ざわめき
はぁ…はぁ…。やっと、森を抜けることが出来た。
ところでこの人達は本当になんなんだろう。さっきも、影狼をあんなに簡単に仕留めてたし…
「なぁ、きみはなんでこの森にいたんだ?そんな軽装備で」
向けられた瞳には、「まだ慣れていないだろ、戦いにも死体にも」と描かれているようだ。
軽装備っていうか、元の世界の服装のままなんだけど。
パーカーにスカートにニーソという。病人でも、お洒落はしたい。女の嗜みだ。
僕は、一瞬どう答えようかと迷った。
一つ目は、天使に呼ばれて勇者として召喚されたと答えるか。
二つ目は、単純な異世界転移と答えるか。
だけど、僕は前者を選んだ。嘘をつくよりも本当のことを言っといた方が良いだろうこの先のためにもと、思ったからだ。
多分、この人とは、これからも付き合って行くことになりそうだからだ。
「あの、僕は天使に召喚されました」
思い切って言った。
「ほう」
「勇者召喚と言うものです」
「ほう。でも、勇者召喚かそんなものが幻想入りしていたとは。それはあれか?クラス単位とかの召喚か?」
「ちがいます。私は病気で学校は行っていなかったです。だから、他の人はすみません、分からないです」
「そっか、すまんな。変な質問しちまって」
この人はそう言って私の頭を撫でた。
一瞬、身構えてしまったけど、気持ちが良かったので叫ばずに済んだ。
なんか、隣にいる女の子が鋭い目で見ているような感じがするが気のせいだろうか…。
「おい、この五分ほど歩くとアスフィ王国っていう所に着くからな。その時に俺はギルドに用があるから。少し待っててくれ」
「えっと、ギルドって、冒険者登録とかありますか?」
「ん?もしかして興味あるのか?もちろんあるよ。登録するか?」
「します!」
へぇ、この世界は本当に小説で読んだ世界と同じだな。
王国か、どのくらい大きいのだろうか。
考え事をしていると、上から声が掛かった。
「おい、大丈夫か?もう着くぞ」
「おお!中々大きいね。みあにい、ギルドはどこ?早く登録したい」
「じゃ、行くか」
この人も中々優しいし、この人に出会ってよかった。
間近で見ると、予想通りに大きかった。目を凝らして見てみると城が見えた。あそこにいる王様はどんな性格なのだろうか。ゲスか真人間か。一度見てみたいな。
そんなこんなしているうちに街に入った。
街に入って最初の感想は、おお!人が沢山いる!こんなに人を見たのはテレビの中だけだったので現実で見ることが出来て、感動した!
「大丈夫かー?」
「う、うん」
「ぼうっと突っ立ってないで、早くギルド行こうか」
しまった!僕としたことが、不覚にもずっと突っ立っていたのか。
ギルドか、この近くなのかな。
「ほら、そこだ。あぁ!走り出すんじゃないぞ、怖いおじさんに話しかけられるぞ」
みあにいは走り出そうとする僕を止めた。むうっと半眼で見てしまった。
だけど、この人は僕のことを心配していたのだなと思った。
「お邪魔しまーす」
………………………………………
はぁ、森を抜けたな。早くギルドに依頼の報告しなければな。
だけど、この女の子は誰なんだ?なぜ、こんな深いところに一人で魔物に襲われていたんだ…
それにこの髪の毛と眼…色は両方、黒。顔立ちも日本人。名前は祠と、
俺は思い切って、質問していた。
「なぁ、きみはなんでこの森にいたんだ?そんな軽装備で」
うーん、発言してから気付いたけど軽装備というより元の世界の服装なのかな。
パーカーにスカートにニーソといった、とても病人には見えない格好をしていた。
目の前の女の子は少し迷うように考えこんだ気がしたが、数秒後に答えてくれた。
「あの、僕は天使に召喚されました」
天使…か。まぁ、俺も魔王の娘にここに連れてこられたし。こういう高位の種族でしか、召喚は出来ないのだろうか。
「勇者召喚と言うものです」
わぁ、勇者召喚かー。羨ましいなー。チートとか貰っているのだろうか
「ほう。でも、勇者召喚かそんなものが幻想入りしていたとは。それはあれか?クラス単位とかの召喚か?」
「ちがいます。私は病気で学校は行っていなかったです。だから、他の人はすみません、分からないです」
「そっか、すまんな。変な質問しちまって」
俺は悪いことを言ってしまったお詫びにと、目の前にいる子の頭に自然と手を乗せ、撫でてしまった。
なんかびくっ、て揺れた様な気がするが気のせいだろう。何も言ってこないし。
だが…俺の体を射抜くような殺気はどこから湧いたのだろうか。まさか、新手か!
そんなことを考えているとそろそろ王国が見えてきた。えーと、隣の子は…というと、下を向いて歩いていたので気付いてないようだ。まさか、演技?
