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GATE──少女が扉開くその先へ  作者: 祠乃@災厄の吸血姫
12/23

新たな出会いと解放

「うーん、この先が宿だよな」


だけど…うーん?


「?どうかしたの?水紫」

「なんか、襲われている男を見つけてな」

「水紫くん!助けようよ、今すぐ」


…うわ、奏瀬さん、天使かよ


「報酬とかあるかも。うへへ」


アート…お前…


「めんどくさいけど、やるか」

「「がんばれー」」


お前らは、何もしないんだな…いや、わかってたよ、うん…。あ、そうだ、早く奏瀬にも戦う術を学ばせようかな。楽になりそうだよね。


「自分に設定、ホロウ…」


スッという効果音がなり、水紫の姿は誰にも捉えられなくなった。


「………」


水紫は無言で、襲っているやつに近づいて言った。


「おい、金を出せ!」

うわぁ、お金かぁ。まぁ、ギルド入って稼げば良いのにな。


「今はそんな金などない。他をあたってください」


まぁ、普通はそういうよね。


「はぁ!?何言ってるんだ。てめぇ奴隷商人何だから、金ぐらい今すぐ用意出来るだろ」


…奴隷商人だと……待て、この世界には奴隷もいるのか。


「」


水紫は無言で手刀を作り、襲っている男の首の真上に置いた。そのまま、流れるように手刀を振りおろした。


「ガッ!?」

「ひ!?」

襲っている男は苦しそうな呻き声を出し、倒れた。

同時に奴隷商人も何故か変な声をあげた。

え?なぜだろう…


「解除」


水紫は認識されるようになった。目の前の奴隷商人は、目をキョロキョロしていた。目の焦点が合っていない。

「おい、大丈夫かー。おっさん」


やはり、返事がない。


…立ったまま、気絶しているのか?器用なやつだ。

そう思いながらも水紫はチョキで男の腹を小突いた。

男は急にはっ、としてようやく目を覚ました。


「ひぃ、お助けを」


と、男は自分の腕で顔を庇った。


「おい、大丈夫だ。一回落ち着け。それにお前を襲った奴はそこに転がっているだろうが」


と言って、指をさした。男はしばらく、水紫と倒れている男を見つめて、ようやく。


「すみませんでした。それと助けて頂きありがとうございます」

「ん、あぁ、良いんだ」

「ですが、なんと、お礼をしたらいいか…」


と、男は考えるように目を伏せ、そして、


「そうだ、私は奴隷商人をしているアルスという者ですが、良かったら商品を見ていってくれませんか?」


テンプレ…なのか?


