Lesson 41 魔法医になりたい
私は、実家から病院に通っていた。
――今が夏休みでよかった。
父は、仕事が忙しく、ほとんど家に帰れない。
兄も遠くにいて、すぐに帰るのは難しい。
病院に通う私は、自然と母の担当医と話すようになった。
「専科というと、まだ学生さんでしたか。最近の学生さんは、よくできるのですね。」
医師が、驚いたように言った。
「いえ、そんなことはないです……」
照れくさくて、小さな声になってしまった。
「そんなに、謙虚にならなくてもいいんだよ。君は、あの場で冷静に対応できたのだから。」
「将来は、魔法医を目指すのかい?」
そう聞かれて、ハッとした。
救命魔法医でなくてもいい。
魔法医になって、人を救いたい。
「そうですね……」
私は、少しだけ考えた。
「私、魔法医になりたいです。」
その言葉に、医師が大きく頷いた。
「ぜひ、魔法外科においで。歓迎するから」
ポンっと、私の肩を叩くと、次の患者さんの元へ歩き出した。
――私の将来の目標が、ようやく決まった瞬間だった。
――――――――――――――
「……ミーナが、そんなふうに考えるようになるなんて。」
母は、感慨深げに言った。
「医者を目指すなんて、反対するわけがないじゃない。」
「それこそ、お父さんだって大喜びよ。」
そう。
私は、父と同じ職業になるのを嫌がっていた。
私には向いてないと思っていたし、親の言いなりになるようで、それも嫌だったんだ。
でも――
考えた末に、自分で決めた将来の夢は、親と同じ職業だった。
親から強制されたわけではない。
自分の意思で決めたこと。
その事実が、私には少し誇らしく思えた。




