Lesson28 やるしかない
「回復魔法!?」
思わず、叫んだ。
「植物にしか、やったことがないですよ!」
たしかに、植物は復活していた。
でも、人にも効くのだろうか?
私には、あまりにも荷が重かった。
迷っている間に、どんどん出血するレオン先生。
このままじゃ、間に合わない。
「やらないより、マシだ。やってみろ」
確かにそうかもしれない。
それに、レオン先生を少しでも助けたい。
――もう、やるしかない。
私は心を決めた。
震える手を出血部分にかざす。
素早く、呪文を唱えた。
――なにも起こらない。
もう一度。
――やっぱり、ダメだ。
「先生、無理です!」
弱気な言葉が出てしまった。
「ミーナ、心を無にするんだ」
苦しそうに、レオン先生が言う。
――助けたい。でも、その思いが無になることを邪魔する。
「無になるなんて、無理です!」
「――仕方ないな。」
レオン先生は、ほんの一瞬だけ迷うような顔をして、
私に顔を近づけ、小さく呟いた。
「 」
え……。
その言葉を聞いた瞬間、私の頭は真っ白になった。
――パアッ――
手のひらから、光が溢れた。
それは一瞬で広がり、辺り一面を包み込んでいく。
眩しさに、ギュッと目を閉じた。
……どれくらい時間がたっただろう。
「おい、出血が止まったぞ。」
レオン先生の声。
顔を上げる。
そこには――
少し表情の和らいだレオン先生がいた。
その周りには、
鮮やかな緑になった、紅葉したはずの、無数の楓の木もあった……。




