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黒い服の女

仲間が増えたのでもう一度各自のキャラ設定をまとめておきます。


セイナ・サンクルス『天撲の魔女』

身長162cm D

口調「〜だわ、〜かしら、〜ね」

 過去の壮絶な経験から世界の全てを憎むようになり、『魔女』が虐げられるこの世界をリセットし、『魔女』を中心とした世界を創り直す事を目的として旅をしている。仲間には優しいが敵には容赦なく残酷な事も厭わない。母親を自ら殺し、心が壊れてからは拠り所であるパーナに依存している。

能力は『瞬間移動』

自身を含めたあらゆる物の座標を一瞬で移動させる事ができる。


リパーナル・カレスティア (通称パーナ)

身長154cm B

口調「〜だね、〜だよ」

 4人を『魔女』にした張本人。本人の戦闘力は皆無だが、死者を『魔女』として蘇らせる力を持つ『特異点』と言われる存在。性格はお転婆で子供のように無邪気だが、人間の闇に何度も触れてきた過去を持つ事から案外図太い。

能力:死んだ無能力(魔法が使えない)の女を『魔女』として蘇らせる事ができる。


ニューズ『閃絶の魔女』

身長156cm A

口調「〜です、〜ます、〜しょう」

 元々は貴族令嬢だったが無能力であった為に勘当され、そこでセイナとパーナに出会った事で『魔女』となった。真面目かつ純粋な性格で元貴族としての知識も豊富な為、皆からよく頼られる。

能力は『空間を断つ斬撃』

腕を振る事で空間を断つ斬撃(物の固さに関係なく全てを切断する)を繰り出す事ができる。


アンリーザ『熱獄の魔女』

身長174cm G

口調「〜さね、〜だねぇ、〜かい」

元娼婦であり、とあるマフィアに殺されたがパーナの能力で蘇った。性格は大雑把でいつもふざけている。男好き。

能力は『分子の加速』

分子の時間を加速(減速)させる事で熱を自在に操る事ができる。


ララメルク・ナイア・エンゲージ

身長167cm E

口調「〜ですわ、〜ですのよ」

王国の貴族令嬢であり『魔女狩り』の最高幹部でもある。『魔女狩り』で最強とまで言われているが、実は逃げ足が速いだけの雑魚であり、それを周りに隠している。部下であるシピーレの為に一行に加わった。

能力『走力の強化』

足が速い。


シピーレ『??の魔女』

身長169cm D

口調「〜ございます、〜しょうか」

幼い時からララメルクに仕えるメイド。ララメルクに対して狂気的とも言える高い忠誠心を持っている。一度ニューズに殺害されたが、パーナによって『魔女』として蘇った。元々暗殺者としての教育を受けていたため、高い身体能力や武器を扱う技術など魔法に関係なく高い戦闘能力を持つ。

能力は『肉体の時間の巻き戻し』

自身の肉体の時間を巻き戻す事ができ、どんなダメージ(死も含む)でも一瞬で元に戻る。

〜王都の中心にある王城〜


 王城の最上階にある玉座の間では先日の『ツヴァイ』での反乱についての結果報告が行われていた。



「なにぃ!?失敗した?」


 玉座に腰掛ける王の前に立つ宰(・)相(・)の男は驚きを隠せない。宰相の怒号にも近い声に、報告をした兵士は身体をビクつかせる。


「は、はい…『ツヴァイ』に送り込んだ計2万の反乱鎮圧軍の半数以上が死亡、残った兵も殆どが捕虜になったと…」


「何故だ!いくら商人どもと言ってもこの短期間で集められる兵力などせいぜい5000程度、我が軍がそこまでの大敗を喫するなど、ありえん!」


 宰相の怒りも尤もだ。事情を知る者からすればあの反乱鎮圧に敗北はあり得ない。

 『商工会』の反乱を事前に見抜き、『帝国』と同盟を結び戦力が充実する前に速攻で攻め込んで全てを奪う算段であり、計画は完璧だった。そしてそれらを指揮した宰相からすれば、到底受け入れられるものでは無かった。


