表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
GATE──少女が扉開くその先へ  作者: 祠乃@災厄の吸血姫
16/23

見かけによらず

「…ご主人様どこぉ…」


タタタッ


「ぇっ」

「すまない。クルル」


クルルの後ろから、抱きついた。


「ごめんな。長い間、独りにして」

「うん…」


クルルは、水紫の腕に顔をうずめていたが。しばらくして離れた、


「けど、だいじょうぶ…ご主人様なら…ぜったい来てくれるとおもったから」

「ふぅ、強いな、クルルは」


と、クルルの頭を撫でた。


「えへぇ…ご主人様…撫でるのじょうず」

「そっか、ありがとな」


とつぜん、


「ご主人様!スライムは?」


あー、感動の再会ですっかり忘れてた、


「ん、奥の方から来るぞ……多分」

「たぶん…?」


ガサガサと音を出し、木陰から出てきたのは、およそ20体はいるだろうか。スライムの群れだった。


「あー、スライムって群れるんだな」


前方を半眼でジトッと見て呟いた。


「これ、全部やっていいの?」


クルルはというと、スライムの群れを見て、目をきらきらさせ殺る気満々だった…

時々、思うけど最近の子供って怖いなぁ。


「待て、これ全部俺がやる」

「ふぇ…?」


クルルはお菓子を取り上げられたような目をこちらに向けた。

俺は、気まずそうに目を逸らしてしまった。


(そんな顔をするなよ…やりにくいな、これ)


「でも、ご主人様って斬撃しかつかえないよね…」


クルルは後ろを向き、そう呟いた。


「は?」

「………………」


…顔が見えないがおそらく笑っているのだろう。

クルルの小さい背中はぷるぷると震えている……奴隷に馬鹿にされるご主人様って一体…

仕方ない、ご主人様の力を見せるとしようか。


「…」


腕を前にかざし、ブレスを放つ準備をした。準備をしながら思い出したが、+上げてないから実戦に向いてないとも説明文に記されていたがどうだろう。


「はぁっ」


息を洩らしながら、手の中に紅い魔力光の収束を始めた。初めてなので中々、光が集まらなかったが、スライムを倒すには十分な威力を得た。


「…」


俺は、照準をスライムに設定し、ブレスを水平に薙いだ。一言に纏めると、薙ぎ払いブレスだ。

スライムは、横から順に来る光に反応できずに、固まり、訳も分からず死んでいった。

順に消滅して行くのが中々、爽快だった。


「は…?」


さすがに驚いたのだろう。スライムを1体残したことに。


「すごい。何その、魔法…」


あれ、違うのか。


「は、はは、どうだー」


俺は顔が引き攣っていたが、なんとか笑ってみせた。


「でも、1体取り残しているよ?」

「ん、そいつは俺が喰う」

「は……?」


クルルは今度こそ水紫を見て驚いた。

顔には、何を言っているんだ、このご主人様は?と書かれている。


「…っ……」


水紫は無言で魔法を唱えた。瞬間にスライムはまっぷたつに切断された。

はぁはぁ…やっぱり無言で、というのは疲れるな。


「え?……無言詠唱…?」


クルルは水紫を見て、呟いた。

ちょん切れたスライムは、両方ともびちゃびちゃと不快な音をたて、飛び回っていた。


「ったく、不快な音だ…」


切断され跳ねてるスライムに近づき呟いた。

途中で、スライムの方から近づいてきたが、片方は思い切り踏みつぶした。べちゃっ、という音が響き破裂した。なんだか、水風船を思いっ切り踏んだ時と似ているな。

しばらく見ていたが、遂に限界が来たのだろうか。糸が切れたように動かなくなった。


「はぁ、」


息を吐き、切断されたスライムを拾った。

想像通り、ぷよぷよといった感触に思わず、


「うわぁ!」


と情けない声を発し、落としてしまった。

もう一回拾い、一言呟く。


「これ、美味しいのかな」

「さぁ?」


クルルは微妙な顔を向けて、質問に答えてくれた。

意を決して、それを食べてみた。


「ご主人様…美味しい?」

「………」


肉の脂身を喰っているみたいで、思わず吐きそうになったが、その味に驚いた。


「…美味い」


まさか、ドラゴン(ゾンビ)の肉よりこちらの方が美味いとは。…感触はどちらも嫌だが。

味はその色の通りに、ソーダ味だ。

こんなに美味しいなら溶かして、ジュース…に


「ありだな」


水紫は思わず、自分の心の声に同意した。


「ご主人様、ちょうだい?」


クルルは物欲しそうな顔を向けてこちらに聞いてきた。あまりの可愛さに即OKと同意してしまいそうになったが、すぐに我に返った。


「いや、駄目だ。いくらスライムでも魔物だ」


ピコんっ

(おい、いま会話中だ。自重しろステータス)

『タイミング悪かったですね。すみません、技能とスキルが追加されました』

(む、そうか。ていうか、話し続けるんだな。それでどういうのだ?)

『液化です』

(液化?)


液化:対象を液体に変える。液体にした物は戻せない。生物は液化の効果は効かない。死んだものには効く。


(これだけ?)

『これだけです』

(だけど、よっしゃー!!)

『?』

(あのな、スライムジュースを作れるんだ。これほど、いい技能は中々、無い)

『そ、そうですか』


…顔は見えないが、たぶん優しく微笑んでいるのだろうか。


「ご主人様…?」


はっとして、下を向いた。

クルルは水紫の方に上目遣いで見ていた。


「だいじょうぶ…?」


長く目をつぶりながら独り言を呟いていたんだ。心配してくるのは当然だよね。


「ん、」


クルルの頭をわしゃわしゃと撫で、言った。


「大丈夫だ。さて、陽もそろそろ落ちるし、帰ろうか?お姫様」

「あぅ…」


おひめさまならおひめさまだっこ…?

なんていう、呟きが聞こえたが無視した。

後ろからは、むぅ、と言う声がしたが、本当に気にしないでおいた。


「だっこは出来ないが、手は繋いでやるよ。クルル」

「きこえてたよね?」

「あーあー、俺、全然聞こえなーい」


という、俺の声にクルルはクスッと笑い、


「じゃぁ、きょうはそれで許してあげる」

「はは、助かる」


手を差し出し、小さい手が握ったのを確かめてから歩き出した。


「でも、今度からはだっこ…」

「な…」


「だって、わたしおひめさまだから♪」


スライムって美味しかったんや

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