竜巻 爆撃 老化 衝撃 引斥
村の女たちが魔女となった前話から既に1ヶ月ほど経過しています。
「はい、毎度あり!いつもありがとね!」
路面に出店されている店の店主はいつも訪れる常連客を見送る。
「ふぅ…そろそろ昼だし、俺も休憩を…っと……へい、いらっしゃい!」
店に現れたのは白いローブを身に纏った女だった。
「何にしやすか?」
「…そうね…オススメとかある?、かしら。」
「へい、それならコレを…」
商品を受け取った女は不思議そうにそれを眺めながらも恐る恐る口にする。
「うぅーーんん!!何これ!美味しい!!かしら!」
女はあまりの美味しさに舌鼓を打つ。
「そうかい!ありがとうね、姐ちゃん。」
勢いよく全てを食べ切ってしまった女はお腹をさする。
「…ふぅ…おじさん、美味しかった、かしら。ありがとうね、かしら。」
そう言って女は店主に金を渡した。
「おう、姐ちゃんも良い食べっぷりだったぜ。」
「それじゃあ…また、かしら。」
去り行く女の背を見て、店主は不思議な感覚を覚える。
「あの姐ちゃん、なーんか分かんねえけど変な感じだったんだよなぁ…一体何者なんだ…」
「ふぅ…美味しかった、かしら。」
女は余韻に浸りながら街を散歩していた。
「ここは活気があっていい場所だなぁ、かしら。々
その時、笑顔だった女の表情が一変する。
「…でも残念、かしら。こんなに素敵な場所を壊さなくちゃいけないなんて、かしら。」
ブウウゥゥン!!!
女が片手を軽く地面に向けて振ると、女の足元に強烈な大気が押し寄せ、女の身体を宙へと運んだ。
「シュタッ!…いい眺め、かしら。」
空を飛んだ女は華麗な動きでこの街の時計台(地上数十メートル)の頂上に降り立った。
「さて、始めましょう、かしら。」
女はそう言って目を瞑り、空を見上げる。そして両手を天に掲げ全身で風を浴びる。
そして…
「ふんっ!」
次の瞬間、女は天に掲げた両手を横に広げ、その場で回転し始めたのだ。
ヒュゴォォォォォォォ!!!
女の回転に伴って、女の周囲の空間が歪んでいく。そしてそれは徐々に強風となり、女の周りを回るように吹き始めた。
それは数十秒後には建物すらも揺らさんとする暴風へと変化し、女の周りで暴れ出した。
ゴォォォォォォォ!!!!!!!!!!
竜巻となったその暴風は街を覆い、そこにある全てを飲み込んでいく。
キャァアア!! パリンッッ!!!
助けてぇ!!!
ぐぁぁあああ!!
ドゴゴォォォォォ!!
パリンッッ!!!!!
ドォォォォォォンン!!! ぎぃやぁああ!!
