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Lesson38  到着しない救急車


……お母さん!


私は、急いで駆け寄った。


「お母さん!」


返事がない。


「ねえ、お母さん!」


やっぱり、ダメだ。


どうしよう。

今、家には私しかいない。


そうだ、救急車を呼ばないと!


震える指で、番号を打ち込む。


早く、早く――


「こちら、救急です。」


でた!


「母が倒れて、返事がなくて……!」


「わかりました。すぐ行きます。」


良かった、すぐ来てくれる。

少しだけ安心した。


私は、母のそばで待つことにする。


しばらくすると、電話が鳴った。


番号は、救急からだった。


「申し訳ありません。道で事故があり、到着まで少し時間がかかります。」


――そんな!


私は、絶望的な気持ちになった。


「少しって、どれくらいですか!?」


「正確な時間はわかりませんが、できる限り急ぎます。」


その言葉に、思わず電話をギュッと握った。


――そうしている間に、母の顔に血の気がなくなってきた。


唇が、紫になっている。


「急いでください!」


急いでくれているのは、わかっているはずなのに、

言わずにはいられなかった。


――なんとか、なんとかならないの?


その時。


私の脳裏に、登山での出来事が浮かんだ。


そうだ、


――回復魔法だ。



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