轢空の魔女
新しくなった村の説明回です。
私の名前はレミルート・リータリンダ。『ドライ』高原の村に住む『魔女』です。私も昔は『収納場』とも呼ばれるこの村に住んでいた普通の女の子でした。ですが今は『大魔女』様に仕える『魔女』の1人です。
今の私の話をする前に少しだけ昔話をしましょう。
少し前、村に悪い人たち(王家の使い)が大勢でやってきて、私たちにこう言ったんです。
【今からこの村の人間の半分を殺す。生き残りたくば、全力で逃げ回れ。】と。
今考えても全く意味が分かりません。しかし、事情を聞こうと前に出た、私たちのホラン母さまがその場で殺されてしまいました。あまりに一瞬の出来事で私は何が起こったのか分かりませんでしたが、ヤツらが本気であると言う事だけが分かりました。
正気に戻り、母さまの亡骸へ駆け寄った姐さまたちは全員捕まってしまいました。私たち若い女の子たちはあまりのショックで足が動かなかった事が幸いしたようです。そして捕まった姐さまたちは、私たちへの見せしめとして母さまの亡骸と共に生きたまま十字架で焼かれてしまったんです。
そんな光景を目の当たりにした私たちは一目散に逃げ出しました。大切な家族を無惨に殺された怒りは勿論ありました。でも、無力な私たちには何も出来ず、ただヤツらの言う通りに逃げ回る事しか出来ませんでした。
泣きながら必死に走っていた私ですが、途中で足を挫いてしまいました。もう走れないと絶望していましたが、私を見つけたアルカ姐さまが、危険を顧みず私を見つかりにくい木の上に隠してくれました。
そのおかげで私は何とか見つからずに隠れ切る事が出来ました。しかし隠れ切ったとしてもそれで終わりなどではなく、その後ゲームの終了が宣言されると、逃げ切った全員が広場に集められました。その道中、私を助けてくれたアルカ姐さまの無惨な死体を見つけました。それを見て私は泣き崩れましたが、そんな私の髪の毛を引っ張ってアイツらは無理矢理広場に並ばせました。
広場に並ばされた私たちは全員両手を前に縛られ、前の人の首と縄で繋がれました。これによって誰も逃げ出せなくなったんです。そうして一匹のムカデのようになった私たちはどこかへ連れて行かれることになりました。
ヤツらの指示の元、私たちは山を降りていきます。私も含め、皆んなが仲間を失った悲しみに暮れていましたが、1人が立ち止まれば皆が止まってしまい、全員が折檻を受けます。なので私たちは歩くしかありませんでした。どれだけ悲しくても、どれだけ辛くても、母さまや姐さまの代わりに生き残った私たちは死んではならないと、必死に歩きました。
しかしその道は簡単なものではありませんでした。ただでさえ服装は薄着で、靴もボロボロで山道を歩く事に適していない。さらに村人は全員、慢性的な栄養不足により常に空腹で生きている為、皆がガリガリに痩せており身体も貧弱です。険しい山道など到底乗り越えられるはずがありません。
数時間歩いた後、1人の子に限界が訪れました。疲労で意識を失ってその場に倒れ、周りの子たちも巻き添えにして列が止まってしまったのです。それによって周りを歩いていた兵士たちに見つかり、再び折檻を受けました。ですが折檻されたところで気絶してしまったその子はもう起き上がれない。
万事休すかと思いきや、近くを歩いていたエアル姐さまがその子を背負ったのです。私も意識を保つのがギリギリな程に衰弱していたのに、そこからさらに1人を背負うなんて無謀だと思いました。ですがエアル姐さまは皆を心配させないように笑顔を見せながら歩き始めたのです。それどころか、皆を鼓舞するように声をかけ続け、私たちを励ましてくれたのです。その言葉に助けられ、私も頑張る事が出来ました。ルナー姐さまの一つ下の世代であるエアル姐さまは普段は軽い人ですが、こう言う時にはとても頼りになる本当に凄い人です。
それから約1時間、姐さまの奮闘もあって全員が何とか無事に歩き切る事が出来ました。私も既に足の裏が靴擦れで皮が捲れており、躓いた時に擦りむいた膝の血はずっと止まりません。肉体もほぼ限界で、あと数分も歩けば私はダメだったと思います。
