王国
私の名前はタグスンテ・ボルド・チャーマルベイズ。アルベルガル王国のNo.2、『宰相』の地位に座る者だ。
我がアルベルガル王国は大陸の西から中央部のおよそ半分を占める超大国であり、その周辺には大小様々な属国(王国に従属する国)が存在している。世界最大の国土と人口を誇り、武力、経済力においても他国とは比較にならない。
そんな大陸の覇者である我が国に未曾有の危機が迫っている。それは『魔女』の襲来である。『魔女』とは簡単に言えば凄まじい力を持った女の事であり、1人で一国を滅ぼせるとまで言われる伝説の存在だ。100年前には数千人規模で存在していたと言われている『魔女』だが、その始祖である『黒の始祖』が『白の始祖』との大戦争で敗北した影響で『魔女』の迫害が始まり、今では大陸中を探しても十数人程度が隠れて暮らす程度に減ったはずだった。だがしかし、少し前から『天撲』を始めとした凶悪な『魔女』が表舞台に現れ、世界を荒らし始めた。それも少し落ち着いたかと思ったのが束の間、今度は未知の『魔女』どもが突然に世界中の村や街を襲撃し始めたのだ。それによって襲われた町や都市は軒並み落とされてしまった。因みに『魔女』による襲撃とは[その町のトップが殺される][軍が壊滅する]と言った常識的な被害ではなく、文字通り[街ごと消滅する]レベルの災害なのだ。落とされた都市の様相は筆舌に尽くし難いほどに無惨なものだった。
「クソッ!こんなもの…どこから手を付ければ良いのか…」
私はその行き詰まりから机を思い切り叩く。それにより机に広げられた大きな地図に置かれた駒たちが倒れた。
現在我々が受けている『魔女』による被害は甚大、多くの王国の領土が文字通り消滅している。そして私がここまで手をこまねいているのは、その被害の性質だ。軍による被害であれば、事前に動きを察知し、援軍を送ったり、民を避難させたりと対処の方法は無数にある。だが奴らによる攻撃はまさに神出鬼没、ある日突然街の中に現れた数匹の『魔女』により数時間の内に街が消滅する。こんなもの、対処のしようがあるか!
「落ち着いてください、宰相閣下。」
「その通りですぞ、王国の軍事を司る貴方こそが唯一の我々の頼みなのですから。」
そう言って周りの者たちは私を宥めようとした。いかんな、ここで私が冷静にならねば、文字通り王国が…いや、この大陸ごと消滅してしまうのだからな。
今現在、私を含めた周辺国の軍事関係の長たちを集めた軍議が行われている。あまりにも大きな被害を生み出し続けているこの現状を憂いた私が彼らを召集し、協力体制を敷くことにしたのだ。
ここにいる誰もが皆、戦争を経験してきた歴戦の猛者たちだ。彼らの束ねる各国の軍隊を寄せ集めれば百万人規模にも及ぶだろう。それに王国の戦力を足せば、更に倍以上の戦力となる。これはこの世界における軍事戦力のおよそ5割ほどであり、数十人規模の魔女を相手取るには明らかな過剰戦力と思われる。
だがしかし、現実は全く違う。『魔女』どもはその攻撃の一つで数百、数千の人間を殺せる。つまり数の問題では無いのだ。かと言って、『魔女』に匹敵する強者など王国でも極少数だろう。それほどに『魔女』は一人一人が規格外なのだ。
「ふぅ…すまんな、皆の者…つい感情的になってしまった。」
「無理もありません、最も広大な領土を持つ王国が最も大きな被害を受けているのですから。」
「ああ、その通りだ。だが、貴殿たちの国とて安全では無い。『魔女』による被害はとある場所を中心にして広がっていくようにして拡大している。何れ、ヤツらの凶刃は大陸全土に届きうるぞ。」
私は敢えて脅すようにそう告げた。それを聞いた彼らの反応は様々だったが、大半は己の国を護らんと闘志を目に宿した。
「では現状について一度確認しておこう。
先ず、『魔女』による被害は【王国領『ドライ高原』】を中心として拡大中であり、今現在確認出来ているだけで国が4、都市が21、街が59、村が184、人的被害は測定すら困難な程に大きい。」