「その事ですが…報告によれば我々の侵攻の最中に突然『魔(・)女(・)』が現れたらしく…何故か『ツヴァイ』側に味方したヤツらによってコチラに相当数の被害が…」


 『魔女』という単語を聞いて宰相は眉根を顰める。


「『魔女』だと!?あの殺人鬼(クズ)どもが何故『ツヴァイ(ヤツら)』の味方を!」


「分かりません…現れた『魔女』はおそらく『熱獄』と『閃絶』の二匹、特に『熱獄』からの被害は凄まじく、灰となったせいか行方不明となった王国兵が数知れず…」


「『魔女狩り』はどうした!?『ツヴァイ』には【四神】の1人を送り込んだはずだろう!」


「…はい…【四神】のララメルク様とは連絡が取れません。おそらくは『熱獄』に灰にされたかと…」


「クソッ!どいつもコイツも役立たずが!」


 宰相は怒りのあまりに地面を蹴った。



「…タグスンテ、うるさい。」


 玉座に座った男は不機嫌そうにそう呟いた。それを聞いた宰相(タグスンテ)は頭を下げる。


「し、失礼しました陛下…」


「ん。そんなくだらない報告なんかよりア(・)レ(・)はまだ?」


「はっ!ただいま!」


 それを聞いた宰相が手を叩く。すると入口に控えていた兵士たちが扉を開いた。


「お、お助けください!どうか!どうか!」

「うわぁああん!お母さん!!」


 そこから入ってきたのは兵士たちに連れられた2人の母娘だった。2人は後ろ手で縛られ、無理やり歩かされる。恐怖に怯える2人は乱雑に王の前に放り出された。


「どうかお慈悲を…どうか!」

「怖いよぉ!お母さん!!」


 必死に懇願する母親と泣きじゃくる娘、しかし宰相の表情は変わらない。


「下民(ゴミ)の分際で陛下に汚い唾を飛ばすな。」


 それでも2人は必死に懇願するしかない。


「私はともかく娘は関係ありません!娘だけでもお助けください!」

「うわぁああん!!」


 母親は娘を庇うように前に出た。自身の恐怖を押し殺し、身を挺して庇おうとしたのだ。


「黙れと言っているだろうが!貴様ら、今すぐこの場で」


 そう言って宰相が剣を振り上げた時、王が口を開く。



「いいよ、助けても。」


 そう言って王は玉座から立ち上がった。



「ほ、本当ですか!」


「僕は慈悲深い王だからね、2人とも助けてやるよ。」


 それを聞いて涙で顔を濡らした母娘の顔に一筋の希望が宿る。王は笑顔で2人に近づいていく。


「うん、本当。ほら、解放してやれ。」


 王は顎で周りの兵士たちに命令する。命令を受けた兵士たちは2人の縄を解いて解放する。


「ありがとうございます!ありがとうございます!」

「うぅ…お母さん!!」