街中のありとあらゆるところで悲鳴や建物が破壊される音が鳴り響く。全てを吹き飛ばしながら飲み込んでいく、誰にも抗えぬ自然災害の中でただ1人、その中心に立つ女だけはその絶叫に心地良さを感じていた。
「あぁ…素晴らしい、かしら!これが『大魔女』様より賜った私の力、かしら。美しい!何と美しい、かしら!これを見て笑わない者がいる、かしら!!」
狂気的に笑いながら女は更に両手を振り回して竜巻の規模を大きくしていく。やがてその竜巻は街を丸ごと飲み込み、その街の大半を吹き飛ばしてしまったのだ。
「ふぅ…はい、これでお終い、かしら。」
唯一無事だった女の立つ時計台から見下ろした街の光景はまさに地獄そのものだった。瓦礫や死体が至る所に散乱し、元あった建物は既に一つも存在せず、大半は風に吹き飛ばされてしまった。
「さて、私も帰ろうかな、かしら。」
そう言って女は既に興味もなさそうに両手を鳥の様に振って、空を飛んだ。
超高速で空を駆け抜ける中、女は1人ごちる。
「任務完了、かしら。早速、セイナ様とニューズ様に報告しなくちゃ、かしら。……全ては『大魔女』の名の下に、かしら。」
〜別の場所〜
「はぁ…疲れた…早く帰って眠りたい…」
「しっかりして下さい。あまりワガママ言うと上の方々に言いつけますよ。」
「うへー…それはいやー…特にセイナ様、怒るとすごく怖いから…」
「何言ってるんですか!あんなに可愛い子が怖いなんて!あの大人っぽくも可愛らしいお顔につぶらな瞳、小さなおててに柔らかなお肌、食べちゃいたいくらいプニプニなほっぺ…まさにこの世に生まれ落ちた天使のようで…」
その女は突然顔を赤らめ、狂気的な笑みを浮かべながらのたうち回る。
「へー…そうなんだー…よかったねー…でもセイナ様はパーナ様といい感じに見えたけどー?」
「パーナ様ぁ!子供みたいに小さな身体にあの笑顔、綺麗でいつでもいい香りのする髪、艶やかでフニフニな唇、控えめなお胸に柔らかいお腹、あのお腹を一度でいいから舐めさせてもらいたく…」
再び狂気的な笑みを浮かべ、妄想に耽る女の手はイケナイところへ伸びようとしていた。
「もう分かったよ…私には全く理解出来ない…」
「もちろん、貴女の事も大好きですよ!今だって、貴女を食べてしまいたいという気持ちを必死に抑え込んでいるのですから!」
「う…うん…がんばれー…」
2人の女は平野にある大きな岩に腰掛けながら談笑していた。背の低い子供っぽい女の子は眠そうに瞼を擦りながらウトウトしており、もう1人の大人びた女は頬を赤らめ、大好きな女の子たちとの妄想に励んでいた。背の高い女は白、背の低い女は黒のローブを着ている。
そしてその2人の目線の先には中規模の都市。人口5万人ほどだろうか、外壁は高く囲まれ、敵の侵入を阻んでいる。そんな都市を数km離れた平原から見下ろす2人の女は都市の様子を伺っていた。
「…そろそろいいんじゃない?」
「…コホン…そうですね…門が閉まってからもう10分経ちましたし、これで逃げ道は塞げましたね。では始めましょうか。」
その時、白いローブの女が近くにあった大岩に右手を向けると、数トンはあろうかといった大岩が宙に浮く。そして女がその右手をパチッと鳴らすと、大岩はその場で粉々に砕け散った。
「よしよし…」
そして黒いローブの女は地面に落ちた数cmの小石を拾い集めていく。それを10個ほど手に取り、右手で握り込む。
「うーん…この辺かな…」
女は都市の方へ狙いを定める。
そしてボールを投げる様なフォームでその小石たちを軽く投擲した。
「うんしょ…」
しかし軽く投げられ、数メートルで地面に落ちると思われたその小石たちはありえない軌道を描き、空中で急激に加速していく。
ヒュゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!……ドガァァァァァァァァンンン!!!!!