「あぁ、良いが俺…金は持っていないんだ…」

「大丈夫です、1回だけ、タダで売ってあげますよ」

「分かった、それなら行くよ」

「では、ついて来てください」


アルスは先導するように、水紫の前に立ち、進んだ。

水紫は、アート達に付いてくるように、指をクイッと曲げて指示を出した。


数分後、一つの建物に着いた。

アルスは、扉を開けて、


「さぁ、どうぞ。お入りください」

「あぁ」


水紫は後ろを向かずに、アート達に待っているように、指示を出した。勿論、無言で。


「地下に、居ます。ついて来てください」


そう言い、アルスは地下への階段を下っていった。水紫もそれに続いた。

長い長い階段を降りようやく地下に着いた。地下の広い空間には、多くの牢屋があった。


「では、私はここで待っておりますので、どうぞ好きな奴隷をお選びください」

「あぁ、」


水紫は頷き、それぞれの牢屋を見に行った。

水紫は歩きながら考えていた。

酷い…ここにいる奴隷達は皆、捨てられた者や、売られた者なのだろうか…そう考えると、胸がきりきりと傷んだ。

基本的に、水紫は良い性格をしているのだ。だから、こういう奴らは放っておけない。

だが…救えるのは一人…


「くそ!」


水紫は自分の力の無さにイラつき、ドンっと壁を殴った。

不意に、水紫の頭の中で声がかかった。


『確かに、水紫の考えているとおりだね』

「ん、ステータス?それともアート?」

『アートだよ、水紫』

「で、何の用だ?」

『水紫の考えていることは間違いは無いんだよ。だけど…ここはお店だからね…』

「っ、そうだけど…」

『だから、君が見た限りで一番酷そうな子を救うんだ。君の手で』

「いきなり何を…」

『良いから…。おっともう限界だ、後でね、水紫』


一番酷そうな子か…。


「今見た限りでは、あの子かな…」


水紫は少し早歩きをし、その子の牢屋の前まで来た。

暗くて、顔はよく見えない。


「…誰?」

「俺はな、お前を買いに来た奴だ」

「私を…?」

「あぁ」


水紫は少し考えて、小声で喋った。


「なぁ、お前は何故ここにいる?」

「商品だから…」

「何故そうなった?過去に何が起きたのか詳しく教えてくれ」

「……」


返事はなかったが、暗闇でコクンと頷く影が見えた。

俺は、牢屋の前に座り、聞く体制を取った。


「私はクルルです…。私が生まれたところは北の地方の村です。そこは平和なところでみんなも優しくて住みやすかったです。だけど、私が5歳の時」


クルルは、そこで話を一旦切った。思い出したくない過去なのだろうか?


「あのさ、辛いなら無理に話そうとしなくても良いぞ?」

「」大丈夫です。えっと、私が5歳の時。盗賊が攻めてきました。名前は確か…血界十字ブラッディ・クロス

「」


水紫はつい、口をポカンとだらしなく空けて無言で、固まってしまった。

痛い…痛すぎるぞ…。


「えっと、そいつらは具体的に何処を活動拠点にしていて、なぜ襲ってきたんだ?」


まぁ、襲う理由は大体分かる。村を襲って得た金や子供、女をそういう雰囲気の店で売れば金になるからだろう。


「えーと、北の国じゃないのかな。わからないけど、その人達はその方角はから襲ってきたから。理由はお金になるからだと思う」


「お前は復讐したいか?」

「え?」


やっぱり、分かりにくい言い方じゃ、だめか。

なら、と、水紫は続けていった。


「お前を今から、俺が解放してやる」

「かい…ほう…?」

「あぁ、今は金が無いから、少し待ってもらうけど、」


水紫はひと呼吸し、続けた。


「金が溜まったら飯も沢山食わすし、住む場所も与えてやる。お前を売った、奴らも懲らしめてやることもさせてやる」

「……………」

「駄目だったか?」


無言が続く。

あぁ、やっぱり人を信じることはできないのか。


「……………………」


これは仕方がないな。嘘かどうかも、俺に着いていくかも、この子が決めることだしな。


「そうか…ならお別れだ。じゃあな」


水紫は回れを右をし、違う子を探しに行こうとした。

だが、背中に声がかけられた。


「…待って!私、幸せになりたい。だから、あなたと一緒にいきたいです…」


と、言われ、思わず水紫は笑みを零してしまった。

なんだ、意外と素直じゃねぇか。


「うん、素直になれば可愛いじゃないか、すみませーん」


奥の方で、はーいという声が聞こえた。タタタタッと小走りで来ているのだろうか。


「はい、お決まりでしょうか?」


はぁはぁと、息を切らしているようだ。


「あぁ、このクルルって子にするよ」

「分かりました、では開けます」


牢屋が開いた。顔は、牢屋の中では暗かったので、見えなかったが、電気の下で改めて見ると、綺麗な顔立ちをしている、少女だった。頭には、狼の耳。そして、見えないが尻尾も隠れているのだろう。


「よ、これからよろしくな。クルル。お前、亜人族だったんだな。」

「…うん、よろしく。ご主人様…。亜人族は大丈夫?」

「あぁ、大丈夫だ」


と、クルルの耳と頭を交互に撫でた。


「ん、やめて、くすぐったい」

「HAHAHA 。では、支払いは…」

「命の礼です、どうぞ」

「ありがとう」


水紫とクルルは、長い長い階段を登っていった。

一緒に登るクルルの目は、わくわくとしていた。耳はピコピコとしきりに動いていた。よほど、外に出るのが楽しみなのだろう。

そうこうしているうちに、扉の前へと来ていた。


「では、行くぞ。外だ!」

「…うん!」


ギィ、と音を鳴らし扉を開いた。相変わらず太陽は眩しく、笑顔でいるクルルを迎えているようだ。


読みやすくなるように


頑張ります(^-

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