自分で話していてその被害の大きさに驚愕する。ざっと被害は大陸の約10%だ。既に解放歴始まって以来の大災害と言える。更に信じがたいが、これらは全てここ2ヶ月以内に受けた被害だと言う事だ。このままでは、数年以内に大陸の全てが消されてしまう計算になる。
「そしてこれらの被害を生み出した『魔女』、確認出来ているだけで36匹!中でも被害が大きかったのは『龍嵐』『零慢』『老牢』『砲燼』『芻闢』の5匹だ!この5匹は最優先駆除対象として、危険度1級とする。」
危険度とは文字通りその危険度合いを表した数字で、1級はここ数年で1人しか認定されなかった程に稀有な事例なのだ。因みに1級を捕えた場合の報奨金は大金貨100000枚(日本円で100億円)だ。まぁ、素人が捕えられるはずもないが。
「それ以外の31匹は準1級とする。それぞれ特徴を捉えた情報をまとめたので全員、よく読んでおくように。」
そう言って私は皆に紙を手渡した。そこにはそれぞれの『魔女』の能力と外見の特徴が記述されている。だがこれはかなり曖昧な情報だ。『魔女』の襲撃を奇跡的に生き残った者から聞いた能力や外見を参考にしており、外見に関しては魔女は皆、白と黒のローブで顔を覆っている為、判別はほぼ不可能だと言える。だが、少しでも情報があるか無いかでは天と地の差がある。藁にも縋る思いでそれらを綴ったのだ。
「さて、先ほども言った通り、今この瞬間にすら我らの民が理不尽な暴力によりその全てを奪われつつある。対処出来るのはここにいる我々だけだ。早急に対策を練るぞ!」
「はっ!」
よし、士気は上々だ。それはそうだ、何故ならここで何とかしなければ我々の国どころか、この大陸の全てが蹂躙されてしまうのだからな。
〜数時間後〜
軍議は進んだ。流石は各国の戦争の長たちだ。住人の避難や情報の整理など間接的な事から『魔女』に対抗し得る戦力の集結など、かなりスムーズに話が進んだ。確実と呼べるモノは多くないが、それでも魔女にも十分対抗出来るのではと感じた。
そしてここで議題は最も重要な事へ移った。
「さてタグスンテ閣下、そろそろ防衛策ではなく本格的な攻撃について話しましょうか。」
[攻撃]、つまり我々の方から『魔女』に仕掛けると言う事だ。
「うむ、そうだな。では地図を。」
それによってここにいる皆が地図に注目する。
「ここだ。【王国領『ドライ』高原】、ここにヤツらの巣『蜂塚』がある。」
『蜂塚』とは、我々が名付けた『魔女』どもの根城の事だ。神出鬼没で何処にでも現れる危険な『魔女』として『魔女』の事を【蜂】と表現した。それにどうやら『魔女』の中には『大魔女』とか言うリーダーがいるらしい。故に『大魔女』の為に働く『魔女』の巣窟を『蟻塚』ならぬ『蜂塚』と名付けたのだ。
「場所も正確に分かっているのですね。では何故、さっさと動かないのですか?蜂塚を囲って潰してしまえば小細工を弄さずとも全てが終わるのでは?」
当然の意見だな。【蜂】を駆除する最も有効な手段は巣を破壊する事だ。巣と女王蜂さえ駆除してしまえば後はどうにでもなる。
我々が今まで話し合ってきた[防衛]の策とはつまり、襲ってくる働き蜂をどうやって対処するかと言う事だ。巣の破壊と比べて圧倒的に効率が悪いのは明らかだ。だがしかし、巣の破壊が出来ない理由があるのだ。
「無論、王国も動いたさ。だが……失敗した。」
そんな簡単な事を私が見落とすはずがない。すでに手は打っていたのだ。だが……
「詳しく伺っても?」
「うむ。先日、『蜂塚』に隠密に特化した諜報部隊を数十人規模で複数に分けて送り込んだ。だが結果は壊滅、生きて帰って来た数人に話を聞いたところ、『蜂塚』には巨大な[防護壁]があったそうだ。」
「防護壁ですか?」
「うむ、この防護壁は人間だけでなく飛び道具や魔法すらも全てを遮断する巨大なドーム状のバリアであり、それが『ドライ高原』の一部をすっぽりと覆っているらしい。」
「突破する手段は?」
「今のところ確認出来ていない。超遠距離による魔法爆撃なども試してみたが、離れすぎているせいかビクともしなかったようだ。おそらくは『蜂塚』を守護する『魔女』の魔法だろう。その『魔女』を『護宮の魔女』と名付けた。『護宮』がいる限り、『蜂塚』への一方的な遠距離攻撃は難しいだろう。」