数秒後、数km離れた先にある都市にその小石たちが直撃した。その瞬間、都市の周辺に轟音が鳴り響く。しかも小石が着弾した外壁には巨大な穴が複数空いていた。それでも小石の威力は収まらず、壁を突き抜け、中にある家屋までも貫き、反対側の壁や地面まで粉砕した。その威力はまるで破壊光線であり、たった10個程度の小石で実に都市の3%近くの家屋が破壊されたのだ。
本来、数cm程度の小石などどれだけの沢山投げ付けようが壁に当たって落ちるだけ。しかし速さとはエネルギーそのもの、質量が軽くても蒸気を逸した速さで突撃すればその破壊力は数百倍にも及ぶのだ。
「どう?こんな感じでいい?」
「はい。ですがまだまだ時間がかかりそうですね。中の住民に逃げられる前に早く終わらせましょう。」
「はーい。」
女は再び落ちている小石を手に取り、投擲を始めた。
数分後、黒いローブの女は小石を投擲する手を止めた。
「こんなもんかなぁ?」
女が見つめる先にはかつて都市だった場所が残っていた。城壁の大半は崩壊し、中の建物もほとんどが崩れ落ち、原型を留めていない。
「はい、十分でしょう。」
「疲れたぁ…姐さーん…おんぶしてぇ…」
「そうですね、貴女は頑張ってくれましたし、仕方ありませんね。うんうん、これは仕方のない事です。私は決してやましい気持ちがあるわけではないですからね。」
「うう…怖い…犯される……でも眠いからいいや…おやすみー…」
「もう寝てしまいましたか…ですがこれで匂いを嗅ぎ放題です。バレないように……クンカクンカ…」
そうして立ち去る2人の背後には、大量の小石による砲撃によって破壊され尽くした都市があった。
「ぷはぁ…あぁ…眠った幼女の匂い、幸せ………これも全ては『大魔女』様の名の下に…ですかね。」
眠る女を背負いながら歩く女はそう呟いた。
〜別の場所〜
とある街では2人の男が路地で話をしていた。
「なぁ、知ってるか?最近の噂。」
「なんだ?」
「それがよ、王国周辺の街や村が何者かに襲われてるらしいんだ。」
「野盗の類いか?そんなの珍しくも無いだろう。」
「違えよ。野盗なんてちゃちな連中じゃねぇ。何故なら襲われた街や村は文字通り壊滅してるんだからな。住んでる住民も9割以上は死んでるらしい。」
そんな馬鹿げた話を聞いた男はどうせ誇張された噂だろうと真に受けない。
「うはっ、それは怖いな。一体誰の仕業なんだ?」
「それがよ、生き残りの噂じゃ『魔じ……ょ………あ…?」
その時、男の身体に急激な違和感が訪れる。
「な、何だ……こ……れ…」
もう1人の男も同様だ。2人を襲った違和感、それは【喉の渇き】だ。急激に訪れたその【渇き】は埃っぽいだとか、黄砂だとかそんなレベルではなく、声すらも出なくなるようなモノだった。
「…み…ず………ぁ………」
「し………ぬ………」
やがて2人の男はその場に倒れてしまった。そしてそのまますぐに絶命した。
「……ぁぁああ!!」
「うぅっ!…」
その時、2人の男同様に街の至る所で悲鳴が響き渡った。しかし2人同様、すぐにその悲鳴は収まり、街に静寂が訪れる。
………………
死亡した人間たちの遺体、それは奇妙なことに全て同じ状態で残っていた。その状態とは、まるで全員が老人にでもなったかのように白髪で皺くちゃになっている様子だった。
「……」
そんな死の街の中、街の中心の大通りを歩く女がただ1人。黒いローブを着て、フードで顔を隠したその異様な雰囲気の女はため息を吐きながら何かを呟いている。
「…ああ…怖いなぁ…どうせ失敗するんだろうなぁ…私は昔から姐さまたちに言われた事すらまともに出来ない、役立たずなドブネズミだし…あっ、でもネズミは頭もいいし動きも速いから私より凄いか…」
「ぐぉぉっ!!」
歩く女からおよそ数百m先で男の断末魔が聞こえる。いや、それどころか女が聞こえないほど離れた距離で何人もの人間の最期の断末魔がこだましていた。
「どうした!?…かはっ……」
「アナタぁ!!……ぐっ!!」
「何事だ!!皆んな!逃げ……」
女が歩くだけでその周辺に存在する命が冷酷に刈り取られていく。それはまさしく死神の行進だった。
しかしその死神はと言うと…
