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バノドス

(いくら超常種戦闘士の寄生物だからといって、女に負けるとは、キュルネピンの奴……、情けない。所詮は、キュルネピンだからか……。しかし、私はそうはいかんぞ! 待っておれよ! サレネぇぇぇ!!)


「流君。道程君。じゃあ、また明日。バイバイ」

「おう! 輪中じゃあな!」

「ヤバイのに襲われたら、連絡しろよ〜!」

 下校時、神治達と別れた望は、家路を急いでいた。

『それにしても、流君は兎も角、道程君……、あのままじゃ、危ないわね。流君、気付いているのかしら……?』

 もう少しで、家へ辿り着くという時、望の前に一人の女性が立っていた。

「あなたがサレネ? 探したわよ。キュルネピンを殺ったのは、あなたよね? ちょっと、私と勝負してくれるかしら?」

「七闘鬼!?」

 望は少し下がってバトルフォームへ変化した。

「七闘鬼……ね。私、その呼び方嫌いなのよね。まあいいわ。そうよ、邪闇界七闘鬼が一人、剛腕のバノドス。元ラズリセル側近救護兵、爆裂のサレネ、勝負受けてもらうわよ!」

 バノドスは、掛け声と同時に望へと駆け寄ると、望の腹部へと強烈なアッパーを繰り出した。

 望はガードポジションにて、受け止めた。

『な、何、この攻撃……。重たい!!』

「何びびってんだい? まだまだ、これからだよ!!」

 バノドスの猛攻が始まると、望はガードとスルーを主体とし、反撃のタイミングをはかった。

 が、ガードをする度に、腕が痺れていく。スルーをしても、すぐさま繰り出される拳撃に圧倒されていた。

『か、回復する暇も……ないじゃない』

 スピードは速くないにもかかわらず、一撃一撃の威力が尋常でない。

 そして、バノドスの繰り出したストレートに対して、カウンターを繰り出した刹那、カウンターは避けられ、頭部に激痛を伴い望は、吹っ飛ばされた。

「な、なかなか……、やる、じゃない……。ちょ、ちょっとだけ……、痛かった……わよ」

 ヨロヨロと立ち上がり、ファイティングポーズをとると、望は腕と頭の痛みを少し回復した。

「それだけでいいの? ちゃんと、回復した方がいいんじゃない? 待っててあげるから、ね」

 バノドスは、不敵な笑みを浮かべると、戦闘フォームを解除した。

「言ってくれるじゃないの! 後で後悔しても、知らないからね!!」

 望は完全回復すると、再びバトルフォームへ移行し、バノドス目掛けて駆け寄り、正拳突きを繰り返した。

 望の正拳突きを右手の掌で受け止めたバノドスは、その手を持ったまま、望の腹部へと、アッパーを繰り出した。

「ゴボッ!」

 望は、腹から戻る大量の血液を、口から吐き出し、そのままうなだれた。

 その様子を見たバノドスは、望を放り投げると、「ちゃんと回復してから、来てって言ったでしょう」と付け加えた。

『何なの……アイツ。この前のキュルネピンなんて、比じゃないじゃない。これは、ピンチかもね』

 再度立ち上がり、回復を行った望は、「じゃあ、ちょっと待っててくれるかしら」と言うと、気合いを入れ直した。

 黄金色に輝く白衣は、胴着へと変化し、拳は、黄金のオーラが立ち上るナックルクローへと変化していた。

「姿が変わると、強さが変わるの? そんな余興はどうでもいいから、本気で来なさいよ!!」

「余興かどうかは、あなたの目で確かめたらいいのよ!!」

 言葉と同時に、望が仕掛けたと思ったが、バノドスの視界から望が消えた。辺りを警戒していたバノドスだったが、足に痛みを感じ、下段蹴りを撃ちながら360度回転したが、手応えはない。続けて、頭部・腕・腹部と連撃で痛みを感じた。