兵士たちの号令で立ち止まり、束の間の休憩をしていた私たちですが、何やら前の方が騒がしいようです。ほぼ最後尾にいた私からは前の方がよく見えなかったのですが、何やら前の方で男の人の悲鳴が聞こえてくるようです。周りの兵士たちは何に気付いたのか、血相を変えて前の方へ走って行きました。
不思議に思った私は、前にいた姐さまに話しかけてみたところ、何やら兵士たちが誰かと戦っているようだと言っています。野生動物の群れかなぁと思っていた私ですが、次の瞬間、私の横の木々が突然、横一閃に切断されたのです。木々はそのまま音を立てて前に倒れました。何が起こったのかと、私はとても疑問に思いましたが、前から更に激しい悲鳴や叫び声が聞こえて来ました。前の姐さまは何を見たのか、小声で後ろの私たちに【動くな】と言って、私たちを庇うように背中に隠してくれました。その言葉通り、私はその場でじっとしました。
しばらくして、前の方から声が聞こえました。
【皆さん!もう大丈夫です!それぞれ縄を外して下さい!】
それは私が聞いた事がない女の声でした。半信半疑だった私たちですが、前からエアル姐さまがやってきて先程の言葉を信用していいと言ってくれました。エアル姐さまが私たちの縄を解いてくれて私たちは自由となり、助かりました。ですが既に全員が疲労困憊で限界寸前です。とても村に帰れるような状態ではありませんでした。結局はここで死ぬのかと思っていた私たちですが、数十分後、再びとある方々がやってきました。その方々は全員が女性で、どこから現れたのかも分かりませんでしたが、私たちを助けてくれるとのことです。見知らぬ女性たちの中に、唯一私たちの知っているルナー姐さまが居た為、私たちはその方々の言葉を信じました。
その中の1人、セイナ様という方の魔法によって村に帰った私たちは再びその地獄を目の当たりにしました。そこには何年も過ごした思い出の家は既に焼け落ち、友達や姐さまたちの死体が散乱していました。私たちは改めてその現状を見て、再び泣き崩れました。
怒りと悲しみに暮れている私たちにルナー姐さまが話し始めました。
【皆んな、協力して欲しい。ホラン姐さまや他のみんなの為にも。】
その時のルナー姐さまの顔は決意に満ちていました。普段はオドオドとしているルナー姐さまのそんな顔を私は初めて見たんです。そして私を含めた生き残った村の女たちはルナー姐さまの言う通り、彼女たちに協力する事を決意したんです。
〜数ヶ月後〜
「ただいまです!」
「おかえり、レミ。どうだった?」
「勿論、完璧です!ニューズ総司令閣下のご命令通り、半分は生かして逃しました!」
「あはは…その呼び方、ニューズちゃんに怒られるわよ?でも、無事に帰って来てくれて嬉しいわ。」
「はい!シュミ姐さまも元気そうで何よりです!」
私は任務から帰り、シュミ姐さまに出迎えられていました。
『魔女』の皆さんの仲間になると決めたあの日、私たちは『大魔女』セイナ様から力を与えられました。とある薬を飲まされ、急に眠くなって意識を失ったと思ったら目覚めた時には皆それぞれがとんでもない力を手に入れていたのです。おそらくあの薬に特殊な力があったのだと思います、詳しくは知りませんが。
因みに私の能力は【不可侵空間の操縦】とでも言っておきましょうか。数cm〜数mほどの大きさの固定した空間(透明なボックスの様なモノ)を自由自在に操ります。この空間は私以外には誰にも干渉されない不可侵空間としてあらゆる方向に移動させる事が出来ます。速度はせいぜい100km/h程度ですが、私の空間はあらゆる力の干渉を無視して動き続けます(壁などに当たっても一切減速しない)から、この空間を街で適当に振り回すだけで、通った建物にはその形の穴が空き、触れた数百人規模の人間が馬車に轢かれたかのように死にます。
それにこの能力は意外にも汎用性が高くて、攻撃や防御だけでなく私の移動用の乗り物にもなります。私の周囲をこれで囲って空を飛ばせれば、お手軽な移動手段の完成です。空を飛ぶ事から、私はこれを[飛行機]と呼んでいます。