侵略してきた36匹に加え、『蜂塚』を護る『護宮』、それに『蜂塚』の中にはもっと多くの『魔女』が潜んでいると考えるのが自然だ。一体どれだけの数の『魔女』がいるというのか…それにどうやってそんな数の『魔女』を集めたのか…謎は深まるばかりだ。
私の言葉に皆が腕を組み、困った表情を見せる。
「ではやはり、『蜂塚』への攻撃は諦めるしか…」
「いや、その防護壁とやらも魔法の一種であるならば、数百、いや数千人規模の人間の魔力をぶつければ相殺できるのではないか?」
「おお!!」
1人の意見に周りから歓声が沸く。中々良い意見だ、だが…
「勿論、その可能性は私も気付いていた。だから今度は数千規模の軍隊で『蜂塚』攻略を図ったのだ。…だが、それも失敗した。」
「それは一体…」
「ドライ高原の周りは元々、森や小さな丘、小都市、街や村など多くのモノで囲まれていたが、ドライ高原から周囲約10kmのそれらが丸ごとなくなっていたのだ。おそらくは軍隊による奇襲を警戒したヤツらが地形ごと削り取ったのだろう。」
『魔女』の魔法は文字通り[災害]そのもの、大地や森すらも無くすことも容易なのだろう。
「なんと…では王国の数千もの軍は…」
「察しの通り、『蜂塚』に辿り着く前に見つかり、殲滅された。後でその地形を確認したところ、やったのは『龍嵐』だ。数kmに渡って兵士たちの死体が吹き飛ばされていたからな。」
その言葉に皆が言葉を失った。数千規模の軍を用いてもたった1人に蹂躙されてしまう。それほどに『魔女』とは強大な存在なのだ。
「では、どうすれば…軍を使えないのなら攻め込む事など到底…」
「そうだ、今この時点の情報(開けた荒野と『護宮』の存在)でさえ突破口が薄い上に、おそらく『蜂塚』の中にはもっと強大な力を持った『魔女』がウヨウヨいるだろう。故に、正攻法で『蜂塚』を攻略するのは今の我々の戦力でも不可能だと言っていい。だから正攻法ではない方法で魔女を狩る。」
そう言って私は『ドライ高原』周辺の街や村に駒を置いていく。
「周辺の街や村、森などにも刺客を配置し、罠を張る。それによって『蜂塚』から出てきた『魔女』を一匹ずつ殺すのだ。やはりそれしかない!」
「なるほど、それは良い作戦であるな。だが既に周辺の街や村は壊滅しているはず。待ち伏せなど可能なのか?」
「可能だ。調査させて分かった事だが、『ドライ高原』周辺の街や村は比較的綺麗な状態で残っていたのだ。これはおそらく、それらの街や村の物資を使うためだろう。『蜂塚』とは元々は奴隷の女どもを詰め込んだだけの簡素な村だ。食糧を含めた物質が欲しくなったのだろう。そこを突く。」
「なるほど、流石はかの王国をまとめ上げるお方。素晴らしいお考えですな。」
「では各国から隠密に長けたものを選出し、配置しましょう。」
「そうだな。」
私はこう答えたが、実のところ刺客は本命では無い。私はその裏で『魔女』を嵌める作戦の為に動くとしよう。もしかしたら、奴らのスパイがここに紛れ込んでいるかもしれんからな。事は慎重に推し進めねば。
話すべき議題は全て片付け、後は各国に戻って準備するだけだ。我々は必勝を誓い、その場で解散となった。
今日の軍議はとても充実したものであった。だがそれでも、周辺国の知恵者の知恵を絞り出した戦略ですらまだ何かが足りないのではないか。私はまだ『魔女』の恐ろしさを分かっていないのでは無いかと思わずにはいられない。
今はまだ周辺の属国と防衛での協力関係を結んだだけに過ぎない。だがこれ以上被害が拡大するようであれば大陸中の国家全てと不戦協定並びに『対魔女』を想定した【大連合】の設立が必要になるかもしれない。そうなれば最も被害を受けている我が王国が他国に譲歩する形で盟を結ばねばならない。そうならぬ為にもここで『魔女』を食い止めねばならん。陛下の為にも何としてもこの私がやらねばならんのだ!どんな手を使ってでも!