 王に感謝する母親とその母親に抱きつく娘が立ち上がると、王は母親の目をじっと見つめる。そして笑顔のまま問いを投げかける。


「娘が大切かい?」


「え?…は、はい!もちろんです!」


「へぇ…君もママが好きかい?」


「う、うん!」


 その反応を見て笑顔だった王の顔が醜悪な笑みに変わる。


「仲のいい親子だねぇ…楽(・)し(・)み(・)だ(・)。」


 次の瞬間、王の身体から極悪なオーラが放たれる。そのドス黒いオーラが煙のように母親の頭に流し込まれる。


「えっ……」


「ママっ!?」


 オーラが取り込まれた瞬間、母親の目は虚になった。王は何か考えるような仕草を取りながら指を鳴らした。


「こんな感じかな…はい終わり。」


 王はそのまま元の玉座に戻って座り直した。


 そして相変わらず母親は目が虚になっており何も喋らない。それを隣にいた娘が心配そうに見ている。


「……」


「ママ?」


「……」


 しかし母親は返事をしない。様子が変わった母親を見て娘はその手を握る。


「ねぇママ!どうしたの!ねぇってば!」


 娘が母親の腕を揺さぶったその瞬間、虚だった母親の目が真っ黒に染まり、娘を刺すような目で睨み付けた。


「ま、まま!?」


 そのあまりの豹変ぶりに娘が後退りしたその瞬間、


「ふんっ!」



  ドスッ!……



「えっ……ゴフッ……ま…まま…」


 母親は娘の腹にナイフ(母親が魔法で具現化させた)を突き立てていた。娘の腹から大量の血が流れ落ちる。そして娘は力なくその場に倒れた。



「ふんっ!」


「ガハッ!!…ま…ま…」


 その時なんと母親は倒れた娘に追撃を加えたのだ。娘の血で赤く染まったナイフを今度は胸に深々と刺し、瀕死の娘に完全な致命傷を与える。


「…ぁ…ぁぁ……」


「ふんっ!ふんっ!ふんっ!」



 ドスッ!…ドスっ!…ドスっ!……ドスッ!……



 力なく倒れる娘の消えゆく最後の声を無視して母親は更にナイフを突き立てる。右腕、右肩、首筋、左肩、左腕、左足、右足、再び腹、胸、首筋、左肩………



 ドスッ!…ドスっ!…ドスっ!…


 部屋に響くのは肉を抉る音と血の垂れる音、そして母親の荒い息だけだった。



 ドスッ!…ドスっ!……………………………


 肉を抉る音が50を超えた時、母親は壊れた機械のように動きを止めた。


「………」


 娘の返り血で真っ赤に染まった母親は、原型を留めないほどに全身がぐちゃぐちゃになった娘を踏み付けながら、そのナイフを消した(母親の魔法で消した)。その時の母親の顔はどこか満足げであり、解放されたような顔だった。