今日はそんな[飛行機]で数十km離れた街まで行っていた私は無事に【任務】を終えて帰ってきたと言うわけです。【任務】とは勿論、【街を壊す事】です。今日は人口が千人以下の小さな街だったので、すぐに終わりました。
因みに私を出迎えてくれたシュミ姐さまは私の5つ上で、私が村に来た時から面倒を見てくれている恩人です。
「……きゃっ!足がもつれて!」
シュミ姐さまは突然足を挫いたフリをして私に抱きついてきました。そしてわざとらしく私の小さい胸を揉みしだきます。
「大丈夫ですか?姐さま?」
「…あぁ…やっぱりレミの小さい胸が1番よね…最っ高!」
昔からですがシュミ姐さまは胸の小さな子の胸を揉むのが好きだそうです。ですが一定の羞恥心は持っているようで、申し訳程度のラッキースケベっぽい演技はするようです。皆んなからはバレバレですが。
まぁ私としても私の胸なんかで姐さまに喜んでもらえるので、寧ろ嬉しいのですが。
「満足されましたか、姐さま?」
「えぇ、大満足…って、これは事故よ事故!ワザとじゃないからね!…だから…嫌いにならないでね…レミ…」
「ええ、大丈夫ですよ姐さま!私は姐さまの事が大好きですから!嫌いになんてなりません!」
「うぅ…レミ…やっぱり小さな胸の子はその分、心の器が大きいわね…大好き…」
シュミ姐さまが涙ながらにボソボソと何か言ってますが聞かなかった事にしましょう。これも出来る後輩の務めですから。
「ではそろそろ総司令閣下の元へ行きましょう!」
「コホン…そうね、行きましょうか。」
「はいです。」
そうして私はシュミ姐さまと村の中に入って行きました。
村の様相はかなり変わりました。元々あった建物はほとんどが焼かれてしまいましたので、新しい建物を建てたんです。ですが私たちは今までのように無力な女の子ではありません。全員が一騎当千の力を持った『魔女』なのです。建築などお手のものです。手始めに近くの大きな街を襲撃し、そこに住む人間の大半を皆殺しにしました。その中で建築の技術を持った人間だけを生かして村に連れて行き、その人間から知識と技術を抜き取り、木造だけでなくレンガも使った様々な建物を造ったのです。他にも料理が得意な人間や、戦争に詳しい人間などからその知識だけを抜き取りました。その人たちがその後どうなったのかは聞かない方がいいでしょう。
さて、今やその辺の街に匹敵するほどに発展しつつあるこの村の中央にある建物、その中には私たちに指示を出す総司令閣下がおられます。
私とシュミ姐さまはその扉を開けました。
「ただいま戻りましたです!ニューズ総司令閣下!」
そこにいたのは、机の上に地図を広げてその上で駒を弄っているニューズ総司令閣下でした。
「レミちゃんさん、おかえりなさい。総司令閣下はやめてくださいと何度も言ってますよね?」
ニューズは呆れた様子でコチラの方を見ました。
「はいです!総司令閣下!」
「はぁ…もういいです。それで、任務はどうでしたか?」
「はい!バッチリです!」
「そうですか、ご苦労様です。それにしても想定よりもかなり早く終わりましたね。」
「はい!私の[飛行機]は最強ですから!閣下もまた一緒に乗りましょうよ!どこまでもご案内しますよ!」
「そうですね、今は忙しいですから全てが終わった後にはご一緒したいモノです。ところで、遠距離移動手段を持つ子たちには、かなり遠くまで遠征に行ってもらっていますが、大変ではないですか?」
「そうですねー、やっぱり1人は寂しいです。私の[飛行機]は今では2人…いや、3人乗り出来ます。次からはもう1人一緒について来てくれると嬉しいです!」
その時、私の隣にいたシュミ姐さまが手を挙げました。
「なら次からは私もついて行きましょう。私もレミの事が心配だから。いいわよね、ニューズちゃん?」
「勿論です。では、シュミルンさんの仕事はリムナさんにお願いしておきますね。」
「シュミ姐さまと一緒!それはとっても嬉しいのです!次の遠征が楽しみです!」
