↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日常を彩るライフハック短編小説集  作者: 地野千塩


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
76/81

ゼリーのフタを開ける時

 友達がスピリチュアルにハマってしまったらしい。


「ねえ、和泉、このパワーストーンをつけて願いが叶った場面を想像していると波動が上がって、幸せになるらしい。どう? 和泉もパワーストーン買う? 私からの紹介だったら、なんと半額になるの」


 と言われても。久々に友達のリサに会えたと思ったら、まさかのスピリチュアル。どう反応していいかわからない。


「私たち、もうアラサーじゃん? でも非正規で独身じゃん? ここらで一発逆転できるかもしれないし、一緒に幸せになろうよ」


 と言われても、本当にどう言っていいのかわからない。口元を引き攣らせ、作り笑いをするのが精一杯だった。


 そんな友達との再開から数ヶ月。またリサから連絡がsった。カフェで会おうと言う。今度こそ友達として会えるのかと思ったら……。


「この無添加で無農薬のお茶を飲むと、健康になれるわ。知ってる? 今時の農薬は頭を馬鹿にする成分が含まれているらしくてね……」


 今のリサ、自然派界隈にすっかりハマっているらしい。スピリチュアル仲間の勧めで陰謀論にもハマり、その結果、今は怪しいお茶のビジネスにまで手を出しているとのこと。


「和泉、このお茶を飲めば幸せになれるわ、きっと」


 その後、リサは怪しい企業セミナー、どう見ても効果が薄そうな自己啓発、自給自足生活の田舎暮らしコミュニティを勧めてくるようになった。本人には悪意はなく、単に幸せになる人が増えて欲しい一心からとのことだったが。


「あぁ、リサと会って疲れた……」


 家に帰ると、どっと疲れてしまう。リサから幸せを押し売りされていたが、そんなに必要なものだろうか。


 一人、部屋で考える。そもそもリサのいう幸せって何だろう。何があったら幸せなのか。何がなかったら不幸なのか。グルグルと考えこんでしまったが、少なくとも今は不幸でもない。幸せそうに見えるかといったら、限りなく微妙だが。


「あ、そうだ。冷蔵庫にまだ食べていないゼリーがあったわ」


 ふと、そのことも思い出し、冷蔵庫の扉を開ける。ギリギリ賞味期限より前だ。良かった、食べられる。


「そういや、ゼリーのフタって手前から開けるよりも反対方向から開けるとキレイに開けられるんだよな……」


 今から数年前、リサが教えてくれた豆知識だ。こうやって開けると、ゼリーの汁が飛び散らなくて良いんだそう。


「あ、キレイに開けられたわ。ラッキー」


 スプーンでゼリーをすくって食べると、プルプルだ。よく冷えているし、さっぱりと美味しい。甘すぎないのも良い。


「うん、私にはこんぐらいで十分だわ……」


 例え幸せそうに見えなくても、十分だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。