 そんな母親を見て周囲の兵士たちは戦慄していた。しかしこの部屋の中でただ1人、王だけはニヤニヤと醜悪な笑みを浮かべていた。


「いやー、派手にやったねぇ。相当恨んでたのかな?ぷふっ…」


 それに対して母親は顔の血を拭って答える。


「ふぅ…はい、コイツはあ(・)の(・)人(・)の仇ですから。」


 母親は娘の頭(と思われる部分)を踏み付けながらそう呟く。


「ふーん…ところでさぁ…あの人ってだーれ?」


 笑いを我慢しながら王は母親にそう質問した。


「あの人は……って、あれ?あの人って一体…」


 王の質問に対して母親は答える事が出来ない。自分自身で答えたあ(・)の(・)人(・)とやらが思い出せないのだった。

 そんな様子を見て王は笑いながら答える。


「くふふふ…あっはっは!!!そりゃ思い出せるワケないよねぇ!!だってそんな人最初からいないんだもーん、もんもーん!」


「い、いない!?それは一体どういう…」


 その瞬間、王は右手で指を鳴らした。


「こういうこと。」


「えっ!………はっ!」


 王が指を鳴らした瞬間、母親は何かを思い出したかのような反応をする。


「思い出したかな?君が今、何をしたのか。」













「うぅうぁああああ!!!ぁあああ!!!」


 全てを思い出した母親は発狂した。そして自身が先ほど手にかけた娘の元に駆け寄る。そして既に原型を留めていない娘の遺体らしきものを懸命に助けようとする。


「わぁあぁああ!!なんで!なんでなんでなんでなんでなんで!!!私はわたしはわたしはわたしはわたしは!!ぁああぁああ!!」


 涙を流しながら発狂する母親を見て、周りの兵士たちは更に戦慄する。しかし王だけは大声で笑っていた。


「あっはっはは!!自分で殺したくせに、何してんのさ!!もう無理無理、そんな状態で助かるわけねーじゃん!!ばーかばーか!!あっはっは!!」


 王は母親の滑稽さに腹の底から笑っていた。その姿を見た母親は、ナイフを再び具現化させ握りしめる。


「ぁあぁああ!!キサマぁあ!!」


 そして母親は怒りのまま王へ向かって走り出した。


「は?誰がキサマだ、調子に乗るなよ。おもちゃ風情が。」


 次の瞬間、王は再び指を鳴らした。


「……うっ!」


 すると母親は再び虚な目になり、何と持っていたナイフで自身の首を掻き切ったのだ。母親の首から噴水のように血が流れ出し、母親も力なく地面に倒れる。


「はい制裁、制裁。僕を侮った罰は死ぬことでしか償えないんだよーん、よんよーん。」


 再び上機嫌に笑う王はまた指を鳴らす。血まみれで倒れる母親は再び意識を取り戻した。そして消えゆく意識の中、最後の力で娘の元へ向かう。


「はぁはぁ……」


 這いずって娘の近くまで来た母親はその手を娘の元へ伸ばした。


「……ぁぁ…ラナ……………」


 しかし首からの大量出血で母親は、娘に手が届く前に絶命してしまった。



「あっはっは!見ろよタグスンテ!アイツ、自分で娘を殺したくせに最後まで母親気取りだったぜ!意味わかんねーだろ!?はっはっは!!おもしれー!!」


「まさに陛下の仰るとおりかと。」


「そうだろそうだろ。よいしょっと。」


 王は徐に立ち上がって歩き出した。それを見た宰相も後に続く。



 ぐちゃ…ぐちゃ……



 王は敢えて2人の死体の上を歩き、その身体を踏み潰した。そして母親の力一杯伸ばした右手を蹴り飛ばしながら悠然と歩いていく。


「陛下、『ツヴァイ』の件は…」


「ん?ぜーんぶお前に任せるよ。その代わり、コイツらみたいな下民(オモチャ)を数百人ぐらい集めといて。次はもっと醜く殺し合うゲームをやろうと思ってさ。」


「数百ですか……かしこまりました、手配しておきます。」


「ん、よろしくー。それじゃあお前ら、その死体(生ゴミ)綺麗にしといてねー。」


 そう兵士たちに命令した王は玉座の間を後にした。



(どいつもコイツも分かってないなぁ。この世界は全て余さず僕のモノ。僕を崇め、僕を敬い、僕を信仰し、僕に従い、僕を楽しませる、この世界に存在する全ての人間はその為の玩具に過ぎない。そろそろ生意気な玩具(カスども)に分からせてあげようか、僕の恐ろしさを。)


「あっはっはっは!!」


 廊下を歩く王は醜悪な笑みを浮かべていた。






〜『ツヴァイ』付近の平原〜


 6人は次の場所に向けて歩みを進めていた。


「ところでセイナ、私たちの拠点が欲しいって話だったよね?『ツヴァイ』じゃダメだったのかな?『英雄』とか言われてたメルクさんがいれば支配は無理でも協力関係になれたんじゃない?」


「そうね、一理あるわ。でも『ツヴァイ(あそこ)』は町として大きすぎるわ。それに周りは王国領に囲まれてる。しかも海に面していて逃げ場もない、つまり圧倒的に攻められやすいってこと。」