「レミと一緒…レミの可愛いお胸を揉み放題…じゅるり…」
何やら少し貞操の危機を感じましたが、気にしなくてもいいでしょう。次の遠征が楽しみです。
そうして私たちは建物から出ました。
「シュミ姐さま、私お腹が空きました。今日のご飯は何ですか?」
「さぁ、私も知らないわ。今から一緒に行きましょうか。」
「はい!」
腹を空かせた私たちは食堂と呼ばれる建物に行く事にしました。
食堂と呼ばれる建物に到着した私たちですが、そこには既にいつものような活気がありませんでした。
「今日は空いてますね。」
「時間も少し遅いからね、いらっしゃるのは…」
そう言って私と姐さまの目線が捉えたのは、奥のテーブルで楽しげに騒いでいる3人組でした。
「はっはっは!!ソイツは災難だったねぇ!」
「全くですわ。まさかあんなにも大変だったなんて…」
「流石はメルク様でございます。」
そんな会話をしていた3人に私は駆け寄って行きました。
「アンリさん!メルクさん!ピーレさん!こんにちは!」
そう言って私が挨拶をしたコチラの3人こそ、この村の管理を担うアンリーザさんとララメルクさんとメイドのシピーレさんです。
「レミじゃないか!おかえりさねー!」
アンリーザさんは酔っているのか、私を見るや私を自分の胸に押し付けて抱きしめました。
「アンリさん…く、苦しいですぅ…」
アンリさんの豊満な胸に埋められて息が苦しいです。
「はっはっは!悪いねぇ、でもレミが可愛いのが悪いさね。」
そうしてようやく私は解放されました。
「アンリさんは相変わらずですわ。いつも手当たり次第ですものね。」
「アタシはどっちでもイケる口だからね。それに最近は男には困ってないから。」
大人なアンリさんは滅ぼす前の街で男漁りをしてるんだとか、とても参考になります。私はまだまだ子供ですが、いつかは大人なレディに…
「あ、そう言えばメルクさん、ユリカがまたお話ししたいって言ってましたよ。」
ユリカ姐さまは貴族令嬢であるララメルク様にとても憧れています。
「そうでしたの。それは光栄ですわね。」
「ユリカの気持ち悪い話し方、早く何とかさせてくださいね。」
「そうですわね、頑張りますわ。」
いつかは私も教わりたいモノです。
「2人とも今日はもうオフさね?一杯どうだい?」
アンリさんはそう言って私とシュミ姐さまにお酒を差し出してきました。
「私はまだ16ですから…お酒は遠慮しますです。」
「私も遠慮しますわ。」
「そうかい、残念だねぇ。」
そう言ってアンリさんはそのお酒を一気に飲み干されました。
私たちは3人と共に食事を済ませ、食堂を後にしました。
「アンリさん、メルクさん、ピーレさん、また!」
「失礼しますね。」
「気をつけるさねー…ひっく…」
「またいらしてくださいまし。」
「お待ちしております。」
そうして私たちは別れました。
別れた後、シュミ姐さまと談笑しながら村の中を歩いていたその時、とある方々の気配を感じました。
「この気配は…もしかして!」
その時、私たちの視線が捉えたのは他の子達とは比べ物にならないような禍々しいオーラを放つ5人でした。
それに気づいた私は、物怖じする事なく5人の元へ走って行きます。
「『大魔女』様ー!!ただいまですー!」
「レミちゃん!おかえりー!!」
私は大魔女様と久しぶりの再会を喜んで手を握り合いました。
そう、私の目の前に立つこの可愛らしいお方こそ、我々『魔女』のリーダーである『大魔女』パーナ様なのです。パーナ様は人に『魔女』の力を与える事ができるとんでもない力を持っているそうですが、私たちのような強力な魔法は使えません。なので、パーナ様には常に護衛(監視も含む)の方々が付いているというわけです。
「今回はどうだった?何か面白い事あった?」
「はい!今回は【劇】と言うものを鑑賞して来ました!」
「げき?何それ!?」
「劇とは、御伽噺のような話を人が演じる演目です。私が観たお話は100年前の始祖様のお話だったのですが、それはもう面白くて…」