「……やっぱり無理…私みたいな無能にはこんな任務無理に決まってるよ…だって私って、1人じゃ何も出来ないゾウリムシだし…あっ、でもゾウリムシは切られても死なないから私より凄いか…」
当の死神本人は相変わらず卑屈な事ばかり言っている。しかしそれでも与えられた任務を果たすべく、数時間かけて街中を練り歩いた。
数時間後、女はとある場所で立ち止まる。
「…これぐらいでいいかなぁ?いいわけないよね、私の考えなんてその辺にいるハエでも思いつくぐらいの浅い考えだし…あっ、でもハエはすごく速くて目が沢山あるから私より凄いか…」
女は来た道を引き返す。帰り際、歩く女の近くには大量の死体が打ち捨てられていた。それらは皆決まって喉を抑え、何かを渇望するように絶命していた。そしてその遺体の全てが老人の様に年老いているように見える。
しかし女はそんな遺体の事など眼中にない。ただただ不安そうにフラフラと歩く。
「…ああ、また遅いって姐さまたちに怒られる…私なんて小さくて馬鹿で無能でポンコツで臆病で皆んなから嫌われてて………でもこんな私も力をもらったからね。どうせ失敗するけど、やれるだけやらなくちゃ。…どうせ失敗するけど。………全ては『大魔女』様の名の下に…ね。」
〜別の場所〜
男は追い詰められていた。先ほどまで50人以上の人間がいたこの屋敷で、生きている人間はその男ただ1人。最後の1人、この屋敷の当主である男は目の前に迫る、1人の女に恐怖していた。
「や…やめろ!!来るなぁ!!」
「なんで?なんで来ちゃいけないの?ねぇ、なんで?」
血塗れの白いローブを着た女は不気味なほど無邪気な笑顔でそう問いかけながら男の元にゆっくりと歩いていく。
「ひぃい!!」
男はその女の笑みに腰を抜かす。
「わ、私を誰だと心得る!!私は伝統あるデールズ侯爵家の当主だぞ!!こ、こんな事が許されると思っているのか!!」
デールズ侯爵は最期の意地か、恐怖を押し殺し、そう宣言した。しかし目の前の女はそんな事など意にも介さない。
「なんで?なんで許されないの?ねぇ、なんで?」
「だ、黙れぇ!!この不届者が!!」
「なんで?なんで黙らなきゃいけないの?なんで私が不届者なの?ねぇ、なんで?教えて!」
「ひぃい!!」
そう言って女は地面に尻餅をついたデールズ侯爵と目線を合わせるようにしゃがんだ。
女と完全に目が合ったデールズ侯爵は更に恐怖を駆り立てられる。
「く、くたばれぇ!!」
男が懐から銃を取り出して女に発砲した。
ドォォォォン!!
しかし無情にもその鉛玉が女に当たる事は無かった。それどころか女は耳を押さえながら目を輝かせる。
「え!すごーい!耳がキィーンてする!おもしろーい!なんで!?ねぇ、なんで?」
「は!」
女はいつの間にかデールズ侯爵の背後に立っていた。
謎の力で銃を避けられた挙句、背後を取られたデールズ侯爵はその恐怖が頂点に達し、発狂する。
「ぅわぁああ!!」
そして背後の女に銃を向ける。その時、デールズ侯爵が見たのは女の顔から笑顔が消えた瞬間だった。
「もう…何も教えてくれないじゃん…私は色々知りたいだけなのに…もういいや、死んじゃって。」
その時、女は右拳を握り込んだ。
パァァァァァァァァァン!!!!
その瞬間、空気を破裂させるような甲高い音(鞭のような音)が炸裂する。
「……あ…やり過ぎた…あははは…」
音すら置き去りにするほどの速さで放たれた女の拳は、その衝撃波で周囲の物を破壊した。
………………
そう言って頭を掻く女の目の前には腰から上が無くなったデールズ侯爵の下半身だけが残っていた。それどころか、女の放った拳の方向の建物が根こそぎ消滅し、巨大なクレーターの様になっている。
「なんでこうなっちゃうのかなぁ…まだまだ私が未熟だからかなぁ…そうなのかなぁ?」
シュパァァァァァァァァァァン!!
今度はデールズ侯爵の下半身を下段蹴りで消滅させた。その蹴りの勢いでもう一つ、建物と地面に何かで抉り取ったような跡が残る。
「まぁいっか。これで母さまを痛めつけたデールズ侯爵を掃除完了!後はカキュウちゃんたち(デールズ侯爵に買われた元村の奴隷)を探して連れ帰るだけ。早く助けに行こう!」
パァァァァァン!!