「そっか…ならしょうがないか。」


「では『帝国』と協力すればよかったのではありませんこと?『魔女』にも寛容なあの国と同盟を結べば王国も簡単に攻める事は出来ないはずですわ。」


 ララメルクの指摘を聞いたセイナは図星を突かれたように明後日の方を眺める。


「……それは却下で。」


「ん?どうしてですの?」


「………」


 ララメルクの質問にセイナは答えようとしない。どこか拗ねたような顔をするセイナを見てアンリーザが口を開く。


「帝国の皇帝はセイナの事を狙ってるさね、恋愛的な意味でね。それでセイナも変に意識しちゃってるから会うのが恥ずかしいって事さ。」


「…アンリぃ…適当な事言ってんじゃないわよ。私がアルティード(あんな変態)を意識するわけないでしょ。」


 セイナは少し顔を赤くしながら怒りの表情を見せる。それを見てアンリーザはニヤニヤ笑っている。


「そうかい?アタシはお似合いの2人だと思うけどねぇ。」


「よし、表に出なさいアンリ。今日はその身体にたっぷりと分らせてあげるわ。」


 そう言って立ち止まったセイナの顔は般若のようだった。


「怖い怖い、美人が台無しさね。軽い冗談だよ、それに皆んなが怖がってるから落ち着きなって。」


 その言葉を聞いてセイナが周りを見渡すと、『魔女』ではないパーナとララメルクがセイナの殺気に怯えていた。それを見てセイナも心を沈める。


「はぁ…ごめんなさいね2人とも。ちょっとマジになり過ぎたわ。」


「わ、わたくしは何ともありませんわよ。この程度で怯えるはずがないですわ。」


「流石はメルク様でございます。友人(セイナ様)の為に恐怖を押し殺して心配させない心遣い、まさに聖母のような優しさでございます。」


「ふ、ふふーんですわ…って、ピーレ!私は怯えてないですわよ!」


 相変わらずララメルクを持ち上げるシピーレとそれに振り回されるララメルクだった。


「う…うん…それにしてもセイナ、前よりも魔力が洗練されて来てるね。他の皆んなも凄くなってきたけど…やっぱりセイナは別格だね。」


「そうかしら?」


「うん!…もうセイナの敵なんていないよ!」


 パーナにそう言われて嬉しくなったセイナは胸を張る。


「うふふ…当然よ、もうアルティード(あの変態)にだって負けないわ。だから安心してね、パーナ。私が守ってあげるから。」


「うん!ありがと、セイナ!」


 それを聞いたパーナは嬉しさと共にとある事を思い出した。


(セイナの力は本当にすごい。私が『魔女』にした子たちの中でも間違いなく最強格。…おそらくあ(・)の(・)子(・)と同じくらい…)