大魔女様は訳あって外には出られません。なのでこうして私が思い出話をしているのです。
「うわぁ…いいなぁ…すごく楽しそう。私も行きたいなぁ…」
「ダメよ、パーナ。今は貴女を外に連れ出すわけにはいかないわ。」
その時、パーナ様の背後から歩いて来たのは護衛の1人であるセイナ様でした。セイナ様はまるで母親のようにパーナ様の頭を優しく撫でながらそう告げました。
「ぶぅ…セイナのケチ…」
パーナ様は頬を膨らませて文句を言いますが、厳しいセイナ様の事ですから、きっと結果は覆らないでしょう。
「申し訳ありません、カレスティア様。ですがもう少しの辛抱です。今しばらくお待ちください。」
そう言ってパーナ様の隣に控えるのは護衛のフィンセ姐さまです。フィンセ姐さまはセイナ様と反対側から屈みながらパーナ様に囁きます。
「そうそう、リーダーを守るのが私たちの役目。パーナ様はふんぞり返っていてくれればいいんですよ。」
「頷」
そして残りの護衛の2人、エアル姐さまとナワリちゃんも現れました。元から大魔女様の仲間であった2人に加えてこの2人が護衛に加わっている理由は至極簡単です。この2人が私たち村人の中でも特に高い『魔女』の才能を持っていたからです。そしてパーナ様を護衛するこの4人こそが、私たち『魔女』の中でも飛び抜けた最高戦力【四天王】(私が勝手に呼んでるだけ)なのです。
さてここで、最近私たちの中で流行っている【魔女番付】、について説明しましょう。魔女番付とは、私たち『魔女』の中でその才能と強さをランキング形式で順位付けたモノになります。単純に強い者から順位を付け、村の女の子86人全員に順位の数字が与えられたのです。それと、外で活動(侵略)を行っている私たちのような『魔女』には誰が考えたのか、二つ名というものがあるそうです。人によっては自分たちで考えているとか。
因みにこの私、『轢空の魔女』レミルートは魔女番付39位、大体半分くらいです。
私の隣にいる『真恤の魔女』シュミ姐さまは62位です。まぁ、下位と言っても数万人規模の街を壊滅させるだけの力は有していますが。
因みに総司令閣下である『閃絶の魔女』ニューズ様は25位、『熱獄の魔女』アンリーザ様は14位、『永幽の魔女』シピーレさんは73位です。
なので番付が一桁の子たちなんて、まぁとんでもない能力ばかりです。一人一国どころか、数国すら転覆出来るのでは無いかと思わせるほどです。そんな一桁の中でも最上位に位置するこの4人は別格です。
魔女番付4位『雷靂の魔女』エアル姐さま。空間の電場と磁場を操ります。その気になれば天候すら操作できるのだとか。戦闘力だけなら『魔女』の中でも最強らしく、セイナ様やフィンセ姐さまでも敵わないとか。エアル姐さまは皆んなの頼れる姉貴分で、皆んなから慕われています。私も大好きです。
魔女番付3位『星繆の魔女』ナワリちゃん。周囲の時間を止めることが出来ます。他の【四天王】の3人以外の魔力では、ナワリちゃんの力に抗えません。ナワリちゃんは前に自分のせいでホラン母さまを傷付けてしまったトラウマ{『ep39 選別』 を参照}からまともに話す事が出来なくなってしまいました。今ではジェスチャーと一文字だけで話します。
魔女番付2位『叛劉の魔女』フィンセ姐さま。色んなものを反射したり、肉体の時間を巻き戻して治療なんかも出来るので、皆んなの怪我を治してもらったりしています。さむらい?と言う特殊な役職に就いているそうで、何があってもパーナ様の側を片時も離れません。噂ではトイレまで一緒なんだとか…なので怪我をしたらパーナ様のところへ行けばフィンセ姐さまに治してもらえるというわけです。
そして私たちの頂点に立つのが、
魔女番付1位『天撲の魔女』セイナ様。圧倒的な魔力量を持ち、超広範囲の索敵能力と、数kmレベルの瞬間移動。魔女の私から見ても本物のバケモノです。一度、手合わせしましたが余裕で負けました。手も足も出ませんでした。
セイナ様だけでなく他の3人にまでそう言われたらパーナ様も納得するしかないようです。
「ぶぅ…分かったよぉ…」
