。やはり深層になると、魔物の強さも数も中層とは違うのですか?」
「深層と言っても、二人じゃ、その入口辺りを周回するのがやっとなんだよ。タハハ」
「確かに深層からは魔物の強さも数も跳ね上がる定め」
「『愛に恋』さんもBランクの実力者パーティーですし、四人が怪我なくダンジョンから、ここに顔を見せてくれたら嬉しいです」
僕はにっこり伝えます。
「おじさんが若い女の子に誘って貰うなんてね。考えもしなかったよ。タハハ」
「確かにあの二人は深層で何度か見かけている。これは天命か?」
まだ少し迷っているブラックさんに留めを刺します。




