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ハリセンが必須になりそうです

高級車ばかりが並ぶ山の麓のロータリー。

開けられたドアから出てくるのは、私服姿の男子高校生だ。

キャリーを持たされ見上げた先は

桜が咲き始めたばかりの舗装された山道。

「紳士なら淑女のエスコートは完璧でないとね?たかが坂道、スマートに来れなくてはダメでしょう?」

優雅に頬に手を添え、ふふっと微笑まれたら誰も何も言えません。

校門前までの送迎を禁じられた生徒達に求められるのは、重い荷物を感じさせないよう涼しい顔で始める、ちょっとした山登りである。

こんな天気の日は布団干したり窓磨いたり、いい感じで仕事が出来るな〜と思いつつ、高台のバルコニーから初々しい新入生を見ていれば、何故か揺れる目の前の枝。

「あ?何だ?」

猿でも出たのかと構えていれば、ひょっこり顔を出す小柄な美少年。

「…は?!」

「う?」

白い肌にサラサラの髪。キラキラした目に仕立ての良い服。ウサギの耳つきリュックを背負い、飾られた様な花弁が更に愛らしさを倍増させている。普通に見たらうっかり微笑んでしまう場面だけれど

「お前、地上何メートルあると思ってんだ!?」

そんな事言ってられる場所でなく。

「上を目指せって言われたの」

「意味違うだろそれ」

落下でもしたら絶対無傷ではいられない。

とりあえず、あまり刺激しないようにゆっくりと腕を伸ばせば、大きな目がパチクリと瞬き、うむっと頷く。

「スゲェ嫌な予感がするんだが」

「こんな時は、あいきゃんふらい」

「待てコラァァァ!」

体重で枝を上下に揺らし、勢いをつけて大空に飛び立つ体。モモンガのように手足を広げ、重力に従い落ちて来るのを全力で受け止め、固い床に転がる。

なんとか初日から事故とかにならなくて良かった!とゼーハーしていれば、腹の上でムクリと起き上がる生徒。

「朝霧椎菜です」

「とりあえず退いてから正座。」

そんな名前が自分の受け持つ名簿にあったなと思い出した新学期初日。

…大丈夫か俺。

そんな予感は更に続く。





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