女が能力を使って走り出すと、その音速すら超えた超スピードに建物が破壊されていく。
(皆んな羨ましがってるだろうなぁ…デールズ侯爵はナワリちゃんとホラン母さまの仇だもんね。ナワリちゃんはまだ死んで無いけど。本当は皆んなこの仕事をやりたかっただろうけど、公正なじゃんけんの結果だから仕方ないよね。……それもこれも、『大魔女』、パーナ様のおかげ…全ては『大魔女』様の名の下に。)
〜別の場所〜
「貴様らは既に包囲されている!!大人しく投降せよ!!」
たった2人の女を数千人の兵士が取り囲む。白と黒のローブを着た、同じ顔の女。しかしこんな状況でも2人に動揺の色は全く見えない。
「嵌められちゃったね、エナ。」
「そうですね、エマ。」
「貴様ら!我らの国で好き勝手やってくれたな!!これ以上の狼藉は許さん!!」
兵士たちが掲げる旗は王国から少し離れた場所にある、リンクナハト公国のモノだった。公国は暴れ回る『魔女』による被害を多大に受け、実に国土の半分を『魔女』に破壊された。その復讐として、2人の『魔女』を誘い出し、討ち取る作戦を決行したのだ。
「我々は偉大なる公王陛下から勅命を受けた正規軍3000である!!貴様らに最早勝ち目はない!!大人しく投降するのであれば、命だけは保証しよう!!」
そう叫ぶ男だったが、実は命を助ける気など毛頭ない。
(『魔女』はコイツらだけじゃない。捕獲して拷問し、ヤツらの拠点を暴く。その後にコイツらは人質にしてやる。そうすれば敵も動揺し、一石二鳥だ。)
「この人数、いかに貴様らが強くとも多勢に無勢であろう!!分かったならゆっくりとコッチに来たまえ!」
(諦めて早く来い、クズが。この人数差、絶対に貴様らに勝ち目はないぞ。)
「どうしますか、エマ。投降せよですって。」
「当然、するわけないでしょエナ。そんな事したらセイナ様に殺される。」
「…ひぃい…ご主人様…怖いでございます…」
「その為にもさっさと終わらせるよ。」
「は、はい。行きますわよ、エマ。」
その瞬間、2人は横に並んでそれぞれ左手と右手を宙に向けて翳した。すると、それぞれの目の前に小さな球状の物体が出現した。
ブウゥゥゥゥウン……
(何だ…白と黒の玉?)
2人の目の前には白と黒の魔力の塊(玉)が現れる。2人か魔力を込めると、それらは次第に大きくなっていく。その大きさが直径1メートル程に達した時、2人はそれらを左右に移動させた。
(2人を挟むように2つの玉を…何だ!攻撃か!!)
「全兵!!一斉攻撃だ!!やれぇ!!」
男の号令で3000人の兵士たちが一気に動き出した。
「行くよ、エナ。」
「行きますよ、エマ。」
その瞬間、2人の魔力が注がれた二つの玉が激しく反応する。
エマの放った黒い玉は強烈な引力を放ち、周囲の全てを吸い込み始めた。
「ぐぉっ!!」
「がぁああ!!」
エマに襲い掛かろうとした数十人の兵士たちは凄まじい引力の黒い玉に吸い込まれる。吸い込まれた者たちは強烈な引力で押し潰され、黒い玉の一部になっていく。
エナの放った白い玉は強烈な斥力を放ち、周囲の全てを吹き飛ばし始めた。
「ぎぃゃああ!!」
「ぐはっ!」
エナに襲い掛かろうとした数十人の兵士たちは凄まじい斥力の白い玉から吹き飛ばされる。吹き飛ばされた兵士たちは弾丸の如き速さで味方の兵士たちに向かい、数十人を巻き込みながら死んでいく。
「まだまだ行くよ、エナ。」
「かしこまりました、エマ。」
そう言って2人が手を握ると、2つの死の玉は2人の動きに合わせて2人の周りを公転し始めた。それにより、2人を囲っていた兵士たちの元へ2つの玉が向かっていく。
「く、来るなぁ!!」
「逃げろぉ!!」
「ば、バケモノ!!」
