単純な初花
私は洗面台で顔を洗って、口角を上げて何でもないフリをして、剛さんの所に戻る。
するとやっぱり剛さんの所に人だかりが出来ていた。
「オーガさん、いつも試合見ています」
「ああ」
「最近休んでるのってやっぱり例の…」
「じゃあ一緒に居る子って見合い相手の娘ですか?」
やっぱり私邪魔かなぁ。声を掛けかねていると、剛さんの方から声をかけられた。
「流李!戻ったか」
「え、あっはい!」
「悪いなお前ら、俺今デート中だから」
「えっ」
剛さんがそう言って私の肩を抱いた。突然の行動に吃驚した。周りの人も声を上げて、剛さんがベンチに置いてある私達の荷物を持つと、更衣室の方に向かう。
「あっあのっ剛さん」
「更衣室の隣にシャワー室がある。汗を流したら、入り口に集合で良いか?」
「…はい」
男女の更衣室で私達は別れて、私は更衣室の隣にあるシャワー室で汗を流した。
デート中。
剛さんの口から出てきた言葉にドキドキする。
さり気なくもう一度鏡を見ると、初花の青色がなくなってて、ピンク色に咲いていた。
何て自分は単純なんだ。
自分が恥ずかしくてタオルで強引に髪を拭いて、身体の水気を拭き取ってから私服に着替えて、女子更衣室を出た。
「流李」
「剛さん」
もしかして時間を掛けてしまったんじゃないかと、駆け足で剛さんの下に駆け寄った。
「運動してお腹空いてないか?なんか食べるか?」
「え?良いんですか?」
「おう、今は成長期だからいっぱい食え」
「わーい」
少しオーバーに驚いてから、剛さんと一緒に飲食店に入る。お冷を口にして注文したメニューを待っていると、剛さんが口を開いた。
「流李…その、来週は遊園地に行かないか?」
「遊園地?」
「ああ、体格のいい鬼人も楽しめる遊具も沢山ある遊園地。一緒に遊びに行こう」
「良いですね!私遊園地大好きです!」
遊園地の言葉に舞い上がる。小学生以来だなと楽しみに思った。