そう覚悟を決めて私はとある部屋の扉を開いた。するとその中には7人の男女が巨大なテーブルを囲むように席に座っている。
「待たせたな。」
私はそう言いながら中央の席に腰掛ける。
「全くだ。待たせすぎだぜ。」
「38分16秒の遅刻ですね、はい。」
「待ちくたびれたわ。帰ろうかと思ったぐらい。」
「実際、1人帰ったもんねー。ね、ピノちゃん。」
「閣下に対する無礼…全く困った女子だ。」
「まぁー、しゃーなくね?流石に今日は閣下がわりぃわ。ぺっ!」
「…うんうん…」
王国のNo.2である私に対して不遜な態度を取るこの7人は陛下直属の駒たち。一騎当千の力を持った王国最強の実力者たち、通称【八駒】だ。陛下がいつも彼らを【駒】と呼んでいる為、自然とその名になった。彼らは全員が既に陛下の施しを受けている為、陛下への忠誠心は底知れなく厚い。だがやはり強者とは我の塊、陛下以外には従順ではなく、私に従うのも陛下からの命令で仕方なくだ。
「静粛に。貴様ら、あまり私を舐めると陛下に言いつけるぞ。」
「………」
【陛下】という言葉を聞いた瞬間、コイツらの顔が強張る。コイツらはその実力から文官である私を舐め切っているが、陛下への忠誠心は本物だ。陛下の腹心である私はそれを利用する。私はいつもこの方法でコイツらを黙らせているのだ。
「よろしい。では陛下に代わり私が貴様らに指示を出そう。文句がある者はいるか?」
「………」
「よし、では先ほどまでの作戦について説明する。先ずは『魔女』について…
私は先ほどの軍議で話した内容をコイツらに話した。
「なるほど、事情は理解しました、はい。ですが伝え聞く話が全て真実ならば我々にも勝ち目はないかと、はい。」
「そうそう。私、無駄死にしたくないよー。ね、ピノちゃん。」
「分かっている。それ故に皆には複数人でチームを組み、複数人で一匹の『魔女』と戦ってもらいたい。」
「はぁー、虐めかよ。乗り気しねぇー。ぺっ!」
「まさに外道の所業。女1人に我々が複数など…」
「最悪ね、恥を知りなさい。」
コイツらは王国最強だと今までチヤホヤされてきた連中だ。1人で最強であり、誰からも恐れられてきた。それ故に仲間意識も低く、単独での戦闘を好む。だがコイツらとて単独で『魔女』に勝つ事は不可能だ。それ故に複数での任務を命じているのだが…
「閣下、こんな馬鹿どもと協力する必要などありません、はい。私は部下たちがいれば十分でございます、はい。すぐにでも『魔女』とやらの標本をお持ちしましょう、はい。」
「俺は1人でやるぜ。信じられるのは結局自分だけだからな。」
「私もそうさせて貰うわ。でも安心して、私のやり方でやらせてもらうわ。卑怯なやり方は私の十八番だから。」
「あたしはピノちゃんが居れば無敵だもーん。ね、ピノちゃん。」
「ま、待て!貴様ら!」
私の忠告を無視してその4人は部屋を出て行った。全く、聞き分けのないヤツらだ。
「そんじゃ、俺も。じゃーな、閣下。ぺっ!」
「…失礼。」
「…ちょっと待って、2人とも。」
残りの3人のうち2人も出て行こうとしたその時、いつも無口でいる女が2人を引き止めた。
「なんだぁ?ぺっ!」
「何用か…」