「やるじゃない。キュルネピンを殺ったってのは、そのスピードがあるからなのね!? でも、キュルネピンに比べたら、まだまだ遅いわよ!」

 バノドスには全く見えていなかったが、そう叫ぶと、精神を集中し目を閉じて、無防備な状態で構えた。

『心眼!? その場しのぎで、あって欲しいものよね!!』

 と、ランダムに動きながら、右足首へと蹴りを繰り出した瞬間、望の足はバノドスに踏み付けられていた。

「あなた、心眼も知らないの?」

 足を踏まれて、身動きのとれない望を見下ろすようにして、バノドスは呆れたように言うと、望の足を踏み付けたまま、連打撃を繰り出した。

「ちょっと、ちょっと待って! いやぁぁぁぁ!!」

 望の叫びも虚しく、砂埃を上げながら、バノドスは望の身体の感覚が無くなるまで打撃を繰り出し続けた。

「ハァ! ハァ! ハァ! あ、跡形もなく、消し飛んだか!?」

 と、バノドスが砂埃の中を確認すると、「いやぁぁぁ! な〜んてね」と、舌を出して照れ笑いする望がサッと飛び去った。

「バ、バカな……。確かに手応えは、あったはず……」

 驚愕の眼差しで望を見詰めるバノドスであったが、「あれ? もう女の話し方はオシマイかしら?」と言われ、「何を!!」と逆上した。

 しかもその直後、「もうあなたの勝ち目は無くなっちゃった」と言われ、バノドスは怒りを目に溜め、望に突撃した。

 この時、黄金の拳と胴着を身につけた望は、微動だにせず、バノドスの攻撃を待っていた。

 バノドスの繰り出した右正拳突きを上方へ流すと、次にくる左アッパーを自分の左へ流し、がら空きの腹部へ膝蹴りを繰り出す。

 バノドスが離れ、上段から下段の蹴りを繰り出せば、下段蹴りにて迎え撃ち、軸となる足に、渾身の一撃を放った。

「柔よく剛を制すって言葉、知ってる? まあ、知ってたところで、何も変わらないんだけどね」

「物界古来の武道の教訓か……。だが、そんなくだらん受け流し術ごときで、このバノドスが倒せると思っているのか!!」

 望の言葉を聞いて尚、全身に力をこめたバノドスは、「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」と叫びながら、どす黒い紫色のオーラを出し始めた。

 オーラに包み込まれたバノドスは、拳連打を繰り出し、飛び掛かった。

「くだらないかどうかは、その身体で感じてみれば、いいんじゃない!? 柔よく剛を制すの神髄! その一、心!!」

 バノドスの攻撃を紙一重で避けながら、一歩も後退する事なく、望はその場を維持し続ける。

 そのまま避けるだけでなく、拳撃と拳撃の僅かな隙に、一撃、また一撃とヒットさせていく。

「剛拳に屈する事なく、確実な攻撃を行う事の出来る技術! 柔よく剛を制すの神髄! その二、技!!」

 スピードを上げたバノドスの攻撃がヒットし始めたが、望はその攻撃を瞬間の後退にて、最小限のダメージへと変換していく。

「剛拳すなわち、強き拳の拳。強きは、柔軟なる手合いにて、身体へのダメージを差し押さえる! 柔よく剛を制すの神髄! その三、体!!」

「訳のわからん事を、いつまでもごちゃごちゃぬかすなぁ!!」

 バノドスが放った渾身の正拳突きを、右手で受け止めると、その反動を利用して身体を回転させ、望はバノドスに裏拳を繰り出した。

「柔よく剛を制す! その神髄とは、心・技・体の組み合わせから発動する最強の武道! それが、武術よ!!」

 望の言葉を聞いたバノドスが、「それがどうしたぁ!!」と、連打撃を繰り出すと、望は踊るようにして、徐々に地面より浮かび始めた。

 しかし、苦痛の表情を浮かべているのはバノドス。望は、バノドスの攻撃から出る威力を利用し、反動裏拳を繰り出し続けていたのだ。

「認めん! 認めんぞぉ! こんな敗北があるものかぁ!!」

 攻撃を緩めたバノドスは、すでに顔が原形を留めていなかった。

 そこへ望が駆け寄ると、バノドスを押し倒し、マウントポジションをとると、顔が砕け散るまで、殴り続けた。

「だから、後悔しても、知らないわよって、言ったじゃない」

 望はそう言って、首の無くなったバノドスより離れると、家へ帰っていった。


「おいおい。こんな物、置いていったらダメじゃんよ。まあ、今日の後始末は、俺がしておいてやるよ!」

 そう言って神治は、民家の屋根から飛び降りると、首の無くなったバノドスの身体を剣で持ち上げると、「ハァッ!!」と気合いを入れ、形を残さぬ肉片へと細切れにした。

『しかし、望の奴、相変わらず手ぇ抜いてやがんな。気ぃ引き締めねぇと、マジで死ぬってのが、わかってねぇのかよっと。まぁ、今日のところは大目にみてやるよ、勝ったしな。さぁて、俺も帰るか! じゃあな、望。また明日!!』

 望の家の方を見ると、神治は民家の屋根に飛び乗り、瞬く間に、暗闇へと姿を消したのだった。




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