あまりの惨劇に兵士たちは逃げ出そうとするが、黒い玉の引力に引きずられ、そのまま吸い込まれていく。白い玉が通った跡には草どころか表面の土すら吹き飛ばされ、大地が露出する。
「こ、これが…『魔女』の力……我々などでは到底……ぐぅあああ!!!」
後方にいた指揮官らしき男もそのまま黒い玉に吸い込まれてしまった。
「終わったね、エナ。」
「そうですね、エマ。」
2人が見下ろす先には文字通り何もなかった。2人を囲んでいた数千人の兵士のうち、半数は黒い玉に吸い込まれて押し潰され、半数は白い玉に吹き飛ばされて遥か遠くに行ってしまった。
「奥の手…使うまでもなかったね。」
「そうですね、相手が弱すぎました。」
そう言って2人は何もなくなった平野を並んで歩き出した。
「全ては『大魔女』様の名の下に。」
「でございます。」
キャラ紹介 (魔女番付に関しては次話で登場します。)
『龍嵐の魔女』ユリカ・ラデン=マーバス 魔女番付11位
【空間を面として掴み、空気の流れを動かす事によって竜巻を作り出せる。】
ララメルクのお嬢様言葉に憧れ、語尾に無理やり[かしら]を付けてお嬢様っぽく話している。
『寧戰の魔女』ポン・ミルメル 魔女番付29位
【魔力を付与した物体の速度を数百倍にも加速させられる。】
常に眠気に襲われており、放っておけば一日中寝ている。好きな事は寝る事、嫌いな事は起きる事。相方のせいで何度か貞操の危機に陥るが(上は既にアウト)、奇跡的に下はまだ生娘。しかし正直、眠すぎてそんな事どうでもいい。
『揶緋の魔女』フーリン(副名キルメッシュ) 魔女番付68位
【指定した範囲(約1メートル四方)の中にある物を自由に出来る。形を変えたり、分解したり等。】
表面的にはしっかり者だが、実は同性愛者で特に幼女を好み、あらゆる幼女に性的目線を向ける異常者。ミルメルとは互いの求めるモノ(ミルメルは常に眠れる場所、フーリンは幼女と一緒にいる事)が合致しており、常に行動を共にしている。
『老牢の魔女』サムピア・ABD・アルフィ 魔女番付6位
【自身から半径数100mの範囲に貼られた魔力の中に入った人間の肉体の時間を超加速させ、朽ち果てさせる。】
超ネガティブ思考の持ち主。いつも自分を動物に喩えては、自分の方が下である事を痛感し、毎回落ち込んでいる。
『砲燼の魔女』チズリーナ・カルネシア・シスクロイン・リムドバータ・アルカナイヤ・パルメスター・カナデ・コロドリー 魔女番付21位
【超速度で動く事ができ、拳を思い切り振るだけでソニックウェーブが発生し、周囲のモノを破壊する。】
無邪気な性格で好奇心が旺盛。色々なことを知りたがり、初対面の人には[なんで?]と質問責めしてしまう事もしばしば。村に初めて連れて来られた際、名前が無かったので皆んなで名前を付けようとした時に出た案の全てを名前に組み込むと本人が言い出したため、仕方なくこの名前になった。1番お気に入りだったチズリーナが1番最初。
『黒常の魔女』エマ・エルマ 魔女番付22位
【生み出した黒い玉に魔力を込めると、強烈な引力を発生させる。】
実はエナの事が大大大好きで一卵性の双子ながら結婚したいとまで思い、性的な目すら向けている。たまにエナの下着を間違えたフリをして穿いている。
『白無の魔女』エナ・エイナ 魔女番付23位
【生み出した白い玉に魔力を込めると、強烈な斥力を発生させる。】
エマの事はただの仲良し姉妹だと思っている。実は大人っぽい色気を持つアンリーザの事が少しだけ気になっている。
因みにローブの色は『魔女』の魔法の種類を表しています。【空間】を操る『白の魔女』と【時間】を操る『黒の魔女』という意味です。【時間】には【速度】という概念も含まれます。
キャラ情報は大して重要な情報ではないのでサラッと流してください。