「…閣下の命令は陛下の命令なんだよ…なら協力しなきゃ…」
この女、いつも無口で何を考えているのか分からなかったが、そこそこまともな人格だとは。
「……けっ…くだらねぇ…ぺっ!」
「…ふむ…だが一理ある。大切なのは我々の意思などではなく陛下のご意向。その為であれば邪道すらも受け入れるべきか…」
陛下の命令と言われて2人も諦めたように席に戻る。
「…ちっ…それを言われると弱いぜ…ぺっ!」
「…な、なら!私たち3人でも!」
「…しゃーねーな。あのバカどもはほっといて、ぉれたちだけでやるか。」
「うむ…仕方あるまい。」
「や、やった!」
そう言って3人は何やら話をしながら部屋を出て行った。
「はぁ…全く、どいつもこいつも…」
言う事を聞かない馬鹿どもの相手をするのは疲れる。だがアイツらは陛下も認めた実力者、何かしらの成果を出してくれるだろう。
「さて、私は最悪の場合を考慮して、陛下に謁見しなくてはな…」
私はとある事を上奏するために、重い足取りで陛下の元へ向かった。
「あっひゃっひゃっひゃ!!!最高だねぇ!!もっとやれやれ!!」
「……」
私は陛下の元まで馳せ参じた。しかし陛下はとある事に夢中になっているようだったので、機嫌を損ねないように静かに背後に佇む。
「あぁ…最高!あの女の顔!夫を殺した時のあの顔!たまらねぇ!!あっはっは!」
陛下がご覧になっているのは、先日私が企画した[デスゲーム]だ。事故もあり人員確保に難航したが、何とか開催する事が出来た。陛下のおわすこの塔の下では数百人の人間たちがその命を賭けたデスゲームに挑んでいる。既に1週間近くが経っているが、まだ半数以上は生き残っているようだ。それでもなお、陛下にご満足頂けているようで安心した。
「はぁ…笑った笑った…っと。タグスンテ、飯持ってきて。」
何と陛下はいきなり私の事を呼んだのだ。流石は陛下、私が何も言わずともその気配を感じておられたとは。
「はっ。ただいま。」
私はご命令通りに食事を用意した。陛下は乱暴な手つきでそれらを食していく。
「…うん、美味い。やっぱり人の死に顔を見ながら食う飯は最高だな。」
「そうかもしれませんね、陛下。」
「…それで?僕の周りを飛び回る『魔女』どもは?駆除した?」
陛下も勿論『魔女』の事は把握されている。だがその全てを私に委ねてくださっているのだ。
「大変申し訳ございません。未だ駆除には至らず…ですので陛下のご命令通り【駒】をお借りし、これから駆除に…」
「一匹、捕まえてこい。」
「は…はい?」
「『魔女』を一匹でいい。一匹捕まえて僕の前に持ってこい。そしたら面白いものを見せてやる。」
何と、私から提案しようとした事を陛下に先に言われてしまった。いや、陛下には全てが筒抜けなのだ。私から言うまでもなかったか。
「はっ。かしこまりました。このタグスンテ、何としても陛下の期待にお応えしましょう。」
やはり陛下は特別だ。『魔女』だなんだと先ほどまで騒いでいたが何の問題もない。陛下さえいらっしゃれば我々王国が負ける事などあり得ないのだ。待っていろ『魔女』ども。これから我々が好き放題やってきた貴様らにこの世の地獄を見せてやる。