「おい、この五分ほど歩くとアスフィ王国っていう所に着くからな。その時に俺はギルドに用があるから。少し待っててくれ」
なんか、ずっと下を向いているが話は聞いてくれてるよな。
すると。
「えっと、ギルドって、冒険者登録とかありますか?」
お、この子はギルドに興味があるのだろうか。下を向いているので、表情は見えないが声は弾んでいた。
分かり易い子だなー。
「ん?もしかして興味あるのか?もちろんあるよ。登録するか?」
「します!」
おぉー、分かり易い。
「おい、大丈夫か?もう着くぞ」
「おお!中々大きいね。みあにい、ギルドはどこ?早く登録したい」
「じゃ、行くか」
ん、あれ。行くかって言っているのにこの子中々動かない。この子大丈夫なのか。
先に行くのも、あれだから。一応声を掛けた。
「大丈夫かー?」
「う、うん」
「ぼうっと突っ立ってないで、早くギルド行こうか」
おぉー、この子いきなり頭上げたぞ。
そんなに楽しみなのか。冒険者登録するのが。
「ほら、そこだ。あぁ!走り出すんじゃないぞ、怖いおじさんに話しかけられるぞ」
なんか、いきなり走り出しので注意したのに、半眼で見られたぞ。
おもちゃ取られた子供みたいな顔してたぞ。
まぁ、目の前だし。扉のない建物に向けて、
「お邪魔しまーす」
と、声をかけた。
「え?ここがギルドなんですか?」
「うむ」
まぁ、伝えては無かったし知らなかったのは当然ですね。
「じゃあ、ちょっと着いてきて」
「うんわかった」
うーん、この子はミーシャにでも任せとけば良いだろう。
「ミーシャ!」
「はい!なんでしょうか。…ってミアさんでしたか。どうされました?」
「実はこの子が、冒険者になりたいって言ってたから、一応手続きをよろしく頼む。俺は、向こうで依頼の完了の手続きするから」
「分かりました。任されました」
「んじゃな」
そう言い、水紫は向こうに歩いていった。
…………………………………………………
「さて、冒険者になりたいんですね」
「うん、夢だったんだ」
「では、この台に手を置いてください。あ、右でも左でもどっちでもいいですよ」
目の前の女の子はどちらの手を置くか迷っていましたが、しばらくして右手を置きました。
恐らくそちらが利き手なんでしょうか。
「では、魔力を吸い取ります。…あ、大丈夫ですよ、痛くはありませんから」
警戒していましたので、一応そう言っておきました。
「お、おぉー。何この感覚」
「どうなされましたか!」
「いや、大丈夫。なんか体の中から何かが漏れた気がしたから」
「それは魔力ですよ」
「そうなんですか」
「…………はぁ」
私は女の子に聞こえないように小さく息を吐いた。いきなり声を発したのでびっくりしました。なんとか、女の子の疑問は解消出来ました。
どうやら、魔力を感じたのは初めてなんでしょうか。
しばらくして、台に描かれていた模様が消えた。
私は見慣れた光景ですが、やはり初めて見た人にとってこの魔道具は珍しいのでしょうか。
仕組みは簡単なんですよね。
この台は魔石で、この中には、魔力を流すことが出来る不思議な管があります。
魔石は、魔力を放出する他に魔力を貯めるということも可能です。貯めた魔力には情報も含まれているのです。
その魔力を管を通して、そこにある白い魔道具、私は名前を知らないのですが。四角い穴が空いている場所からその人個人の情報が書かれたギルドカードが排出されます。
情報と言っても、名前、年齢、ランクが記されているだけですけどね。
なんというか、私は説明下手ですね。仕組みを聞かれたら多分答えられないですね。
そう考えていたら、ギルドカードが出てきました。えーと、ホコラ・カンザキ…ホコラさんというのですね。
「では、ホコラさんこちらがギルドカードです。ランクはFからスタートです。続いて、E、Dと上がっていき、最高ランクはSSSとなります。頑張ってくださいね 」
「はい、ありがとう」
「おーい、お前ら終わったのかー?」
あ、ミアさんが来ました。ちょうど来るなんて、タイミング良しゃ過ぎ、あ、噛んだ。良さ過ぎではないでしょうか。もしや、テレパシーでも…そんなわけないですよね。
「みあにい帰るの?帰るなら僕も連れてって」
「ん、いいぞー。お金が貯まるまで置いといてやるよ」
「あー、なんかもうつっこみません。お疲れ様でしたー」
「あーまた明日なー」
ふう、ミアさんはいつも女の子を連れていますね。みんな、助けられた人達なんでしょうか。ミアさんはとても信頼されているように見えます。
あー、私も誰かに守られてみたいですー。
当然、ミーシャの心の声は届くはずもなく、静かに水紫の背中を見送って行った。
「…っち、あの女…」
ひっ…!?なんですか、今の殺気…。
周りを見ましたが、酒場はいつもの喧騒を保っていて、誰も今の声には気付いていないようです。
ひとまず、今日は帰りましょう。すぐに寝れば、忘れるはずです。
今回は、色々なざわめき。心の内側を書きました。