「あっ!忘れてたわ!ア(・)イ(・)ツ(・)ら(・)のこと!」


 その時、突然セイナが何かを思い出した。


「アイツら?」


「そうそう、ダメ元でマーキングしといたのよね…ええっと……ほいっ。」



    シュン……


  ボトッ……ボトッ……



 セイナが徐に手を振ると6人の前にとある物体が現れ、それが地面に落ちた。


「これは…」


「腕(・)!?」


 その正体に5人は驚愕する。セイナが転移させたのは2本の腕だった。


「何ですのこの腕は!?」

「セイナ様、コレは一体…」

「びっくりしたさね…」

「そうだね…」

「セイナさん、この腕は何ですか?」


「ふっふっふ…それは見てのお楽しみ。パーナ、お願い。」


「う、うん。」


 セイナに指示されるがままにパーナはその腕に手を翳した。








「……はっ!ここは!?」

「…エマ、大丈夫でございますか?」


 光が消えて現れたのは顔が瓜二つの双子、エマとエナだった。


「おはよう、2人とも気分はどう?」


 そう言ってセイナは2人に歩み寄る。するとセイナに気付いた2人は凄まじいスピードで後ろに下がる。


「あ、貴女は!!」

「え、エマ、あ、あの人は私の腕を…」


 2人はセイナの顔を見て恐怖を覚える。何故なら先ほどの放送室での戦闘において2人はセイナにボコボコにやられていたからだ。


「に、にげるよエナ!」

「そうですね、エマ!あんなバケモノを暗殺するなんて不可能でございます!」


 そう言って2人が背を向けて走り出そうとしたその時、既にセイナは2人の目の前にいた。


「行かさないわよー。」


「ひ、ひぃ!!」

「ば、バケモノ!!」


 驚きから2人はその場で腰を抜かしてしまった。セイナはそんな2人に笑顔で近付いていき、その肩に手を乗せた。


「そんなにビビらなくてもいいわよ。もう貴女たちを殺したりはしないから。…………私に従うならね。」


 セイナは殺気を剥き出しにしながら低い声でそう告げた。


「あ……」

「エナ!」


 そのあまりの恐怖にエナは失禁して気絶してしまった。エマも涙目になりながらエナを庇うようにしているが、その足はブルブルと震えている。やはり2人とも心の底からセイナに恐怖しているのだ。

 そんな様子を見て好都合だと思ったセイナはエマに優しく話しかける。


「私たちは仲間を欲してるの。貴女たちが仲間になってくれると私、とーっても嬉しいなぁ。」


 優しくも粘りつくようなその甘い声にエマの心は完全に降伏した。


(ああ…私はこの人に従うしかないの…)


「い、命だけは助けて、ほ、欲しいの。わ、私もエナも、あ、貴女の仲間…いいや、部下でも奴隷でも何でもなるから。」


 そう言ってエマはセイナの足元に土下座した。それどころかおかしくなったエマはセイナの靴を舐め始める。

 それを見たセイナは少しだけやり過ぎたと内心で引きながらも少し優越感を感じていた。


「よし、それじゃあ2人とも私の部下って事で。よろしくね。」


「はい、セイナ様。」


 こうして一向は更に2人の仲間?を手に入れた。

 因みにその光景を見ていた5人はセイナにドン引きしていたという。




〜少し前、『ドライ』高原〜


 南北に広がるとある山を少し登ったところに小さな集落が存在している。この巨大な山に存在する人間はこの集落の人間だけだ。そんな集落に1人の女が立ち入ろうとしていた。


「……」


 真っ黒なローブを身にまとい、目元まで深くフードを被ったその女は何も言わずにその集落の入口である巨大な門を見上げていた。

 するとその時、突然女の目の前の門が開いた。

 そこに現れたのは大きな馬車だった。女がその場に立ち尽くしていると馬車の先頭に腰掛ける御者が女の存在に気付いた。


「おや、貴女は…」


「……」


 女は目の前の男に対して冷たい視線を向ける。それを見て男は納得したような反応を見せる。


「あぁ、貴女も(・)ですか。これは失礼。」


 そう言って御者は女を無視して馬を歩かせる。女も何も言わずに通り過ぎようとしたその時、



「た、助けて!!誰か!!」



 馬車の中から女の悲鳴が聞こえた。しかし


「うるせぇ!黙ってろ!」


「きゃああ!!」


 馬車の中から男の声が聞こえた次には中で誰かが倒れる音が聞こえ、先ほどの女の悲鳴が続いた。しかし御者の男は当たり前かのようにそのまま馬を前に進めていく。


「……」


 黒い服の女は少し悲しそうな表情を見せるも、何か手を出す様子は全くない。

 そしてそのまま馬車は山を降りていった。馬車の背を眺めていた女は一つため息を吐いてから門の方へ振り返る。


「……ここも‥変わらない…」


 そう呟いた女はフードを脱いでその顔を見せる。長い黒髪を後ろで結んだポニーテールに切れ長の目、その眼光は強い決意を感じさせるモノだった。

エマ、エナ 『??の魔女』、『??の魔女』

身長159cm C

エマが姉で口調が「〜だよ、〜なの」

エナが妹で口調が「〜です、〜でございます」

元々王国に仕える暗殺者だったが、セイナとパーナに負け、心の底から恐怖を植え付けられて服従する事になった。暗殺者らしく武器の扱いに長け、特に爆薬系が得意。

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