4人に止められたパーナ様は不満そうな顔でしたが、首を縦に振りました。
ですがこれも仕方がない事です。護衛の方々が仰るように、魔女にとって、パーナ様こそが最も大切なお方なのですから。
魔女の上下関係システムを分かりやすく例えると『蟻』さんのようになっています。『大魔女』であるパーナ様を頂点として、彼女を護衛する『魔女』、全体に指示を出す『魔女』、他国を攻め滅ぼす『魔女』、拠点を発展させる『魔女』といったようになっています。パーナ様を護衛する事は魔女たちの中でも最も大切な任務である為、一騎当千のこの4人がその任務に当てられているというわけです。それでもなお、慎重な4人はパーナ様を外へ連れ出す事を拒んでいるのです。おそらくこの世界でも5本の指に入るこの4人を抜いてパーナ様を傷付けられる人間がいるとは考えられませんが、それ程にパーナ様の存在は我々にとって大切だと言うことです。当の本人であるパーナ様は重すぎる重圧に辟易しているようですが。
その時、空から1人の方が降りてきました。
「レミ、帰ってたの、かしら。」
それは私と同じく遠征に出ていたユリカ姐さまです。
「おかえり、ユリカ。」
「ただいま、かしら、シュミルン。」
因みにユリカ姐さまとシュミ姐さまは同い年です。ですがシュミ姐さまは胸の大きいユリカ姐さまには何も感じないのか、私と違って普通の友達といった感じでしょうか。
ユリカ姐さまは全身に空気を纏ってゆっくりと優雅に降り立ちました。
「『大魔女』様や護衛の方々もお元気そうで、かしら。」
「おつかれー、ユリカさん。」
「首尾は?」
「完璧ですよ、かしら、セイナ様。」
「ユリカ姐、空から来る時はスカートは気を付けてください。カレスティア様の目に毒です。」
「分かったわ、かしら、フィンセ。」
「はっはっは!大丈夫だよ、フィンセ。ユリカのパンツは昔から無地の白一択だから。子供が見ても安心安全さ。」
「…エアル姐さま…余計な事言わないでください、かしら。…ところで皆さん、帰る途中に面白いものを見た、かしら。」
「何かあったの?」
「山の北の方に数千単位の軍が来てました、かしら。おそらくここに向かっているのかと思います、かしら。」
ユリカ姐さま曰く、ここに攻め入ろうとしている軍隊がいるそうです。
「数千か…ユリカ姐、帰って来て早々で申し訳ないですが、行ってくれますか?」
「了解、かしら、フィンセ。サクッと行ってきます、かしら。」
「はいはーい!私もユリカ姐さまの戦いを見学したいです!」
私は咄嗟に手を挙げました。だってユリカ姐さまの魔法はすごく派手で面白いんですから。
「よし、それなら私と競争、かしら。どっちが速いか勝負ね、かしら。」
そう言ってユリカ姐さまは腕をパタパタと振ってゆっくりと宙へ浮き始めました。
「臨むところです!」
それを見て私も[飛行機]に乗り込み、宙へ浮きます。
「気を付けるのよー!」
「ありがとうございます!シュミ姐さまぁ!」
私は下にいるシュミ姐さまに手を振って発進の準備をしました。
「それじゃあ行くよ、かしら、レミ…………3…2…1…ゴー!!」
その掛け声と共に私とユリカ姐さまは鳥のような速さ(時速約100キロ)で北に飛び立ちました。
レミルートが主人公の話はこれで終わりです。次回からは、『魔女』によって甚大な被害を受けている周辺国家の話です。
キャラ紹介
『轢空の魔女』レミルート・リータリンダ 魔女番付39位
【不可侵空間を自由に操れる。】
裏表のない純粋な性格でいつもニコニコしている。大人っぽい口調を心がけているが、背と胸の小ささは変わらず、年上の村人たちからは妹の様に溺愛されている。
『真恤の魔女』シュミルン・14L82 魔女番付62位
【自身の魔力を心臓に寄生させ、特殊な力を発揮する。】
小さい胸を揉む感触が大好きな揉みフェチ。揉むだけでなく眺めるするのも大好きで、レミの胸だけでご飯3杯はいける。逆に大きい胸の女には毛ほども興奮しない。男の方がマシ。自分の胸は中途半端に大きいので、役に立たない。




