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【オムニバス掌説集】WEIRD DISHESー料理はかわいいお皿にのせてー  作者: 夏の月 すいか


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ためいき -前編ー

 シャワーから湯が出ずにタメ息が出た。


 ――ふあぁ~~ぁ。


 だいぶ気の抜けたタメ息だ。レバーをいくら捻(ひね)っても湯は一滴も出ない。


 ――ふあぁ~~ぁ。


 どうしてこうなってしまったのだろう。私は困った末に水道屋を呼ぶ事にした。

 水道屋とはいささか乱暴な言い方だとは思うがご容赦(ようしゃ)願いたい。

 「屋」が付くのはプロだ。プロフェッショナルの「屋」だ。

 だから水道のプロを呼ぶのだ。水道屋だ。


 ―――ピン‐ポーン。

 水道屋だ。水道屋が来たのだ。

 私は玄関を開け、顔面の半分が瞼のような中年の水道屋を招き入れた。

 「シャワーからタメ息が出ると伺っておりますが、お困りだったでしょう。早速見せていただいてもよろしいでしょうか」

 顔面とは裏腹に水道屋はキビキビとした動きで風呂場に向かった。さすがプロだ。さすが「屋」だ。

 「こちらですね。失礼します」

 水道屋はシャワーのハンドルを捻った。


 ――ふあぁ~~ぁ。


 「なるほど~。確かに…」

 「どうですか?修理出来そうでしょうか…?」

 「はい、大丈夫です。一時間くらいかかると思いますがこれでしたら直りますよ」

 良かった。これで気の滅入るようなタメ息とはおさらばだ。

 ………ん?そういえばシャワー以外はどうなってるんだ?

 「すみません、そういえば気が動転してたので他の水道がどうなってるか試してませんでした。ちょっと確認してもいいですか?」

 「そうでしたか。それでは一緒に確認しましょう」

 私は水道屋と一緒に家の中を回った。



 まずは洗面台。水道屋がレバーを上げた。

 ――ふあぁ~~ぁ。

 次にキッチン。

 ――ふあぁ~~ぁ。

 トイレの水洗レバー(小)

 ――ふあぁ~~ぁ。

 水洗レバー(大)

 ――ふあぁ~~ぁ。――ふあぁ~~ぁ。――ふあぁ~~ぁ。

 同時にトイレタンクのところからもタメ息が流れた。

 「やっぱりどこもダメですね。念のため洗濯機も回してみましょうか」

 ――ふあぁ~~ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

 タメ息が渦を巻くだけだった。


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